まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

日本カント協会の懇親会

2015-11-21 14:32:14 | お仕事のオキテ
先週行ってきた日本カント協会の大会は、
もちろん自らの研究を深めるために参加したのではありますが、
それ以上に来年の大会のための視察という意味合いが強いものでありました。
先日ちらっと申し上げましたが、来年度の日本カント協会の大会が福島大学で開催されるのです。

たしかに先月、東北哲学会の大会は福島大学で開催しましたが、
あれは東北地区で持ち回りで開催しているので10年に1回は福島で開催することが決まっています。
福島大学での開催は21年ぶりだったのでそれはそれで大変でしたが、
21年前の大会に参加して、福大で開催しているところを見たことはあったわけです。
しかしながら、前任者の先生方もみんな亡くなられてしまったので詳しいことはわかりませんが、
東北哲学会以外の哲学・倫理学系の学会を福大で開催するのはたぶん初めてではないでしょうか?

しかもうちの大学には哲学・倫理学系の教員は現在私しかいないのです。
私が赴任してきた21年前には経済学部に全学共通教育担当の哲学教員が1名、
それと教育学部の社会科教育専修にやはり哲学の教員が1名と、
私を含めて3名の哲学・倫理学系の教員が在籍していました。
しかし、そのお二方が退職されたとき、折からの予算削減・定員削減の流れを受けて、
後任を補充しないことを正式に決めてしまったわけではありませんが、
(「哲学のない大学になってしまっていいのか」 と強硬に反対し続けております)、
当面、後任補充できないまま現在に至っております。
ですので、うちで学会をやるといっても本当に私しかいないわけです。

さらにうちは研究者養成をしているわけではないので大学院に博士課程はありませんし、
私のゼミ生は今のところ修士課程の院生が2名、学類の大学生が5名のみ、
うち院生1名と学類生3名が卒業・修了したあと来年の今ごろゼミ生が何人いるかわかりません。
なので学会当日のためにバイトかボランティアを募るとしても、
頼める相手の数はそれほど期待できないのです。
幸い先日の東北哲学会では事務局の助教の方々やバイトの院生たちが大挙して来てくださって、
福大で人をお願いする必要はまったくありませんでした。

というかすでにご報告したとおり、あのときは会場を借りる手配と会場案内表示を掲示したくらいで、
あとのことはほぼすべて東北哲学会の事務局のほうでやってくださっていたのです。
あんな調子ですむなら学会なんていくらでも来いという感じですが、
その昔、私がまだ大学院生だった頃、法政大学で日本カント協会や日本倫理学会を開催したとき、
大学院哲学専攻総出でプロジェクトチームを組んで準備に取り組んだ覚えがあるので、
東北哲学会の場合がイレギュラーなんであって、
その他の学会の場合はやはり開催校の責任というのはそれなりに重くなってくるだろうと思います。
というわけで、先週の日本カント協会の大会では、事務局校はどこまでやってくれるのか、
開催校はどこからどこまでやらなければならないのかといったことを確認することも含めて、
来年度の大会に向けての情報収集や打ち合わせが重要なミッションだったわけです。

各会場で必要な機材や準備物を確認したり、各会場の参加人数を数えたり、
開催校である清泉女子大学の先生やボランティアの学生たちにインタビューしたり、
事務局校である筑波大学の先生方にいろいろ聞いてみたり等、情報収集に努めてまいりました。
やはり東北哲学会のようにはいかず、相当開催校は大変なようだと打ちのめされました。
そうやって学んできたことはまたそのうちここに書く機会もあるかもしれませんが、
一番気がかりだったのは懇親会のことでした。
例の熊本大学での日本倫理学会で豪華懇親会を経験してきたあとですので、
日本カント協会の懇親会ではどこまで趣向を凝らすのか、
それとの対比で来年の福島大学生協での懇親会でどこまでやらなきゃいけないのか、
はたしてそれが実行可能なのか、その見きわめがとりわけ重要なミッションでした。

するとこの件に関してひとつ朗報がありました。
今年度から日本カント協会の懇親会は会費を3,000円に値下げしたそうなのです。
このところの各学会での懇親会の豪勢化の流れを受けて、
このあいだの熊本大学のときのように懇親会費はたいてい5,000円くらいに上がっていましたが、
そうすると年寄りは喜びますが、院生会員にとっては負担が大きくなってしまいます。
学会で個人研究発表をするのは大学院生やオーバードクターの人たちが中心で、
そういう若手研究者の方々こそ懇親会に出席してお互いに情報交換しあったり、
先輩研究者の皆さんからアドバイスをいただいたりしてもらいたいものですが、
懇親会費が高いと彼らが参加できる可能性が下がってしまいます。
そのために日本カント協会では懇親会を簡素化し会費を下げようということになったそうなのです。
さすがはカント研究者の集まりです。
まさに弱者の立場に身を置き換えて考えてみる、普遍化道徳の実践ではありませんか。

というわけで今年の日本カント協会の懇親会費は3,000円でした。
時間は90分。
どうせお酒の好きな人たちはすぐに2次会にいくだろうということで、
それまでのつなぎという位置づけで懇親会を設定したのだそうです。
こちらが懇親会の様子です。



この2つ並んだ丸テーブルが10人分の料理の全体像のようです。
開会前に撮影したので、まだラップやアルミホイルがかぶせたままですが、
もう少し寄ってみるとこんな感じです。



このあいだの熊本大学のときとは比ぶべくもない簡素さですが、
まあ一昔前の大学生協での懇親会といったらたいがいこんな感じでしたよね。
というか清泉女子大には大学生協は入っていないので一般の業者が食堂を運営しており、
そちらに今回の懇親会の手配もお願いしたそうで、
ひょっとすると先日の東北哲学会のときの福大生協の5,000円のメニューより、
こちらのほうがちょっと豪華なくらいかもしれません (まさか?)。
フツーのサンドイッチのほかにカツサンドがあるなんてけっこういいよなあ。

清泉女子大の先生にうかがったところによると、
懇親会の手配はやはり開催校が行わなければならないそうです。
学会ではあらかじめ開催通知が来て大会と懇親会への出欠をハガキで知らせるようになっています。
が、その出欠ハガキをきちんと出す人は少なく (私自身も耳が痛いです)、
今回は懇親会出席の知らせがあったのは30名程度だったそうですが、
そんなに少ないわけがないとはじめから倍の参加者を見込んで予約していたそうで、
けっきょく当日の参加者は55名くらいだったそうです。
懇親会の手配においてはこの参加者数の読みが一番難しいようです。
出欠ハガキの数を信じてしまうと当日の料理やお酒の量が足りなくなって不満が出てしまいますし、
といって当日の参加者数が予約した数よりも少なくなると、
場合によっては開催校の先生がお金の足りない分、自腹を切らなければならなくなるそうです。
ああ、大変だ

はたして来年の日本カント協会福島大学大会、うまく切り抜けることができるのでしょうか?
とりわけ懇親会、福大生協とうまく交渉して3,000円で今年並みのメニューを用意してもらえるのか、
出席者数の読みを過たず、酒食が足りなくなったりお金が足りなくなったりしないようにできるのか、
考えるだけで今から気が遠くなりそうですが、なんとか成功させたいと思います。
福大生協をはじめ関係者の皆さま、なにとぞご協力のほどよろしくお願い申し上げます。


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