とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『八百屋のお告げ』(グループる・ばる公演)

2016-09-04 08:05:47 | 演劇
 9月3日東京芸術劇場シアターウエスト。

 作・鈴木聡。演出・木野花。出演・松金よね子、岡本麗、田岡美也子、大谷亮介、酒向芳、本間剛。

 熟年離婚し今は一人暮らしの多佳子が、今夜12時に死ぬと八百屋からお告げされた。その八百屋のお告げはよく当たると評判だった。多佳子はどうしても気にかかってしまい、友人にその時を一緒に過ごしてほしいと頼む。

 年をとってくると死を考える時間が少しずつ増えてくる。とは言えそれはあまり現実的ではないから、真剣に考えないまま生活している。本当に自分が死ぬかもしれないと思った時、どう考えどう行動するのか。見ている人みんなにせまってくる。とくに高齢期にささしかかった人間ならば切実である。

 小林麻央さんのブログの最初の回のタイトルが「なりたい自分になる」だった。この言葉、最近よく耳にする。いままでの人生を否定するわけではなく、これからの人生を前向きに「なりたい自分になる」ようにがんばってみようと思わせる演劇だった。

 とてもいい作品です。3度目の再演ということですが、日本の演劇の良心がここにあると感じました。
コメント
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