本の迷宮

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劇画ヒットラー (水木しげる)

2007-01-14 09:44:23 | 漫画家(ま行)
(週刊漫画サンデー 昭和46年<1971年>5月15日号~8月28日号)


<裏表紙の説明文より>
画家への夢が破れた、ハニカミヤで誇大妄想狂の青年は、働く気力をなくし、浮浪者収容所で日々を送っていた。
はた目には人生の落伍者にみえた青年アドルフ・ヒットラーが、ドイツ民衆を熱狂させ世界制覇の野望にもえる独裁者となったのはなぜなのか、
いったいヒットラーとはどんな人間だったのか。
骨太な筆致で描く伝記漫画。


水木しげるは<妖怪漫画家>のイメージが強いが結構幅広いジャンルの漫画を描いている。
この作品には当然、妖怪は出てこない。・・・いや、ヒットラーが妖怪だと解釈すればこれも<妖怪漫画>と言えるかもしれないが・・・(笑)


水木しげるのイメージする<ヒットラー>!
それが真実のヒットラー像をどこまで表現しているのかは、
<真実のヒットラー像>を知らない私には何とも言えないのだが、
<ハニカミヤで誇大妄想狂の青年>が彼の中にある<狂気>とともに
全世界を彼の頭の中にのみ存在していた<誇大妄想の世界>に変貌させていく様は
読むものをぐいぐいと引きずり込んでいく迫力がある。


あくまでも淡々と抑えた筆致で描いていく<ヒットラーの狂気の世界>
精密に描かれた背景。
水木しげる風にデフォルメされてはいるが本人以上に本人に似ている人物。
特に、ヒットラーは時が経つにつれてどんどん顔つきが変わってくる・・・その表現の素晴らしさ!!


しかし・・・ヒットラーってちょっとねずみ男に似てるのよね。
ヒットラーもやっぱりある意味<妖怪>だったのかな~~?



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