三谷幸喜作の演劇『笑の大学』を仙台市・電力ホールで見ました。戦時下だからこそ、権力に屈せず笑いを描こうする喜劇作家の心意気が、見るものを泣かせ、感動を与える素晴らしい芝居でした、
戦時下の日本。国民の娯楽である演劇は、警察に台本の検閲を受けなければならなかった。瀬戸康史演ずる劇作家、椿一は、内野聖陽演ずる担当警官・向坂睦夫に無理難題を投げかけられ何度も書き直しを命じられる。しかし椿はその無謀な条件をクリアしつつ、より笑える芝居へと書き上げることで自己の心意気を示す。しだいに向坂は椿の姿に共感を覚えるようになる。しかし、向坂には召集令状が届いてしまう。
真摯に議論を重ねて次第にお互いを尊重していく二人の姿が感動を呼びます。国家の力よりも人間の共感のほうが強いものであり、そんな人間の力こそが戦争よりも大きいと感じさせてくれます。
同時に喜劇の持つ意味の偉大さに感動させられます。喜劇を書き続けることが三谷幸喜の信条であり、それこそが平和な世の中を作ることだと考えているのだと思います。三谷さんの心意気に感動してしまいます。
二人芝居であすが、二人の熱演もすばらしい。この二人も超一流の「喜劇役者」でした。