シベリウス:カレリア序曲
組曲「カレリア」
間奏曲/バラード/アラ・マルチア(行進曲風に)
組曲「恋人」
恋人/愛する者の小路/おやすみ・・・さよなら
交響詩「吟遊詩人」
劇音楽「クリスティアンⅡ世」組曲
夜想曲/エレジー/ミュゼット/セレナード/バラード
<カレリア序曲/交響詩「吟遊詩人」/劇音楽「クリスティアンⅡ世」組曲>
指揮:アレグザンダー・ギブソン
管弦楽:スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
<組曲「カレリア」>
指揮:タウノ・ハイニカイネン
管弦楽:シンフォニア・オブ・ロンドン
<組曲「恋人」>
指揮:ジョン・バルビローリ
管弦楽:ハルレ管弦楽団
LP:東芝EMI EAC‐30355
シベリウスの音楽というと、直ぐに交響詩「フィンランディア」や交響曲第2番を思い浮かべるが、シベリウスは数多くの管弦楽の名曲をを残している。これらの多くはそうたびたび演奏されることもないので、あまり親しみがないが、それらの曲を一度聴くと、北欧の澄んだ空気に直に触れるような新鮮味を感じ取ることができる。このLPレコードは、そんなシベリウスの管弦楽曲の中から、選りすぐりの曲を、シベリウスの演奏に最もふさわしい指揮者が指揮して録音した愛すべき盤である。まず、カレリア序曲と組曲「カレリア」である。カレリア地方とはフィンランドの東側(現在ロシア領)のことで、シベリウスが新婚旅行でカレリア地方を訪れた時の印象を基に、その自然と歴史の思いを寄せ1893年に作曲された。このカレリア序曲を演奏しているには、アレグザンダー・ギブソン指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団である。指揮のアレグザンダー・ギブソン(1926年―1995年)は、スコットランドの出身で、1959年にスコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者に就任した。カレリア序曲は、カレリアの民族音楽も取り入れた、シベリウスには珍しい明るく弾んだ明快な曲想となっており、理屈抜きで楽しめる曲だ。アレグザンダー・ギブソンは、伸び伸びとした指揮で曲をうまく盛り上げている。次の曲の組曲「カレリア」は、如何にもシベリウスらしいダイナミックな表現力と抒情味溢れるメロディーが印象に残る曲。演奏しているのは、タウノ・ハイニカイネン指揮シンフォニア・オブ・ロンドン。ここでのタウノ・ハイニカイネンの指揮ぶりは、シベリウスのエクスパートらしく確信に満ちた力強い演奏を聴かせる。次の曲の組曲「恋人」は、このLPレコードのハイライトともいうべき曲で、優美な内容を有した、如何にも北欧の音楽の詩的な雰囲気が横溢する秀曲である。演奏しているのは、ジョン・バルビローリ指揮ハルレ管弦楽団。ここでのバルビローリの指揮は、優美な表現を最大限に発揮し、時折見せる雄大な表現もシベリウスの音楽の核心に触れる演奏内容でり、リスナーは十分に満足させられる。次の曲は、交響詩「吟遊詩人」。演奏は、カレリア序曲と同じアレグザンダー・ギブソン指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団。ギブソンの癖のない指揮がかえって効果を挙げている。最後の曲は、劇音楽「クリスティアンⅡ世」組曲。この演奏もアレグザンダー・ギブソン指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団。演奏内容はシベリウスの持つ詩的で幻想的な流れを素直に表現し、好感が持てる。(LPC)