本の読み方の設計図。

本の構造を明らかにしていく。
論拠・主張

論証=事例、引用。

小説034 : reProfesional#107

2008-10-25 00:15:01 | reProfesional
chapter#34 神の悲劇

擬似神としての神であるこうもりも、それほどおろかではないし、本当の独裁者としておろかに振舞うには、学習能力を持っている。
独裁者がただの従順なハト以外の人間から嫌がられるひとつの大きな理由が、彼の意思決定のプロセス、もしくは、彼の判断基準が見えないということになるのだろう。
本当の独裁者のように本当に優秀かもしくは、本当におろかでない擬似神は、たいていの思考・判断のプロセスをひとりで執り行うものではない。しかし、こうもりをはじめとしたたいていのまだ良心のあるどっちつかずの独裁者は他の力をそれも、疑心暗鬼で、人間不信の弱弱しい関係性、相助の仕方でアドバイスをこう。
こうもりの助言の請い方は自信のないものである。
本当は自分の判断で決定を下しているという印象を与えないと、彼が之まで築き上げてきた王国が脆くも崩れ去ってしまうからだ。

ハトはハトで裏切らない。でも、ボクは確実に長い目で見ると、こうもりを裏切ることになるだろう。何も彼を恨んでいるとかそういうことではないが、もくの人生の方向性をボク自身が見誤ってしまったこと、若気のいたりゆえに、ボクはよわよわしいこうもりを無残にも裏切ることになる。
こうもりがボクにそうであったように、たいして良質の血液を吸血できそうにもないが、ボクは彼から、吸い取れるものは吸い取らないといけないと思っている。

こうもりの悲劇というと、絶対的な価値はないということを彼の中途半端な知性ゆえにわかってしまっているがゆえに、絶対的な君主となれないという矛盾をはらんでいるということだろう。
ハトは、彼が絶対的なカリスマであるということを疑いもしないが、それ以外のタカであったり、ボクのようなハイエナもしくは、狩人の連中は彼を裏切ることになるし、こうもり自身もこれまで多くの裏切りを経験してきたのだろう。
それゆえの擬似神であり、自分を絶対的な価値観の上におけないし、おこうとしないというポーズを随所で採らざるを得ないという悲劇にとらわれてしまっているのであろう。

それでも、こうもりが本心から信頼を置けない野獣たちはつぎつぎに、こうもりが健気なハトたちに、彼がハトをハトたらしめ、魂を吸い尽くしたように、こうもりに襲い掛かろうとしている。
人を欺くことほど恐ろしいことはない。
結局欺かれるのは本人なのだから。
ということは、ここでボクが、狩人が、タカがこうもりをどれだけ巧妙に裏切り、欺むくことができたとしても、結局は、当人が仕打ちとして別の狩人に裏切られ、欺かれることになる。

人間社会では、一方の願望、欲望のみが一方って気に成就するなどという好都合なことはほぼ皆無であるといっていいだろう。
不正義に対しては、一定の正義が制御機能が働く、つまり、自分が正義を行っている限りは、不正義はある程度制御されるし、自分が不正義を行ってしまう限りは、正義がそれを帳消しとまでは言わないまでも、相殺にかかろうとする。

そういうある程度まとまな社会だからこそ、一方的な悲劇はない。だからこそ、ボクは気を引き締めなければならない。
与えられた屈辱は自分が狼に化けることで、こうもりを食い尽くすというカタチで必ず、借りは返す。

それは、決して不正義なやり方で返そうとは思わない。こうもりが彼の至らなさの上で作り出してしまったカオスに秩序をもたらすという結果で彼に復讐を出来ればと思っている。

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