中日新聞に「諏訪晢史のスットン経」、「誰も、誰かより偉くはない」というタイトルで記事が掲載されていました。
人は皆、老いも若きも男女も親子も姉弟も、均(ひとし)く全知でも全能でもなく、誰かが誰かより偉くなどありません。
今回は「謙虚さ」の話です。
古代ギリシャは学問・芸術の開花の地でした。
神話も叙事詩も悲劇も、哲学も数学も都市も民主制も、あの遥か太古の地中海に生まれました。
神託で「最高の賢者」と宣されたのがソクラテスです。
謙虚な彼は、無知な自分を知者と呼ぶ託宣を訝しみますが、自省のため重ねた対話から有名な「無知の知」へ至ります。
己を無知と知る謙虚さ、己は偉くなどないと遜る謙譲を、自分のほか誰も持っていないことに気づくのです。
民は皆「自分は知である者で相対的に他人より上で偉い」と驕っていました。
ソクラテスの謙虚は人々の嫉妬や恨みを煽り、彼らはソクラテスに冤罪を着せ、評決で死刑にしました。
民主制=多数決の過誤は古からあったのです。
今は「偉い俺様に逆らうな、馘首(かくしゅ)するぞ」という恐喝政治が全盛です。
この「俺は偉い」という勘違いが悪の源です。
学者とて、別に庶民より偉くありません。
庶民もむろん囚人や難民より偉くありません。
官僚も大臣も皇族も同じ人類で、誰かだけ偉くはありません。
賢人も愚人も善人も悪人も、人であれば皆誰かより偉くなどはないのです。
しかし、学問からの軍事政策批判を厭(いと)う政府が、学者を選別し、恭順者のみを忖度で操る手口を考えました。
元首相の葬儀に弔意を、という大学への通達も「学者ども、党を敬い足下(そうか)に跪(ひざまず)」けという強権、偉さの誇示です。
元号の底意はやはり「令の下(もと)に和せ」という示威にあったのです。
示威者は差別も好みます。
日本は他国より偉い、偉い日本は罵(ののし)られる筈などない。
こうした傲慢な狂信が歴史まで歪めます。
皆で信じれば過去も曲げられる。
侵略も虐殺も徴用もなかったこと。
歴史がそんなに恣意的なら、ナチスも広島長崎も、震災もコロナも史上から消せるでしょう。
貧富も貴賎も別なく、皆平等に偉くなどありません。
民も国も偉くはないのです。
誰かが偉いと阿諛(あゆ)追従したがる者は、自分も威を借り偉ぶりたがる。
そんな虚栄の徒が昔ソクラテスを殺したのです。
以上です。
>今は「偉い俺様に逆らうな、馘首(かくしゅ)するぞ」という恐喝政治が全盛です。
この「俺は偉い」という勘違いが悪の源です。
前の首相も、今の首相も、その流れにいるように思います。
前の首相は三権の長は、自分だという大いなる勘違いをされていました。
三権分立とは国家権力を「立法権」、「行政権」、「司法権」の3つに分け国家の暴走を抑制し、民主主義を実現するものです。
国家権力を三つに分散して国家の暴走を抑制しているのに、前の首相は全く無視していました。
自分は日本で一番偉いという驕りなんでしょうね。(苦笑)
>元号の底意はやはり「令の下(もと)に和せ」という示威にあったのです。
だからか、「令和」に何か冷たいものを感じたのは。(苦笑)
>示威者は差別も好みます。
示威者とは、威力や気勢を他に示す人のことを言うようです。
なるほど、納得です。(苦笑)
日本は他国より偉い、偉い日本は罵(ののし)られる筈などない。
こうした傲慢な狂信が歴史まで歪めます。
皆で信じれば過去も曲げられる。
侵略も虐殺も徴用もなかったこと。
このように考える人が増えてきていますね。
>誰かが偉いと阿諛(あゆ)追従したがる者は、自分も威を借り偉ぶりたがる。
そんな虚栄の徒が昔ソクラテスを殺したのです。
このような政治家や官僚も多いです。(苦笑)
情けない。
手紙‐由紀さおり