アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

ウズベキスタン・ジザックのスザニ

2010-02-09 06:38:00 | 刺繍



製作地 ウズベキスタン・ジザック 
製作年代(推定) 20世紀初頭
素材 木綿地、絹刺繍

茜染めの木綿地をベースに、ブハラコーチングとボタンホールステッチを主体に大ぶりの力強いモチーフ構成の刺繍がなされた独自のデザイン様式を有するジザックのスザニ。20世紀初頭、今から約100年前に婚礼刺繍として手掛けられたマスターピース作品です。

ウズベキスタンの多くの伝統手工芸は職人仕事として培われてきましたが、このスザニを初めとする婚礼刺繍については、家庭のモノとして、母から娘へと代々伝えられてきました。

何枚かの手織りの布(本作品では3枚)を、本人・家族や近親者が別々に刺繍をするのが慣わしであり、出来上がったそれぞれの布は刺繍モチーフの大きさや色遣いが異なったり、接ぎ目に不整合があったりいたしますが、それこそが作り手(家族)の想いが凝縮された本物の”スザニ”ならではの表情の豊かさ、本来的な味わいであり魅力と感じます。

家庭の中で作られてきた婚礼刺繍としてのスザニは、今ではほぼ失われしものとなりました。今ではお土産用・販売用として、刺繍学校等で熟練を積んだ職人が繊細さ・美しさを競うスザニを日夜手掛け続けております。

















●本記事内容に関する参考(推奨)文献


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