社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立するフィリップ・コトラー,ナンシー・リー東洋経済新報社このアイテムの詳細を見る |
5章では、ソーシャル・マーケティングについて取り上げている。ソーシャル・マーケティングとは。行動改革キャンペーンの支援を行なうことで、他の社会的責任に関わる行動と異なるのが行動改革に焦点を当てているという点である。
企業にとっての潜在的ベネフィットとしては、
□ブランド・ポジショニングの後押し
ここでのブランドという定義は、コトラーの「消費者が競合商品と比較して、自社製品に対して抱く認知、印象、感情などの複合的な集合体」ということである。
□ブランド選好の創出
ソーシャルマーケティングは、コーズとの結合により豊かなブランド連想を創出する。
□接触機会の構築
□売上増加
□コスト削減による収益性の向上
□熱意があり信頼できるパートナーを引きつける
□社会へ変革に真のインパクトを与える
成功事例を見ていこう。
まずは、P&Gのクレストによるクレスト・ヘルシー・スマイル2010について。
時代背景として、口腔衛生問題が貧困層を中心に深刻化しているということがあった。
それに対して、P&Gではコアバリュー「消費者の生活改善」という概念にのっとり、低所得者層に、ケアツールを提供したり、歯科衛生の教育機関に無償で教育用ツールを提供したりした。
結果として、クレストが口腔衛生改善にコミットメントしているというイメージの補強、口腔ケアブランドのリーダ的位置づけの強化、ブランドエクイティの確立、分野権威とのリレーション構築などの成果をもたらしたという。
学べるポイントとしては、社会的責任を果たすことによって、自社製品認知の向上ということだけではなく、新しいニーズを作り出しているということだろう。
もうひとつの参考にできる事例が、セイフコという保険及び投資会社の山路防止の取り組みをみてみよう。保険を取り扱うということは、結果として、山火事は起きない方がいいということはもちろんだが、地域の安全への貢献という点で面白い事例である。具体的には、大きな山火事が起こったことを契機に、山火事防止の策として、「家の敷地の周りに防護壁を築くということ」により、山火事を防ぐということをPRしたというもの。他には、地元での消防士たちが地域での教育に使うビデオやカタログも制作をしたという。このセイフコの作成したマテリアルは、その後もセイフコという名前が入ったものがマスメディア広告や講演プログラム、教育シーンで提供し続けられているという。
結果として、この事例から学べることは、信用というビジネスをおこなう企業への是津藍那信頼感の獲得ということではないだろうか。
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