トムハンクス主演映画『オットーという男』を見ました。老後の孤独への向き合い方を導いてくれる、感動的な名作です。
この作品は2015年のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のハリウッドリメイク作品だそうです。『幸せなひとりぼっち』は見たことがないのですが、リメイクであろうがなかろうが、すばらしい作品に仕上がっています。
オットーは頑固者で嫌われています。仕事も首になり、いよいよ頑固も本物になります。しかしオットーが頑固になっていったのは、死んだ妻との歴史があったからだったことがわかります。妻との出会い、そして結婚、妊娠、幸せな生活がバスの事故で崩れてしまいます。妻は一命は取り留めるものの、お腹の中の子供は失ってしまいます。年老いて妻はなくなり、孤独になったオットーは自殺を試みます。
私も気が付いたら年をとってしまい、死を意識する世代となってきました。自殺する勇気はないのですが、さらに何年かして孤独に苦しめられ、さらに病気で苦しめられたらどうなってしまうのだろうと考えてしまいます。自分を通して生きてきた人間は、他人から嫌われているという思いにどうしてもなってしまいます。そしていつしか他人を信じられなくなり、孤独の罠にはまってしまいます。いつの間にかオットーは私そのものだと思ってしまいました。
しかしそんなオットーも近所の人たちのつながりが生まれます。オットーにとってはおしつけがましいつながりだったのですが、それがオットーを救ってくれたのです。他人が自分を必要としていることに気がついたオットーは生活が潤い始め、自殺する気持ちもなくなります。
高齢化社会になり、現代人は否が応でも孤独と向き合う必要があります。しかし孤独をあきらめてはいけません。孤独だからこそ他者を求め、他者に優しくならなければいけないのです。
人とのつながりが大切なのだということを教えてくれるすばらしい映画でした。