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株式市場の「メルトアップ」、中銀が主導者!

2016-08-21 11:29:40 | 経済・金融・投資
2015年の8月にメルトダウン(大暴落)した株式相場ですが、16年の8月はこれから一気に上昇するかのような「メルトアップ」の気配を見せ始めています。

 米株式市場では11日に三つの主要指数がそろって最高値を更新し、メルトアップの様相を帯びてきました。メルトアップとは、株価が上昇するとは考えられない理由が十分あるにもかかわらず、大幅な株高が進む状況を指します。15日終値の時点でナスダック総合指数は月初来1.9%高、ダウ工業株30種平均は同1.1%高、S&P500種指数は同0.8%高、ラッセル2000種指数は同1.8%高です。S&P500種指数は英国の欧州連合(EU)離脱決定後の安値から約7.1%上昇しており、これは年初来の上昇率7.3%にほぼ等しいのです。

 これらの数字が必然的なものに見え始め、トレーダーや投資家が一斉に市場に参入し始めたときに起きるのがメルトアップです。足元の市場はまだそこまでには至っていないようですが、メルトアップという言葉を口にする市場関係者が増えていることを鑑みると、この直近の上昇相場の背景を考察する価値はあります。

 まず、この「メルトアップ」は株式市場そのものが主導しているものではありません。ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏は日次リポートで、「株式市場のメルトアップは引き続き債券相場のメルトアップにけん引されており、その債券市場のメルトアップに油を注ぎ続けているのは世界の主要中央銀行だ」と述べました。日本銀行と欧州中央銀行(ECB)は資産の買い入れを増やし、バランスシートを拡大させており、英中銀イングランド銀行はこのほど独自の量的緩和(QE)政策を再始動させたところです。こうした中銀の緩和政策で市場には大量の資金が流れ込み、それが資産価格に表れているのです。上昇しているのは米国の株価だけではありません。ドイツの代表的株価指数であるDAX指数は一時、年初からの下落率が20%を超えましたが、今や下げ幅を全て解消しています。新興国株もメルトアップが進行中です。

 10年物米国債利回りが1.50%前後で推移しているにもかかわらず、株価は上がり続けています。あるいは、むしろ皮肉なことに、債券利回りがこれほど低いから株価の上昇が止まらないと言った方が良いかもしれません。市場をいま動かしているのは成長見通しを巡る高揚感ではなく、低金利がいつまでも続くという期待感です。ヤルデニ氏は「結果として世界中の債券市場で途方もない規模のメルトアップが起きており、投資家が利回りを求めざるを得ない中でこのメルトアップが拡大している」と指摘しました。債券利回りの低下を受け、投資家は利回りを求めて他の市場に目を向けており、株式に帰着するのは当然の流れです。

 こうしたメルトアップはいつまで続き得るのでしょう。確かに、ヤルデニ氏は足元の株価が現在の上昇局面のピークに近いことを認めています。しかし、企業の収益「見通し」も上昇しており、買いの裾野は広いのです。7月の米小売売上高が前月並みにとどまったにもかかわらず、個人消費が近いうちに急減速する様子はありません。ヤルデニ氏はこれこそがメルトアップの構造だと指摘しました。

 とは言うものの、誰が株式を買っているのでしょうか。買い手は、資本市場に資金を投入していることをわれわれが知っている機関、すなわち中銀と自社株買いを進める企業です。例えば、日経平均株価指数を構成する企業225社のうち90%で、日銀が大株主上位10位以内に入っています。ECBは社債の買い入れを行っています。イングランド銀行が9日に実施した国債買い入れオペは目標額に届きませんでした。米企業の自社株買いは過去最高を記録した昨年から減速したとはいえ、依然として速いペースを維持しています。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのデータによると、S&P500種指数構成企業の約25%が自社株買いによって1株当たり利益(EPS)を少なくとも4%増やしました。

 株式を買っていないのは誰か。少なくとも一般の個人投資家はあまり積極的ではないでしょう。バンク・オブ・アメリカのデータによれば、グローバル株式ミューチュアルファンドの運用資産残高は年初来1.8%減少しました(先週は資金流入超だったが)。つまり、この「メルトアップ」は、投資家が良い投資先に殺到しているから実現したのではなく、中銀が金融緩和開始から7年が経過した今もなお、われわれがかつて知っていた素晴らしい市場環境に非常によく似た状況を作り上げようとしている中で生まれたものだということです。(ソースWSJ)

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