★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ジョージ・ウェルドン指揮によるグリーグの北欧の自然を反映した4つの管弦楽曲

2019-11-07 09:57:11 | 管弦楽曲

グリーク:ホルベルク組曲(ホルベルク時代から)
     二つの悲しき旋律
     ノルウェー舞曲
     抒情組曲

指揮:ジョージ・ウェルドン

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団(ホルベルク組曲/二つの悲しき旋律)
    ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(ノルウェー舞曲/抒情組曲)

LP:東芝EMI EAC‐30166

 これは、グリークの管弦楽曲を収録したレコードであるが、どの曲もグリークの魅力的な旋律が存分に込められた曲であり、グリークという北欧の大作曲家の素顔を知ることができる。「ホルベルク組曲」のホルベルクとは、デンマークの文学の父と呼ばれたルードヴィ・ホルベア男爵を指す。グリークと同郷のノルウェーのベルゲン出身で、コペンハーゲン大学の教授を務め、デンマークの古典文学を興し、高めたことで知られる。その頃、ノルウェーは、独立しておらず、デンマークおよびスウェーデンに支配されていたため「デンマークのモリエール」などと呼ばれていた。グリークは、ホルベアの生誕200年を記念して、1884年にピアノ独奏用の「ホルベルクの時代から」を作曲し、翌年にこれを管弦楽用に編曲した。全5曲からなり、北欧風ロココ趣味的内容となっている。「二つの悲しき旋律」は、1880年に作曲された「六つの歌」第1巻から第2曲目「過ぎた春」と第3曲目「胸のいたで」を基に管弦楽用に編曲したものだが、この時、第2曲目と第3曲目を入れ替えているが、2曲とも悲愁に満ちた美しい抒情曲となっている。ノルウェーには素朴な舞曲が数多く存在するが、グリークは「ノルウェー舞曲」Op.35と「交響的舞曲」Op.64の2つの管弦楽曲を残している。「ノルウェー舞曲」は、1881年頃に作曲された作品。「抒情組曲」は、全10巻わたるピアノ独奏曲「抒情小曲集」を基に管弦楽用に編曲した作品。1891年に発表された「抒情小曲集」第5集の6曲のうち4曲を「抒情組曲」として管弦楽用編曲したもの。このレコードでは、1943年から1951年までバーミンガム市交響楽団の首席指揮者を務めたイギリス出身のジョージ・ウェルドン(1906年―1963年)が指揮をしている。北欧の自然の素朴な美しさを優しく包み込んだようなグリークの管弦楽曲は、ウェルドンのように、心のこもった演奏をする指揮者が一番よく似合う。どの曲もしみじみとした雰囲気を湛えた演奏となっており、じっくりと聴くのにはこの上ない演奏内容となっている。(LPC)


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