新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私が推薦する英語の勉強法

2022-11-02 15:41:40 | コラム
基本は飽くまで「音読・暗記・暗唱」である:

私が永年「自分はこのようにして英語を勉強した」と紹介してきたことは、勿論「音読・暗記・暗唱」であるが、ここであらためて強力に推薦することは「単語帳も単語カードも作らないこと」であり、英語の部品に過ぎない「単語」だけを覚える勉強は学校の英語の先生に何といわれようと無視することなのである。その代わりに覚えて置いて欲しいことは「こういうことはこのように表現するのか」と思う英語の文章を「音読して暗記すること」を心掛けておくことだ。

こうすることで、「この単語は、こういうことを表現するように使われるのだ」と「流れの中で覚えておける」ようになるのだ。例え話にすれば、我が国を代表するサッカーのティームが、一頃はセットプレーからした得点できず、「流れの中のプレーで点が取れるようにせよ」と手厳しく批判されたことを挙げたい。単語としての意味だけを覚えてしまうと、実際にどのように使われているかが解らなくなるし、正しく使えなくなってしまうのだ。

例えば“main”を「主に」とか「主として」と覚えたのは良いが、この単語は名詞になると「水道やガスの本管」の意味しかなくなるとは知らずに「当店のメインは焼き鳥」のように、おかしなカタカナ語を作ってしまうことになるのだ。この単語は“main street”や“main dish“のように名詞の前にしか使えないのである。要するに、単語は「こういう流れになるように使われる」と覚えておくべきものなのだ。

このような私独得かも知れない「英語の勉強法」は永年推奨してきたし、実際に中学生にも家庭教師をした際に実戦して成功した。また、上智大学に1951年に入学したときに出会った横須賀高校から来たK君の私如きが到底及ばない英語力に度肝を抜かれた。彼の発音だけを聞いていると「アメリカ人か」と思わせられたほど正確で綺麗だったし、文法的にも正確無比だった。試みに彼の勉強法を尋ねてみると、徹底した「音読・暗記・暗唱」だったので大いに「意を強く」した。

屡々「それでは成功例が(貴殿を含めても)3件ではないか。Nが少なすぎて貴方の推薦する勉強法を採り入れようとは思わない」と批判された。その指摘には反論はしなかったが、「それでは伺いますが、我が国の科学的な英語教育法でnative speakerたちと比べても遜色ない英語力を備えた人をどれほど此の世に送り出していましたか」と心中密かに主張していた。

英語で話そうとするか、英語で何か作文しようという時に「ここでは女性が主語で時制が現在であるから、主語の動きを表す動詞の後には3人称単数現在を表す“s”を付けなければならないのだった」のような考え方で文法に縛られていては、簡単には文章が口から出てこなくなるし、指も動きにくくなってPCのキーを叩けなくなってしまうのではないか。音読・暗記・暗唱で固めてあれば、何も考えなくとも自然に“She loves you“のように口から出てくるのだ。

繰り返して強調しておきたいことは「英語は科学でも学問でもないと認識して、先ずは中学1年の教科書から音読・暗記・暗唱を心掛けて、英語の文章の流れを覚え込んでおいて欲しい」のだ。私が推奨してきたことは「最低も同じLessonの所を10回音読すれば、自分の声でも英語が耳から入れば自然に記憶できてくるし、自然に『読書百遍意自ずから通ずる』と古くから言われているように、意味も解るようになる」のだ。嘘だと思ったら、試しに10回音読してご覧なさい。既に指摘したように「文法は後からついてくる」ものなのだ。

ここで、言わば中間の結びとして、英語を流れの中で覚えず、恐らく「音読・暗記・暗唱をしなかった為にこうなってしまったのでは」と痛感した例を挙げておこう。このように英語で話すことの最も宜しくない点の一つが、このように文法的に出鱈目でも意味は通じてしまうことだ。そして、この話し方でも、多くの方は「通じたからそれで良いじゃないか」と自己満足しておられることだ。「文法的な誤りを犯すと無教養(非知識階級でも良い)と看做されるのだ」と認識して欲しい。

30年近く前のことになるだろうか、地下鉄の中で2人組の英語?(もしかしてご当人は立派なEnglishだと自負しているのかも)の会話を聞いていた。片方は英語のnative speakerではない外国人で、一方は日本人だった。これは私が聞き取って記憶できた会話の一部だが、私が聞いていた間はほぼ一方的に日本人側が凄い速度で下記の話していた、如何にも流暢というか「ペラペラ」とも形容したい英語で。

“Every years, I take vacation two months, you know. I go Europe with family, you know. Nowadays, children become big and go to school and cannot stay long, you know. So, we don’t go and wife complain and become angry."

 と、ここまでで彼等が下車してしまった。これは我が国の英語の試験問題にあるような「文中の誤りを正せ」の類いのような内容だった。即ち、単数と複数、過去と現在等々が全く無視されている。しかも、非常に芳しくない非知的と看做される“you know“も多用されている。遺憾ながら、これらの点は「日本語には英語にあるような細かさというか厳密さは無い事」を表している。我こそと思う方は、文法の誤りだけでも正して外国人に理解されるような英文にすることを試みて貰いたい。かなりの難問になると思うが。

私が敢えて強調しておくことは「英語とその単語を流れの中で覚えておくようにしないと、また音読・暗記・暗唱を怠ると、このような文法を忘れた品位に欠けた英語でしま自己を表現できなくなってしまうのだ」なのである。更に敢えて採り上げておくが、このような形の英語を話す方は残念ながらかなり多かったと、経験からも言えるのだ。私はこうなってしまう辺りに、我が国の英語教育の問題点を見出すのだ。