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西洋美術史と現代日本のリアリズムの先駆者。日本で唯一のリアリズム専門の美術館!

2012-08-24 18:00:46 | 芸術(音楽など)・文化・歴史
リアリズム絵画とは、目に映るものを画面に描きとり、あたかも現実がその画面の中にも存在するかのように創造される絵画です。それはラスコーの洞窟壁画にまでさかのぼる絵画史の原点であり、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールにつながる絵画手法でもあります。当初はこういう絵画から始まっていったのですが、時代の変化とともに絵画も変化していきました。

絵画の本質をリアリズムと捉え、その頂点にイタリア・ルネサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチを据え、その後もレンブラント・ファン・レインやドミニク・アングルなどの巨匠は存在したものの、レオナルド以後の写実絵画の歴史を見ると衰退の歴史となっています。その原因として徒弟制度がなくなったことと、時代の進度の加速を挙げられると言います。その後、見たとおりに書くだけでは物足らなくなった人たちの中から形体の明確な描写よりも、それをつつむ光の変化や空気感など一瞬の印象を捉え、再現しようとした印象派と呼ばれる人たちが出てきました。モネ、ドガ、ルノワールなどで、さらにポスト印象主義として、見たままの自然を描く従来の印象派とは異なり、これらを主観的表現として再構成したセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどが挙げられますが、便宜的なグルーピングであり、様式的な共通性は希薄であって、それぞれの画家の画風は大きく異なるそうです。

20世紀に入ると、表現方法は多様化していきました。色彩は自然を再現するものではなく、感動などの心の動きを表現するための道具として用いられるべきだとするフォーヴィスム(野獣派)によって、20世紀の美術は幕を開いたと言います。フォーヴィスムは野獣(フォーヴ)に喩えられるような、原色を多用した強烈な色彩と激しいタッチを特徴とするそうです。代表的な画家にアンリ・マティス、 アンドレ・ドランらがいるそうです。さらに対象の形態を解体し、立方体で再構成するキュビスムはパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックらによって押し進められました。これ以外にも様々な試みがなされ、このような模索を経て形成され辿り着いたのが抽象画とシュルレアリスム(超現実主義)です。抽象絵画は絶対絵画とも呼ばれ、目に見える現実を描写するのではなく、色彩と形態などの純粋な造形的な要素だけによる表現を目指したものだそうです。この辺の絵画はと言うより20世紀の絵画になるとだんだん私には何だかわからなくなります。

今回は日本のリアリズムの野田弘志氏です。彼は、およそ10年単位でその個人様式を大きく転換させるという特徴があるそうですが、その核心は一貫しており、徹底した細密描写を中心とする粘り強いリアリズム表現が際立つのが特徴だそうです。現代の日本の超リアリズムの先駆者と言う人もいます。1992年以降は低彩度の明るい色(ライトグレーや白)を中心とした絵を描いているそうですが、彼の描いた絵画を見ると、まるでそこにあるかのように細密に描かれた超写実絵画で、女性の柔らかな髪の一本一本描かれ、皮をむいて少し時間の経ったレモンのかすかな湿り気などを感じ取れるほどです。写真を超えていると見間違うほどの超写実絵画に今、注目が集まっています。デジタル技術が高度に開発された現代、手で絵を描くことに一体どんな意味があるのか? リアリズム絵画は写真とどう違うのか? と思う人もいるでしょう。しかし彼の絵からは、レモンの一皮むけた絵などは写真では表現できないような生の瑞々しさが感じられます。それゆえに超写実絵画と言われる所以です。

では写実絵画を描いたダ・ヴィンチやフェルメールの絵を見て凄いと思わない人はいないと思いますか?どこか日本では写実絵画と言うと軽く見られているように感じますが、わけのわからないような抽象画を見ているよりもよほど心に響くものがあります。野田氏も言っていますが、写真を「メモとして」使用することを認めつつも、絵画と写真の差異を強調し、特に初心者が写真を見て描くことにより、様々な勘違いがうまれること、より重要な内容が身に付かないことに警鐘を鳴らしています。絵の先生も、いつも写真を見て描いていると写真を見なければ絵が描けなくなると言います。

さらに野田氏は、「写実絵画で要になるのは「存在」ということです。あくまでも「存在」が描けなければ芸術になりえない。しかし、日本人の美意識では「もののあはれ」や情緒のほうに行ってしまいがちです。細密にいくがために存在が薄れ本質が薄くなり、ロマンチックや情緒に流れてしまうと思うのです。本当の意味の写実はこれからだと思っています。写実というのは難しいけれども、最も深淵なことができる世界のはずです。僕が考える芸術は、人間の最高の精神、魂の形象化というか、姿になったもの。絵画でありながら絵画を超えたものを含んでいなければならないと思うのです。ただ、そこをやってしまうと、人はあまり寄ってこなくなるので難しい」と言っています

ホキ美術館は、日本初の写実絵画専門美術館です。ここでは彼の絵がたくさん収蔵されているそうです。巨匠から若手まで約40作家300点の写実絵画を所蔵しているそうです。日本で、写実の作品を見る機会はまだ多いとはいえません。ホキ美術館は日本で唯一と言ってもよい写実絵画専門美術館です。美術館の建物はこのコレクションのために設計されたのです。地上1階、地下2階の三層の長い回廊を重ねたギャラリーで、一部空中に浮いている部分もあるそうです。美術館は昭和の森公園に隣接しており、株式会社ホギメディカルの創業者である保木将夫(ホキマサオ)によって収集された写実絵画作品、約300点を収蔵・展示しています。

収蔵作家の大部分は日本人であり、日本最大となる森本草介のコレクション32点のほか、野田弘志 、中山忠彦、磯江毅、原雅幸、石黒賢一郎、小尾修、島村信之、諏訪敦、生島浩、五味文彦、青木敏郎、藤原秀一、大畑稔浩、永山優子、廣戸絵美、山本大貴など約40名です。コレクションのうち、約160点が、地上1階、地下2階の三層の回廊型ギャラリーに展覧されていて、特徴的な外見を持つ建築物は様々な賞を受賞しています。写実絵画コレクションのために設計された、ピクチャーレールのない展示室、天井に埋め込まれたLEDとハロゲンの照明、床には長時間の鑑賞に疲れないゴム素材を採用するなど、絵画鑑賞に最高の設備を備えた最新鋭の美術館で、美味しい食事とワインが楽しめるイタリアンレストランと、カフェも併設しています。

そんなわけで最近はこの美術館を訪れる人が急増しているそうで、バスで来る人もいるそうです。チャンスがあればぜひ一度行っていただきたい美術館です。

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