★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ロバート・アーヴィング指揮フィルハーモニア管弦楽団のドリーブ:「コッペリア」「シルヴィア」/ショパン(ダグラス編曲):「レ・シルフィード」

2023-09-25 09:48:19 | 管弦楽曲


ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」
  
 前奏曲(第1幕)/マズルカ(第1幕)/ワルツ(第1幕)/“愛の穂”のバラード(第1幕)/スラヴの主題と変奏曲(第1幕)/祈り(第3幕)/チャルダッシュ(第1幕)      

ドリーブ:バレエ音楽:「シルヴィア」

 前奏曲「狩りの女神」(第1幕)/間奏曲(第1幕)/ゆるやかなワルツ(第1幕)/ピチカート(第3幕)/アンダンテ(第3幕)/行進曲とバッカスの行列(第3幕)
       
ショパン(ダグラス編曲):バレエ音楽「レ・シルフィード」

 序曲(前奏曲op.28-7)/第1曲(ノクターンop.32-2)/第2曲(ワルツop70-1)/第3曲(マズルカop.33-2)/第4曲(マズルカop.67-3)/第5曲(前奏曲op.67-3)/第6曲(ワルツop.64-2)/第7曲(華麗なる大ワルツop.18)

指揮:ロバート・アーヴィング

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン

LP:東芝EMI EAC‐30095

 バレエ音楽といえば誰もが最初に思い浮かべるのが、ドリーブ(1836年―1891年)の「コッペリア」と「シルヴィア」ではなかろうか。このLPレコードには、この2曲とショパン作曲(ダグラス編曲)の「レ・シルフィード」が収められており、バレエ音楽の醍醐味を存分に味わうことができる。19世紀に入ってバレエは、技術的に大いに進歩したが、一方では、単なる見世物的要素の強い“曲芸”に終始していた。それを、芸術性の高い音楽を付けることによって、バレエ自体を高めることに成功したのがドリーブであり、“バレエ音楽の父”とも言える所以なのである。その思想は「『音楽はバレエのテキストと密接に結びついたものでならない』『劇的な興味を犠牲にして、単に踊り手の技術の見せ場として舞曲がならべられ、音楽がその拍子とりであってはならない』・・・」(吉田徳郎氏、ライナーノートより)など、今考えれば当たり前の考えであっても、当時のバレエ界にとっては画期的な考えであり、丁度、モーツァルトやグルックがオペラで果たしと同じ役割を、ドリーブはバレエにおいて実現させたと言うことができよう。「コッペリア」と「シルヴィア」は、そんなドリーブの真骨頂が遺憾なく発揮されたバレエ音楽の傑作として、現在も多くのファンを魅了して止まない。「コッペリア」は、ドイツ・ロマン派の作家E・T・Aホフマンの原作をもとにつくられた。この曲の特徴は、機知に溢れた旋律と生き生きとしたリズムにあり、全部で前奏曲と20曲からなり、ここでは6曲が演奏されている。「シルビア」は、イタリアの詩人タッソーの物語「アマンタ」に基づいている。作品自体は平凡であるがドリーブが付けた音楽が優れ、現在でもしばしば上演される。ここでは6曲が演奏されている。一方、ショパン作曲(ダグラス編曲)の「レ・シルフィード」も、バレエ音楽の華ともいえる曲で、ショパンの華麗で叙情的なピアノ独奏曲が、実に巧みにオーケストラ曲に編曲され、これもバレエ音楽の名曲として、多くのファンから支持を受けている。これら3曲を演奏しているのがロバート・アーヴィング指揮フィルハーモニア管弦楽団。アーヴィング(1913年―1991年)は、約30年間ニューヨーク・シティ・バレエで音楽監督を務めたバレエ指揮者。華やかな中に、軽やかなバレエ独特のリズム感をふんだんに取り入れた演奏であり、これら3曲のバレエ音楽を楽しむには、これ以上は望めないと思えるほどの熟達した演奏を聴かせてくれる。(LPC)


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