とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「覚悟、-覚悟ならないこともない。」(『こころ』シリーズ⑧)

2018-01-01 15:48:18 | 『こころ』
 夏目漱石の『こころ』の授業で気づいたことを書き残します。

 Kの「覚悟」とはどういう意味だったのか。これは『こころ』の授業での定番の発問です。いくつかの考え方がでてきます。普通に考えられるのは以下の3点です。

 ①「お嬢さん」をあきらめる覚悟
 ②「お嬢さん」への恋につきすすむ覚悟
 ③自殺する覚悟

 「先生」は最初は①だと考えたのだと思います。その時は自分の恋敵になるKが「お嬢さん」をあきらめてくれると考えたのだから「先生」は余裕があります。しかし、その後Kが居直り強盗のように感じられ、②ではないかと勝手に疑い始めます。疑心暗鬼が自身の心を侵し始め、「先生」は動揺するのです。「先生」はKの「こころ」が読めません。それと同時に自分自身の「こころ」も制御できないのです。

 そして「お嬢さん」と「先生」が結婚することになったことを知ったKは間もなく自殺します。その時点で③ではないかとも考えられます。Kは道のためには「すべてを犠牲にする」ことを信条としていました。ストイックな生き方を自分で選んで生きていたのです。しかし、恋をしてしまった自分自身の「こころ」を制御できなくなってしまったのです。とすれば、Kの自殺の原因は、そんな自分の弱さに絶望して為ではないかとも考えられるのです。

 考えれば考えるほど、Kの心は読めませんし、「こころ」を制御できないという意味では「先生」は自分の「こころ」さえもわからないのです。そこにこの作品の大きなテーマがあるのではないか。

 オーソドックスな普通の読み方ですが、この部分を抑えておくことは必要なことです。

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