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戦国時代の石積みをヒントに画期的な土木工法を開発した男の物語!

2011-06-26 19:02:28 | 自然・環境問題・古生物
今日の夢の扉「土砂災害と戦う男」という番組は良かったですね。ちょっと題名が番組の内容を的確につかんでいるとは言い難いですが、内容は大変良いものでした。この主人公はもともと造園家で、今回の土木構造物の仕事はある興味を持ったことから始まった事業でした。それは昔ながらの石済み工法です。分かりやすく言うと城の土台となる石積みですが、あの大きな城を乗せても地震がきても崩れることなく石積みの土台は今でも残っているように、日本の伝統的な石積み工法は優れた土木工法なのです。ところがコンクリートが発明されてからは、こうした昔ながらの土木工法は忘れ去られていたのです。そこに注目したのが今回の主人公である吉工園の吉村社長でした。

その強さの秘密は石積みの石と石との隙間にあったのです。吉村社長がヒントとなったのは直接、城の石垣を見て思いついたわけではなく、実は戦国時代の段々畑の石積みからヒントを得たのです。ともともと造園家であったと言いましたが、その造園の特徴は石をふんだんに使った造園と言うのが特徴だそうです。つまり個人的に石が好きだったのです。その頃から石積みの魅力に引かれていっていたのです。しかしコンクリートの土木技術の発達とともに昔ながらの石積み技術は忘れ去られようとしていたのですが、優秀な石積み技術が使われなくなるのはもったいないことだと考えたのです。

しかし現代ではその技術ではもっと強度を上げないと使えないと言うことで、その強度を上げるにはどうしたら良いかを試行錯誤しながら考えたのです。そして辿り着いた考えが植物の根なのでした。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、山に樹が生えているとしっかりと大地に根を張るので、山の斜面などが崩れにくくなると言うのは分かりますよね。つまりそういう大地に根を張ったブロックを作ればいいのだと考えたのです。普通の人だったら大地に根を張るブロックなんてあるのだろうかと、そもそもそんな考えすらしなったでしょう。何かを成し遂げるという人はそういう常識にとらわれない人が、今までにない全く新しいものを創造するのだと思います。そして割り箸で模型を作りどうしたら良いかを考えたのです。

石積みのブロックに鉄パイプを何本も入れたら思わぬ強度があることが分かったのです。そこで一個40~50万円もする金型を作ったのですが、実際に作ってみると強度が足らなかったのです。そんなことを繰り返していたので従業員の給料を払えないほどだったそうです。そんな苦労を重ねることと6年、ついにブランチブロックが完成したのです。城のブロックと組み合わせることで全く新しいブロックを開発したのです。ある大学の教授にその強度を測ってもらったところ教授が考えていた以上に強度があったとびっくりするほどだったのです。ブランチブロックは石積み工法なので川の土手にこれを使うと、デコボコになっていることで水の流れが遅くなるということも分かったのです。さらに石積みには隙間があるのでこの隙間に草が生えたり木が生えてきたりして自然に優しい土手になったのです。しかも工期が早く、強さもあり、言うことなしと思われたのですが、しかしここからがまた一苦労も二苦労もすることになるとは夢にも思わなかったのです。

実は日本というところは変なところがあって、実績がないといくらすばらしいものだと実証して見せても、相手にしてくれない冷たいところがあるのです。このブランチブロックもこの壁に阻まれてしまったのです。まして大手どころか本当に小さな会社です。そんな小さな会社の言うことに耳を傾けるようなところはなかなかないのです。しかしついにブランチブロックを使ってくれるところが現れたのです。兵庫県豊岡市の漁業組合がブランチブロックに目をつけたのです。と言うのは、ここは鮎の川として有名なところだそうです。さっそくこれを取り入れたところ魚の数が今までの3~4倍も増えすぐ効果が現われたそうです。石の隙間が魚の棲家にちょうど良く、川が急に増水しても避難場所にもなるからだと思います。今の河川の多くはコンクリートで固めてしまい、あれではまるで単なる水路でしかありません。とても魚がすめるような川でなく死んだ川なのです。それをブランチブロックが魚に棲家や避難場所を提供したからだと思います。だからすぐ効果が現われたのです。もちろん台風の増水にもブロックは全く無傷でした。

そして今から2年前、台湾を大型台風が襲い、護岸の復旧にブランチブロックが採用されたのです。工期が早く丈夫だからでしょう。材料はすべて現地で調達できるものばかりだそうです。流れてきた石は石積みに使われるのですから原材料費も安く済むでしょうね。この護岸は高さ8メートル、全長は840メートルという巨大な護岸で、それを8ヶ月で完成させたのです。これを切っ掛けに台湾でこのブロックが注目されるようになり、さらには他のアジアでも注目されるようになったのです。ここで初めて日本の大手ゼネコンが彼に協力を求めてきたのです。宮城県の石巻では護岸に土嚢が積まれただけの状態だったのです。瓦礫を砕けば石積みの材料になり一石二鳥です。やっと日本でも認められて被災地の役に立つときが来たのです。

どうして日本というところはこうした実績がないと言うだけで優秀な製品でも相手にしないのでしょう。実績がないという発想は役人と同じではないでしょうか?そういう点では、外国のほうが無名でも優秀なものは採用してくれたり、会ってくれたりしてくれますが、日本では門前払いで終わりです。そういう点はほんとうに情けないですね。海外で有名になると、急に日本でも有名になるなんて言う事例はいくつもありますからね。日本人には冷たく先進国には甘い日本なのです。

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