新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月29日 その2 産経新聞の「主張」に異論を唱えたい

2022-11-29 16:59:20 | コラム
“「応能負担」確実に推進を”とは何事:

本29日の「主張」には「75歳以上医療保険」と題して、75歳以上の高所得者の保険料を来年から年間14万円増額の80万円に引き上げるとの政府の方針を支持する論調を展開している。私はこの件については、既に後期高齢者でも一定以上の年金を得ている者に窓口負担を1割から2割りに引き上げたことを非難した際に、この保険料の総額は俗に言う「ダブルパンチ」であると批判してあった。

産経新聞を非難攻撃したくなる理由は「このような負担増を決めた官僚の方々や国会議員の先生方の中には75歳も過ぎれば、どれほど多くの異なった種類の病気に悩まされた経験後有りでないから『彼らが増加させた部分を負担させるべし』などと気楽に言い出したのだ」と思っているからである。

先日も指摘したことで、高齢化すればするほど、長い間使いに使ってきた諸々の体の器官が衰えて、一寸したことでも発病してしまうものなのだ。かく申す私はそんな経年変化があるなどとは露知らず、愚かにも多少の血圧の高さなどを気にかけずにいたのだった。所が、2006年1月の72歳の最後の月に「心筋梗塞」という漢字が書けなかったほど無知だった心筋梗塞に襲われ、国立国際医療研究センター病院(NCGM)のお陰で辛うじて命を救って頂けたのだった。

それから後は、一旦衰えの兆しを見せた体力は抵抗力を失い始めたのだった。すると、前立腺肥大(後にガン)、皮膚ガン(切除済み)、白内障(及び後発白内障)、狭心症、顎関節症、腱鞘炎、蓄膿症、耳管開放症、2回目の心筋梗塞とその後の気象病、3回目の心筋梗塞、2度の心不全、膝の関節の痛み、ドライアイ、1985年10月にアメリカでの貰い事故だった自動車事故に起因する自室神経失調症という具合で、罹った病気の枚挙に暇がない。

私はアルコールを受け付けない体質なので飲酒は一切していないし、喫煙の経験は皆無である。確かに在職中は年間に6~7回もアメリカ出張を繰り返していたし、職責上無理もしていた。だが、72歳までは高校時代の仲間とサッカーやフットサルを楽しんでいられたほど体力を維持できてはいた。だが、一旦、72歳を過ぎてからの心筋梗塞の後では、抵抗力も衰えたのか一時はNCGMの全科目を制覇するかと悪い冗談を言ったほど、病気の総合商社のようになっていた。

言い方を換えれば「高齢化すれば、どれほど常日頃健康に留意して生活していても、如何ともし難い病には襲われるもの」なのである。その現実は60歳台程度に止まっている人々には理解も想像も出来ないことではないのか。だから、気楽に正論を唱えて「応能負担」などと言えるのではないのか。こう言っている私にでも、増加する一途である高齢者の医療費を節減したいとの考え方は解らないでもない。

だが、そう言う前に、彼らが何処まで「高齢者の病気が大変であるか」を理解し、認識できているのをあらためて問いたいのだ。彼らにも高齢の親御さんたちがおられるだろう。彼らが無病息災で生活できているかどうかくらいは解っているだろう。それでも「大義親を滅す」で「応能負担」を言うのか。大病院の循環器内科や街中のクリニックにでも行ってみてご覧、大勢の高齢の患者さんたちが待っておられる。それを過剰負担の基だから応能負担させよというのか。

念の為に申し添えておくが、今月は定期検査と診察の他にウイルス性の風邪を拾った為に、医療費と薬代は2割負担で2万円を超えた。この額を大きな負担というか大したことはないと言うべきか知らないが、私には生易しい出費とは到底言えないのだ。その上に来年から14万円増額だ。

だからこそ、繰り返して「岸田さん、しっかりしと奮起して善政を施して下さい」と依頼したくもなるのだ。

森保サッカーの問題点を指摘する

2022-11-29 08:40:50 | コラム
レッドゾーン・オフェンス対策を練り上げておくべきだ:

ご存じの方も増えてきたと思うが、この「レッドゾーン・オフェンス」とは(アメリカン)フットボールの用語である。「相手方のエンドゾーンまで20ヤードの距離にまで攻め込んだ場合に、攻撃する地域に奥行きが少なくなってしまうので、長いパスを用いて攻めにくくなってしまい、攻め方(オフェンス)のプレーの種類が限定される場合のこと」と解釈して貰えれば良いと思う。

何でサッカーの試合にフットボールのオフェンス論を持ちだしたかといえば、先日のコスタリカに負けてしまった原因の一つに「このレッドゾーン・オフェンスの失敗」があったと見ているのだ。これだけでは何ら具体性がないのでより詳しく分析していこう。

それは、既に指摘しておいた森保サッカーの最も宜しくない問題点の一つには「ディフェンス陣間とMF間の横から横、前から後への絶え間ない前進することがないパス交換の連続」があるのだ。あの消極的なパス交換は多くの場合に自陣のハーフライン近くで実行されているのだ。それに対して相手は人数をかけて引いて守っているので、縦一発の長いパスを蹴り込んで攻めたくても、守備側の裏側には殆ど誰かが駆け込んでフリーになれるスペースが残っていないのである。

即ち、後エンドゾーンまで20ヤードしか残っていないレッドゾーン・オフェンスとほぼ同じような手詰まりの状況に、自分から追い込んでしまっていたのだ。言うなれば「自縄自縛」なのだ。

より具体的に言えば、「オフサイド」の反則があるサッカーでは勝手に相手の守備陣の裏側に上がって行ってフリーになって、パスが来るのを待つ形式のオフェンスはできないのである。従って、前線に位置するFWもウイングバック等々が後方からパスが蹴り込まれてくる前に、守備陣の裏側には上がっていけないのだ。

それならば、「後陣でのディフェンダー間のパス交換を自分のゴールラインに少しでも近い場所でやれば如何か」との代案が出そうだが、これは禁じ手なのだ。それは、相手側は隙があればその横か後方へのパスを横取り(インターセプションであって、アナウンサーたちが使う「カット」は意味が違う)を虎視眈々と狙っているので、迂闊なパスを蹴ると、何時だったか柴崎が犯したような失点に繋がってしまうので、なるべく前の方に出てから実行する必要があると思う。

換言すれば、「どのようにして守備側のレッドゾーン・ディフェンスを破るか」の工夫というか組み立てが必要になるということなのだ。コスタリカのディフェンスは5人のバックスを並べた上にほぼ全員が守りに入っていたので、我が方は攻め込む手段を見失っていたかの感が濃厚だったし、何度攻め込んでも壁に向かって蹴っていたかのように跳ね返されていた。方法と対策としては個人技で切り裂いていくか、余程緻密にパスを組み立てていくだろう。

現実には、後半に起用した三苫は切り上がった2回ともゴールラインまでドリブルで攻め込み、センターリングができていたのだから、彼のキープ力をもっと多用すべきだったと思う。また、前半の開始早々には未だ前方にスペースがあったチャンスに相馬は縦に突っ込んで行けたので、あの形をより頻繁に活用すれば「レッドゾーン・オフェンス」で苦しまずに済んだのではないかと見ている。

思い出して貰いたい事は、対ドイツの場合に決勝点となった浅野の上がりは、言わば逆襲(カウンター攻撃)からで、ドイツは全員が上がっていたので後方に大きなスペースができていて、そこに浅野が走り込み、板倉にバックスピンが効いた縦パスを蹴り込む余地があったのだ。あの試合はドイツに80%の時間にボールを支配されたので、「ディフェンス陣間とMF間の横から横、前から後への絶え間ない前進することがないパス交換の連続戦法」に出ていく時間が取れなかったのだ。

我が方には嘗ての釜本邦茂のような強力なポイントゲッターがいないのだから、レッドゾーン・オフェンスの形にならないような工夫が必要ではないのか。その為には「ディフェンス陣間とMF間の横から横、前から後への絶え間ない前進することがないパス交換の連続戦法」からは可及的速やかに脱出して欲しいのだ。バスケットボールのようなセットオフェンスの形は好ましくないと思う。浅野拓磨や伊東純也のような俊足の飛び道具や三苫薫のキープ力を有効活用すべきではないか。