「源氏物語を読む」シリーズの3回目。「空蝉」です。メモとして書き残しておきます。
・性の笑い
源氏は再び空蝉のところに忍んで行く。そこで夫の連れ子である軒端萩と碁を打つ空蝉を覗き見る。空蝉のことを美人ではないが心惹かれると源氏は思う。夜、源氏は空蝉の寝床に忍び入る。しかし、その前に空蝉の寝床には軒端萩が一緒に寝ると入っていた。空蝉自身は源氏の気配がしたので、寝床から抜け出していた。源氏は空蝉ではなく軒端萩のいる寝床に入ったことになる。もちろんすぐに源氏はそれに気づくが、それはそれでよしと軒端萩と夜をともにする。そして「あなたを目当てにこの家に忍びこんできたのだ」と嘘を平気で言う。これだけを読めば喜劇です。
考えてみればこの章の始めでは、空蝉の弟の小君と源氏は一緒に寝ていて、小君の体を触りながら空蝉のことを思い出している。怪しい関係です。同性愛なのかロリコン趣味なのか、不思議な関係です。空蝉と軒端萩だってあやしい。
まるでシェイクスピアの喜劇みたいです。古典作品は性を笑いにすることが一般的だったのかもしれません。
・空蝉は紫式部がモデル?
空蝉は紫式部がモデルと言われているようです。確かに境遇が似ています。なるほど光源氏を一度は受け入れたが、それ以降は受け入れなかった。藤原道長と紫式部の関係もそうだったのかと想像してみると楽しい。ただし、これだけ露骨に自分のことを書くというのも信じがたい気もします。いずれにしても可能性としてはおもしろい。
