新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

グローバルな大学

2022-11-14 08:06:42 | コラム
何故、上智大学が第1位に選ばれたのだろうか:

先日、マイナビ研究所が高校生を調査したところ、上智大学がグローバルな大学の第1位に選ばれたことを取り上げた。その上智大学を、今を去ること67年もの昔に卒業した者にとっては、正直に言って「何故、何処が」と感じてしまった。そこで、今や光栄にも「4大私立大学」の中にあるような高い評価の背景には、カトリックのイエズス会(Society of Jesus)が運営する大学であることもあるかと思って、あらためて「イエズス会とは」を振り返ってみた。

その歴史をひもといていると長くなるので、先ずはアメリカにあるイエズス会の大学を調べてみた。私は小室圭氏が学ばれたフォーダム大学(NY州)や河野太郎大臣の出身でありIvy League に次ぐ難関校として知られているジョージタウン大学(ワシントンDC)や、ボストン・カレッジ(マサチューセッツ州)等がそうだとは承知していた。だが、我が身の不明を恥じた事に、実際にはアメリカでは何と28もの大学がイエズス会系だったのだった。

その28大学の中から、比較的に我が国でも知られているかも知れないと思っている大学を挙げてみよう。ゴンザガ大学(バスケットボールのNBAで活躍中の八村塁君の出身校でワシントン州にある)、ロヨラ・メリーマウント大学(カリフォルニア州)、マーケット大学(ウイスコンシン州)、シアトル大学(ワシントン州)辺りはご存じの方もおられるかと思う。

私は高校生たちがこのようにイエズス会系であれば、アメリカ以外にも世界に数多くあると知っていて「グローバルな大学」と看做したとは考えにくいのだが、ミッションスクールのうちに入っていることから考えても、グローバルだと看做したのではないかと考えた。

または、もし国際的な場面というか市場で大活躍をしておられる多くの卒業生の存在を高校生たちが承知しているのかも知れない。かく申す私も1993年末までの約22年間には我が国とアメリカの国際貿易市場を飛び回っていたが、それを「グローバル」とは言えないと思っている。

それに忘れてはならないことは、これらのカトリックのイエズス会系の大学の他にも、キリスト教のプロテスタント系他の広く知られた大学があることだ。その中から順序不同で何校が挙げてみれば、矢張り先頃取り上げた高校生が進学を希望する大学に1位だった青山学院大学、立教大学、国際基督教大学(ICU)、聖心女子大学、白百合女子大学、南山大学等々と、所謂ミッションスクールは非常に数が多いのである。

そこで、そのミッションスクールだが、私は上智大学をミッションスクールと見るのには疑問を感じていた。と言うのは、私が入学した1951年(昭和26年)には多くの神父様である(主にドイツを中心にしたヨーロッパから来られた)教授たちから「上智大学ではキリスト教の信仰を求めていないし、そのような教育もしない」と聞かされていたし、かの有名な木造建築のイグナチオ教会に入ることすらなかった。信仰心薄き私は在学中にイグナチオ教会には一度入っただけだった。

勿論、入学式のミサなど行われなかった。故に、私は「上智大学はミッションスクールではないのでは」と信じていた。だが、時移り人代わり、現在の上智大学がミッショナリースクールでありグローバルな大学と高校生たちを思わせたような変化が生じていたかも知れない。確かに、私が知る限りの変化の一つに「教授陣に外国人の神父様は非常に少なくなっている」というのがある。

私の在学中の時のように教授の全部でなければ過半数以上が、ヨーロッパを主体として、アメリカや英国国教会のUKからの神父様だった頃には「グローバルな大学」とは思われてはいなかったと思う。現在では上記のような教授陣でも「グローバルな大学」と看做されているのは、面白いというか皮肉な現象だと思わざるを得ない。