★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のベートーヴェン:序曲選集

2024-04-01 09:37:18 | 管弦楽曲


ベートーヴェン:序曲選集            

             「コリオラン」            
             「フィデリオ」            
             「レオノーレ」第1番/第2番/第3番

指揮:フランツ・コンヴィチュニー

管弦楽団:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

発売:1974年

LP:日本フォノグラム(フォンタナ・レコード)

 「コリオラン」序曲は、当時ウィーンの詩人で法律家でもあったハインリヒ・コリンが、1902年11月に上演した5幕からなる戯曲「悲劇コリオラン」を基にベートーヴェンが作曲した作品。「フィデリオ」序曲は、ベートーヴェンが遺した唯一のオペラの序曲。1805年11月20日に「レオノーレ」という題名でこのオペラは初演された。しかし、この1週間前にフランス軍がウィーンを占領したため、3日間の上演で中止されてしまった。翌1806年に改作され、3月と4月に上演されたが、今度は報奨金の件でベートーヴェンは劇場側と喧嘩をしてしまい、怒ったベートーヴェンは、続演を断ってしまった。それから8年が経った1814年5月に、このオペラは徹底的に改訂され、題名も「フィデリオ」に改められて、上演され、ようやく大好評得たという。「レオノーレ」序曲第1番は、1807年のプラハにおける上演のために書かれ、そのまま破棄されたという説があり、実際のオペラの上演には使われてはいない。「レオノーレ」序曲第2番は、オペラ「レオノーレ」が1805年に初演された時に書かれたもの。「レオノーレ」序曲第3番は、1806年の改作の上演の時に作曲されたもので、序曲の名作として今日でもしばしば演奏される。フランツ・コンヴィチュニー(1901年―1962年)は、オーストリア出身で、旧東ドイツで活躍した名指揮者。ライプツィヒ音楽院で学ぶ。フルトヴェングラー時代のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団でヴィオラ奏者として活動した。その後、指揮者に転向。1927年にシュトゥットガルト歌劇場の練習指揮者として指揮者活動をスタートさせ、3年後に首席指揮者に就任。1953年から1955年までシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務め、1955年以降はベルリン国立歌劇場の首席指揮者も務めた。1952年、東ドイツ国家賞を受賞。1949年から亡くなる1962年まで、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター(楽長)を務めた。このLPレコードでのコンヴィチュニーは、いつになく現代的な感覚をもって指揮をしており、今聴いても古めかしさはあまり感じない。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の重厚で燻し銀のような音色を巧みにリードして、ベートーヴェンの序曲の真髄を余すところなく聴かせてくれる。特に、レオノーレ第3番の演奏は完成度が高く、今でもこの曲の録音の最高の一つに挙げられよう。(LPC)         


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