マックンのメモ日記

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マンモスを絶滅させたのは人間か? 気候変動か?

2015-10-16 10:01:12 | 自然・環境問題・古生物
米国ミシガン州で、ほぼ完全なケナガマンモスの骨格がこのほど発掘されました。このマンモスについていくつかの疑問が浮上しています。マンモスはなぜ、この場所で死んだのだろうか? また、氷河期の終わりとともにマンモスが絶滅したのは、人間のせいなのだろうか?

 ミシガン大学の古生物学者ダン・フィッシャーは、この発見に関するニュースのなかで、先史時代の人類がこのマンモスを殺して解体し、すぐには食べない分を冷たい湖に沈めて冷蔵したのではないかという説を披露しました。ほかの科学者たちは、骨の切断痕などを調べないかぎり、死因はわからないといういます。

 北米では、氷河期の末に絶滅した哺乳類が、ケナガマンモス以外に36種知られています。こうした動物が人間のせいで絶滅したのかどうかについては、いまだに激しい論争が続いています。人間以外の有力な絶滅の原因として考えられているのは、気候変動です。

 9月28日、ミシガン州チェルシー近郊で、大豆畑の水はけをよくするために深い穴を掘っていた男性たちが、約1万2000年前にこの地をのし歩いていたケナガマンモスの骨を掘り当てました。

 連絡を受けて現場に駆けつけたフィッシャー氏のチームが発掘した骨には、牙のついた完全な頭蓋骨も含まれていました。ケナガマンモスはヨーロッパからアジアを経て北米までの広い範囲で見つかっていますが、ミシガン州では10体ほどしか出土していません。近縁の、より原始的なアメリカマストドンが約300体発見されているのに比べると、非常に少ないのです。

 イリノイ州立博物館の古生物学者クリス・ウィドガは、ミシガン州では氷河の消長があったため、マンモスはあまりいなかっただろうと考えています。「ミシガン州が氷の下にあった時代には、この地域のゾウの仲間はマンモスしかいませんでした」とウィドガ氏は言っています。マンモスは、氷床の南の寒冷な草原地帯で草をはんでいたのだろう。「氷が解ける頃には、マストドンがマンモスを駆逐していました」。

 だから、1体とはいえマンモスの骨が新たに出土したことは大いに喜ぶべきことなのです。ウィドガ氏は、マンモスの牙に残った痕跡を詳細に調べてその生涯を推測したフィッシャーの研究を引き合いに出して、「たった1カ所の発掘調査からでも、非常に多くの情報を得ることができるのです」と言います。

 ほかの専門家たちは、今回見つかったマンモスが氷河期に人間によって殺されたという結論に飛びついてはならないと言います。「この時代に湖や沼地だった場所でマストドンが発見されるのは珍しくありませんし、マンモスが発見されたこともあるからです」とウィドガは言います。

 骨に残った切断痕などの証拠がないかぎり、米国中西部の古代の湖や沼地の跡からばらばらになったゾウの骨格が見つかる理由は、ほかにも考えられるからです。例えば、水中に沈んでいた死体がいちど浮き上がってきてから分解したと考えることもできます。「適切な方法で調査され、その結果が論文として発表されるまでは、正しく評価することはできません」と彼は言います。

 ワシントン大学の動物考古学者ドナルド・グレイソンによると、人間がマンモス狩りをしたりマンモスの死体を食べたりしていたことを示す決定的な証拠は非常にまれだといいます。彼は今年、南メソジスト大学のデヴィッド・メルツァーとともに発表した論文で、北米には氷河期に人間が哺乳類を殺していたとされる遺跡が76カ所ありますが、人間がマンモス狩りをしていた証拠があるのはそのうちの12カ所だったとして、人間は氷河期に北米の動物を絶滅させた主要な原因ではないと主張しています。

 この時代の絶滅の鍵となるのは気候です。人間が北米大陸に移動してきたのと同じ時期に、寒冷で乾燥していた地球の気候は急激に変化して、温暖で湿潤になったからです。

 この変化により、ケナガマンモスが好む寒冷な草原地帯は急激に失われました。ユーラシア大陸からバイソンがやって来たり、かつて「マンモス・ステップ」と呼ばれる草原が広がっていた場所が森林になったりするなどの生態系の変化もあって、マンモスは従来の生息域に住めなくなっていったのです。最後にシベリア北部のウランゲリ島に隔離集団が残りましたが、これも約4000年前に絶滅しました。

 とはいえ、絶滅の理由が一つだけであることはめったにありません。最後に残ったマンモスが死んだ理由は、最初にこの種が絶滅に向かうことになった理由と必ずしも同じではないでしょう。(参考記事:「マンモスは植生の変化で絶滅?」)

 チェルシーのマンモスが秘密を打ち明けてくれるようになれば、氷河期の終わりの生と死をめぐる論争を少しだけ決着に近づける事実も明らかになるでしょう。(ソースナショナルジオグラフィック)

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