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露呈したデジタル広告の闇、疑念深める広告主!

2016-09-28 21:46:04 | 経済・金融・投資
自分たちが出した大金がどの程度効果的に使われ、どのような対価をもたらしたのか確認できない――。デジタル広告について一部の広告主はこんなふうに感じています。これだけでも厄介な事態ですが、それに拍車をかける出来事が相次ぎ、広告主を悩ませています。

 先週、広告業界にはびこる透明性の欠如が露呈しました。 フェイスブックが自社のプラットフォーム上での動画広告の平均視聴時間を最大で80%過大に見積もっていたことが明らかになり、メディアやマーケティング業界に衝撃が走りました。

 日本では広告代理店最大手の電通が23日、インターネット広告で少なくとも111社に過大請求を行っていたことを認めたのです。電通が不正を認めたきっかけは、広告の効果が出ていないというトヨタ自動車から苦情でした。電通は謝罪し、故意または人為的なミスが原因で不適切業務が発生したと説明しています。

 その一方で、広告主は、広告代理店が顧客にだまってメディア企業からリベートを受け取っているのではないかとの疑いを強めています。今年、広告業界を対象に行われたリベートに関する調査ではデジタル広告の契約が焦点の1つだった。ゼネラル・エレクトリック(GE)やJPモルガン・チェース、ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスは取引している広告代理店の監査を開始しました。広告会社は不正を否定しています。

 モバイル機器を片時も離さず、以前ほど従来型のメディアに触れることがなくなった消費者には、デジタル広告でメッセージを届けられる――。広告主はこれまで、このように説明されてきました。しかしフェイスブックの一件を含めた不透明な慣行を受けて、デジタル広告には落とし穴やリスクがあるという、これまでもぬぐいきれなかった印象がさらに強まったのです。

 企業の広告担当幹部にとって頭痛の種は、オンライン広告における透明性と信頼できる測定法の欠如だけではありません。広告が閲覧可能な状態になっていなかったり、コンピューターによって広告へのアクセス量が偽造されたりして、広告につぎ込んだ何十億ドルもの資金が無駄になっているのではないかとの懸念もそうです。

デジタル広告市場の伸び鈍化か

 全米広告主協会(ANA)のボブ・リオダイス最高経営責任者(CEO)によると、複数の問題が同時に発生したことでデジタル広告に対する広告主の見方が大きく変化し、1940億ドル(約19兆5800億円)に上る世界のデジタル広告市場の伸びが鈍化する恐れがあるといいます。ANAにはゼネラル・モーターズやAT&Tなどの大手の広告主が加盟しています。リオダイス氏は「広告主は投資収益の観点から何を得ているのかという疑問を持ち始めており、デジタル分野への投資水準の再評価を進めている」と話しました。

 通信会社USセルラーのブランド管理担当バイスプレジデント、グラント・リーチ氏によると、広告主が感じている最大の疑問は「自分たちの買い物には価値があるのか」ということだということです。デジタル広告を疑わしく思っても、従来型メディアから離れて多くの時間を過ごすようになった消費者にメッセージを届けたいのであれば、広告主はデジタル広告、特にモバイル機器向けの広告への支出を増し続けるしかありません。

 米広告業界の一部幹部の間では、「大手のオンラインプラットフォームは無責任な『ウォールドガーデン(壁で囲われた庭)』で、メディアや広告が自社プラットフォーム上でどのように消費されているのか限定的な情報しか提供しない」と言われています。フェイスブックの問題はまさにその認識を強めることになりました。

第三者による幅広い検証求める声

 ビールメーカーのハイネケンでメディア担当バイスプレジデントを務めるロン・アムラム氏は、自身の最大の関心事として「ウォールドガーデンはなくし、(大手のオンラインプラットフォームは)他のベンダーと対等に扱う必要がある」と話しました。アムラム氏と同社の代理店は今週、フェイスブックと会合を開き、問題の影響について議論する予定だといいます。

 フェイスブックの問題は従来型の出版社やテレビなど、フェイスブックと広告費を奪い合う競合他社にも影響を及ぼしています。米調査会社イーマーケターによると、460億ドル規模の米モバイル広告市場でフェイスブックは22%のシェアを握っており、順調にシェアを伸ばしています。直近の四半期決算ではモバイル広告収入が80%増加しました。競合他社は広告主を奪おうと、同社の失敗に付け込もうとするかもしれません。

 フェイスブックやユーチューブ、ツイッター、スナップチャットといったサイトでは動画の視聴者数は自社で把握していますが、テレビ業界ではニールセンが調査する視聴率が広告契約での基準となっています。

 広告枠の買い手とテレビネットワークは長年、ニールセンの視聴率データについて冗談交じりに不満を漏らしてきましたが、広告主は頼るべき独立機関があることに満足しています。

 大手のオンラインプラットフォームがそれぞれの価値について話したところで、「それを検証するのは難しい」とUSセルラーのリーチ氏は言います。それでもリーチ氏はデジタル広告向けの支出を削減する気にはならないと言います。

 ユニリーバのマーケティング責任者、キース・ウィード氏は「デジタルメディア産業で第三者による幅広い検証が行われなければ、広告主の投資行動に影響する」と指摘します。今回のフェイスブックの一件については、広告主が出した広告費に実質的な影響はなかったとみて問題視しなかった企業もあります。

 ソーシャルメディア企業ランドリー・サービスの創業者でCEOのジェイソン・スタイン氏はフェイスブックが動画広告を3秒以上見た人だけを視聴者に数え、その結果、平均視聴時間が過大に見積もられたことについて、「広告キャンペーンの測定基準に使うべきではない。視聴時間を測定するには生データを使うべき」と指摘しました。

 WWP傘下の広告代理店ネットワーク、グループMは声明を発表し、フェイスブックが3秒未満の視聴を視聴者から除いたことは「不注意で残念」だが、「今回の過ちを注意深く調査したところ、当社の広告キャンペーンに関して価格決定や顧客への広告提供に一切影響しなかったと判断した」と述べました。

 しかし、フェイスブックの過大見積もりが同社への広告費の分配に影響が及んだり、広告キャンペーンの効果について誤解を招いたりした可能性があるとみる企業もあります。フェイスブックのある大口の広告主は「(数字を)実際よりよく見せて、自分たちの利益を増やした具体的な詳細について(フェイスブックから)聞いている」と話しました。

 ある広告枠の買い手は、フェイスブックが広告主に返金する必要があるとは思っていない可能性があると指摘。この買い手のチームは動画の視聴時間ではなく、広告の表示回数を保証する契約に基づいてフェイスブックの動画広告枠を購入しているからです。

 グループMのロブ・ノーマン最高デジタル責任者(CDO)は動画の視聴者についてより細かなデータを入手できるようになることが必要だと話します。「われわれは視聴者数を知る必要がある。彼らがどんな人間で、どの広告をどの程度見ているか知る必要がある」と。ノーマン氏は「顧客にとって最大の問題は、広告の手段ごとの予算配分について意思決定ができることだ」と話しました。(ソースWSJ)

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