★私のクラシック音楽館(MCM)★ クラシック音楽研究者  蔵 志津久            

クラシック音楽のCD/DVDによる名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー(エッシェンバッハ&ウィーンフィル  )

2017-02-21 08:49:52 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」

 

<NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー>

 

~エッシェンバッハ指揮ウィーン・フィルと注目のヴァイオリニスト リサ・バティアシュヴィリの共演~

ベートーヴェン:「エグモント」序曲 
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 
シューマン:交響曲第2番 

ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ

指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
       
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
            
収録:2016年5月20日、オーストリア、ウィーン楽友協会大ホール    
                 
提供:オーストリア放送協会

放送:2017年1月27日(金) 午後7:30~午後9:10

 今夜のNHK‐FM「ベストオブクラシック」は、クリストフ・エッシェンバッハ指揮ウィーン・フィルとヴァイオリンのリサ・バティアシュヴィリの演奏会である。クリストフ・エッシェンバッハ(1940年生れ)は、ドイツ出身のピアニスト、指揮者。養母からピアノの教育を受けたのがスタート。1950年ハンブルクに移り、「スタンウェイ・コンクール」で第1位。11歳のとき、ベルリン・フィルを指揮するフルトヴェングラーの演奏を聴き、将来は指揮者になる決意をした。そして指揮者になるために、15年間にわたりヴァイオリンを習い続けたという。1955年ケルンの上級音楽学校(現ケルン音楽大学)に入学。1959年ハンブルクに戻り指揮を学び始める。この間ピアニストとして国際的に名声を得る。当時、日本でもピアニストとしてのエッシェンバッハの人気には絶大なものがあった。そして、1970年代より指揮者に転進。これまで、ウィーン交響楽団首席指揮者、ヒューストン交響楽団音楽監督、北ドイツ放送交響楽団首席指揮者、パリ管弦楽団首席指揮者、フィラデルフィア管弦楽団音楽監督を歴任。 2010年からはワシントンD.C.のナショナル交響楽団及びジョン・F・ケネディ・センターの音楽監督に就任した。

 ヴァイオリンのリサ・バティアシュヴィリ (1979年生れ) は、グルジア(現ジョージア)の首都トビリシ出身。1994年一家でドイツのミュンヘンに移住し、ハンブルクとミュンヘンでヴァイオリンを学ぶ。1995年16歳での時「シベリウス国際ヴァイオリン・コンクール」において第2位に入賞し、一躍世界的脚光を浴びることになる。2001年英国「BBCプロムス」のコンサートに初出演。2007年ベルリン・フィルやニューヨーク・フィルとの共演を果たす。2003年シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭において「レナード・バーンスタイン賞」を受賞。現在、世界各地で活発な演奏活動を展開している。日本にもたびたび来日し、NHK交響楽団とも共演している。

 第1曲目は、ベートーヴェン:「エグモント」序曲。ここでのエッシェンバッハの指揮は、ウィーン・フィルから劇的な効果を最大限発揮させることに成功したようだ。一点の曇りもない、くっきりとした表現が聴いていて心地良い。エッシェンバッハはオーケストラを、その気にさせる術に長けているのであろう。ウィーン・フィルが嬉々として演奏している様が、スピーカーを通して伝わってくる。第2曲目は、ブラームス:バイオリン協奏曲。ブラームス45歳の時の作品で、ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムの助言を受けて作曲したもの。ここでの聴きものは、何と言ってもリサ・バティアシュヴィリのヴァイオリンだ。何という美しいヴァイオリン演奏であることか。ヴァイオリンがあたかも命を宿して、コンサートホールの空間を自由自在に飛び回るかのような印象を受ける。リサ・バティアシュヴィリの演奏自体は、決して一方的な自己主張はしていないが、聴き終えると強烈な印象をリスナーに残すのである。これは曲を知り抜いているからこそできる凄技なのであろう。それに加え、全体に気品の漂う雰囲気が実に清々しい。このままいけばリサ・バティアシュヴィリは、将来、ヴァイオリンの大家として世界に君臨するのではないか、そんな予感がした演奏内容であった。聴き終えた聴衆の熱狂している様を聴き取ることができた。

 最後は、シューマン:交響曲第2番。この曲は、1845年から1846年にかけて作曲され、メンデルスゾーン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって初演された。シューマンが完成した交響曲としては、2番目のものは後年改訂出版されて「第4番」とされたため、出版順序によって第2番となった曲。シューマンの交響曲としは、第1番の「春」、第3番の「ライン」、それに劇的な効果を発揮する第4番が、我々日本人にとって印象深いのだが、第2番となるともう一つ印象が薄い気がする。そのシューマン:交響曲第2番をエッシェンバッハが取り上げて、どう指揮するのかが興味深いところであったが、聴き終えて、成るほどとガッテンが行った。エッシェンバッハはこの曲を、ロマンの香りに包まれた鬱蒼とした印象の交響曲としては捉えず、がっちりとした構成力を持った堂々とした大交響曲として捉え、真正面から真剣勝負に打って出た指揮ぶりだったのだ。ベートーヴェンの交響曲を聴くような、力強さが曲の全体から滲み出た演奏内容であった。年輩のリスナーは、エッシェンバッハの名を聞くと反射的にピアニストをイメージすると思うが、今夜のエッシェンバッハの指揮を聴くと、ピアニストの余技としての指揮ではなく、本格派の指揮者らしさに溢れた演奏内容であった。
(蔵 志津久)          

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-02-21 08:48:50 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~ドイツの名指揮者 フランツ・コンヴィチュニーが遺した貴重な“ベートーヴェン:交響曲全集/序曲集”~

<DISK1>

交響曲第1番/第2番

序曲:プロメテウスの創造物

<DISK2>

交響曲第3番「英雄」

序曲:レオノーレ第1番/第2番

<DISK3>

交響曲第4番/第5番「運命」

<DISK4>

交響曲第6番「田園」

序曲:レオノーレ第3番/フィデリオ/コリオラン

<DISK5>

交響曲第7番/第8番

<DISK6>

交響曲第9番 ソプラノ:インゲボルク・ヴェングロル
          アルト:ウルズラ・ツォレンコップフ
          テノール:ハンス=ヨアヒム・ロッチュ
          バス:テオ・アダム

          合唱:ライプツィヒ放送合唱団

指揮:フランツ・コンヴィチュニー

管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

CD:BERLIN Classics ETERNA 0020 005

 この6枚組のCDはドイツの名指揮者フランツ・コンヴィチュニー(1901年―1962年)が遺した「ベートーヴェン:交響曲全集/序曲集」である。コンヴィチュニーの指揮は、決して奇を衒わず、あくまで正攻法を貫き通す。このことが、とりわけベートーヴェンの交響曲を指揮する場合に大きな意味合いをもたらす。ベートーヴェンの交響曲は、これまで数多くの指揮者の録音が遺されている。言ってみれば、指揮者の数だけ解釈が存在することになり、もともとベートーヴェンが作曲した交響曲の本来の姿はどうなんだ、という素朴な疑問が湧きおこる。こんな時、コンヴィチュニーの存在意義があるのだ。コンヴィチュニーは、多くの指揮者の独自の解釈によって覆い隠されてしまったベートーヴェンがつくった交響曲の言わば原石のようなものを我々リスナーの元へと届けてくれる貴重な指揮者なのだ。自己を「無」にしたような指揮法が、逆にベートーヴェンの交響曲の本来の力強さを引き出す。実に堂々としたベートーヴェン像を描き切って見事だ。ベートーヴェンの不屈の闘志は、コンヴィチュニーの指揮によって、その真実の姿が鮮やかに蘇る。この「ベートーヴェン:交響曲全集/序曲集」を今改めて聴き直してみて、コンヴィチュニーこそは今再評価されてよい指揮者の最右翼にいることを私は実感する。(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2017-02-20 10:14:55 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~大阪フィルハーモニー交響楽団 “創立70周年記念”第50回東京定期演奏会~

ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調「1905年」op.103
             交響曲第12番 ニ短調「1917年」op.112

指揮:井上道義

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

会場:東京芸術劇場 コンサートホール

日時:2017年2月22日 (水)   午後7時

 大阪フィルハーモニー交響楽団は、今年創立70周年記念を迎える。1947年「関西交響楽団」という名称で生まれ、創立から2001年までの55年間、朝比奈隆が常任指揮者・音楽総監督を務めた。その後、2003年から9年間、音楽監督を大植英次が務め、現在は2014年から首席指揮者を務める井上道義と2016年に指揮者に就任した角田鋼亮の2人体制のもと活動を展開している。活動は本拠地であるフェスティバルホールでの「定期演奏会」(年10回、毎回2公演開催)をはじめ、ザ・シンフォニーホールにて平日昼間に開催している「マチネ・シンフォニー」や平日夜の少し遅めの演奏会「ソワレ・シンフォニー」、大阪のメインストリートである御堂筋や中之島の街角で繰り広げる音楽イベント「大阪クラシック」など多彩な演奏活動を行っている。

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-02-20 10:14:27 | 歴史的名盤CD選集


【歴史的名盤CD選集】



~ドイツの名ピアニストのワルター・ギーゼキングが弾くモーツァルト:ピアノ音楽全集(全63曲)~

モーツァルト:ピアノ音楽全集(全63曲)<K1~K616>

<Disc 1> 

1 メヌエットとトリオ ト長調 K1 
2 メヌエット ヘ長調 K2
3 アレグロ 変ロ長調 K3
4 メヌエット ヘ長調 K4
5 メヌエット ヘ長調 K5
6 グラーフのオランダ語歌曲「われら勝てり」による8つの変奏曲 ト長調 K24
7 オランダ歌曲「ウィレム・ファン・ナッサウ」による7つの変奏曲 ニ長調 K25
8 アレグレットの主題による6つの変奏曲 ヘ長調 K54 
9 メヌエット ニ長調 K94
10 サリエリの歌劇「ベネチアの定期市」のアリア「わがいとしのアドーネ」による6つの変奏曲 ト長調 K180 
11 フィッシャーのメヌエットによる12の変奏曲 ハ長調 K179 
12 ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調 K279
13 ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調 K280  
14 ピアノ・ソナタ第3番変ロ長調 K281
 
<Disc 2> 

1 ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 K282  
2 ピアノ・ソナタ第5番 ト長調 K283 
3 ソナタ楽章(アレグロ) ト短調 K312
4 ピアノ・ソナタ第6番 ニ長調(デュルニッツ・ソナタ) K284 
5 ピアノ・ソナタ第7番 ハ長調 K309
 
<Disc 3> 

1 ピアノ・ソナタ第9番 ニ長調 K311 
2 ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K310
3 ボーマルシェの喜劇「セビリヤの理髪師」のロマンス「私はランドール」による12の変奏曲 変ホ長調 K354
4 カプリッチョ ハ長調 K395
5 フランスの歌「ああお母さん聞いて」による12の変奏曲(きらきら星変奏曲) ハ長調 K330
6 ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K330
 
<Disc 4> 

1 ピアノ・ソナタ第11番 イ長調(トルコ行進曲) K331
2 ピアノ・ソナタ第12番 ヘ長調 K332
3 フランスの歌「美しいフランソワーズ」による12の変奏曲 変ホ長調 K353
4 ドゼードの喜歌劇「ジュリー」の「リゾンは眠った」による9つの変奏曲 ハ長調 K264
5 ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K333
 
<Disc 5> 

1 8つのメヌエットとトリオ K315a
2 グレトリーの歌劇「サムニウム人の結婚」の行進曲の主題による8つの変奏曲 ヘ長調 K352
3 ソナタ楽章(アレグロ) 変ロ長調 K400
4 幻想曲とフーガ ハ長調 K394
5 フーガ ト短調 K401
6 幻想曲 ハ短調 K396
7 幻想曲 ニ短調 K397
8 ヘンデルの手法による組曲 ハ長調 K399
9 パイジェルロの歌劇「哲学者気取り」の「主に幸いあれ」による6つの変奏曲 ヘ長調 K398
 
<Disc 6> 

1 小葬送行進曲 ハ短調 K453a
2 サルティの歌劇「とんびに油揚」のミニヨンのアリア「小羊のように」による8つの変奏曲 イ長調 K460
3 グルックの歌劇「メッカの巡礼」の「われらが愚かな民の思うには」による10の変奏曲 ト長調 K455
4 幻想曲 ハ短調 K475
5 ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K457
6 ロンド ニ長調 K485
 ソナタ楽章とメヌエット 変ロ長調 K追加136
7アレグロ
8メヌエット(アレグレット)
9アレグレットの主題による12の変奏曲 変ロ長調 K500
 
<Disc 7> 

1 6つのドイツ舞曲 K509
2 ロンド イ短調 K511
3 ピアノ・ソナタ第18番 ヘ長調 K533
4 ロンド ヘ長調 K494
5 アダージョ ロ短調 K540
6 ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 K545
7 ピアノ・ソナタ第19番 ヘ長調 K追加135&K追加138a

<Disc 8> 

1 ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K570
2 デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 ニ長調 K573
3 小さなジーグ ト長調 K574
4 ピアノ・ソナタ第17番 ニ長調 K576
5 アンダンティーノ 変ホ長調 K236
6 メヌエット ニ長調 K355
7 アダージョ(グラスハーモニカのための) ハ長調 K356
8 「女はたいしたものだ」による8つの変奏曲 ヘ長調 K613
9 アンダンテ(自動オルガンのための) ヘ長調 K616

 ピアノ:ワルター・ギーゼキング

CD:東芝EMI CC25‐3765~72(CD8枚組)

 ドイツの名ピアニストであったワルター・ギーゼキング(1895年―1956年)が遺したCD8枚組からなる、「ギーゼキング:モーツァルト/ピアノ音楽全集(全63曲)」は、今日に至るまで、その存在意義は少しも失われていない。これは、ギーゼキングが1956年、モーツァルトの200年祭を記念して録音したものであり、確かに音質自体は、最新の録音技術と比らべると、硬質で重々しいには違いないのだが、音の輪郭はしっかりと捉えられており、充分とは言えないが鑑賞に耐えられるレベルには達している。特に挙げておきたいことは、一人のピアニストが短期間で録音したことによって、一貫した流れの中でモーツァルトのピアノ音楽全63曲の全体像を掌握できることであり、このことは何事にも代えがたい素晴らしいことなのだ。当時“新即物主義”の旗手と言われたギーゼキングは、この録音でも楽譜に忠実に演奏していることが聴き取れる。そして、このことが、モーツァルトの実像を白日の下に映し出す、他に代えがたい貴重な録音ともなっている。ところが、楽譜に忠実にといってもギーゼキングの場合は、杓子定規の硬い演奏スタイルとはまったく異なる。音質自体が実に輝かしい響きを持っているし、確信に満ちたピアノタッチによって、モーツァルト独特の世界を陰影豊かに表現しているのである。(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2017-02-17 10:46:38 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~第6回「仙台国際音楽コンクール」ピアノ部門優勝のキム・ヒョンジュンのライヴ録音~

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モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ピアノ:キム・ヒョンジュン

指揮:パスカル・ヴェロ

管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団

録音:2016年6月24~25日、日立システムズホール仙台(第6回「仙台国際音楽コンクール」ピアノ部門ファイナル、ライヴ録音)

CD:フォンテック FOCD‐9733

 ピアノのキム・ヒョンジュンは韓国出身。2008年「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」優勝、2008年「台北ショパン国際ピアノコンクール」2位、2010年「パデレフスキ国際ピアノコンクール」2位及び審査員特別賞、2010年「KBS 音楽コンクール」グランプリ受賞。そして2016年6月に行われた第6回「仙台国際音楽コンクール」ピアノ部門で優勝した。日本が世界に発信する若き才能の登場である。現在、ジョンズ・ホプキンス大学ピーボディ音楽院に在籍。

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