曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

子どもの命と健康、人権を守らない安倍政治

2019年02月12日 15時40分30秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                           「植草一秀の『知られざる真実』」

                                   2019/02/12

         子どもの命と健康、人権を守らない安倍政治

              第2258号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019021201591351996
────────────────────────────────────
子どもをめぐる悲惨な事件が続いている。

千葉県では小学校4年の女児が親から虐待を受けて死亡する事件が発生した。

学校が実施したアンケートに女児が家庭内での虐待を記述した。

そのアンケートを実施したことを学校が父親に告げ、父親が、娘が記述したア
ンケート用紙を入手。

これが虐待をエスカレートさせる原因になったと疑われている。

回答者に対して秘密を守ることを伝えておきながら、学校は虐待の加害者であ
る父親に娘の回答を渡していたのである。

女児は児童相談所で保護されていたが、父親の強い要請に屈して女児を父親の
元に返した。

結果は女児が虐待死するという取り返しのつかないものになった。

暴虐の限りを尽くす国家から隣国へ逃れた市民から暴虐国家への批判を聞き取
り、聴取内容を添えてこの難民を当該暴虐国家に強制送還したようなものだ。

虐待死の原因を学校や児童相談所などの行政機関が生み出したと言える。

昨年11月には、宮城県仙台市泉区で母親と小学2年の長女の無理心中とみら
れる事件があった。

父親は本年1月21日、仙台市教育委員会に第三者委員会による調査を求める
要望書を提出した。

父親は「長女は学校でいじめを受け、相談を受けた学校も対応を怠った」と訴
えている。



報道によると、父親は、長女が小学1年だった昨年3月ごろから、同級生に仲
間外れにされる、たたかれそうになるなどのいじめを受けていたという。

両親から相談を受けた学校は「いじめがあったという事実をもとに、マニュア
ルにのっとって対応する」と返答したが、対応は進まず、長女は精神的に不安
定となり、母親も体調を崩した。

長女は昨年8月ごろ、文中で6度も「しにたいよ」と訴える手紙を両親宛てに
書き、「わるいことしかないよ」、「いじめられてなにもいいことないよ」な
どと訴えていた。

その後、父親が昨年11月29日に、2人が自宅で死亡しているところを発見
したというものである。

要望書提出の際の取材に対して父親は、「何十回といじめについて相談した
が、対応してもらえず絶望していた」と時折涙をこらえながら訴えた。

子どもの人権、生命、健康が守られていない。

千葉県の虐待死は親による犯罪行為が直接の原因であるが、学校や児童相談所
などの行政機関の対応の不適切さが悲劇を生んだと言える。

宮城県の事例では学校側の対応が不適切であったと考えられる。

安倍首相が「子どもの命を守ることを最優先に、児童虐待の根絶に向けて総力
を挙げて取り組んでもらいたい」と述べたと報じられているが、安倍首相に当
事者意識がないことが最大の問題である。

学校にしろ、児童相談所にしろ、れっきとした行政機関である。

国家の役割は国民の生命、自由、人権を守ることにある。

とりわけ、弱い立場にある子どもの命と健康、人権を守ることは政府の大きな
責務である。



学校の不適切な対応、児童相談所の不適切な対応の最終責任者は内閣総理大臣
である。

内閣総理大臣として適切な行政運営を実現できていないから、このような悲劇
が繰り返されているのだ。

「児童虐待の根絶に向けて総力を挙げて取り組んでもらいたい」

との発言は、明白な責任転嫁の言葉だ。

「このような事態が発生した最終的な責任は内閣総理大臣である自分にある。

責任を厳粛に受け止めて、二度とこのような事態が発生しないように万全の対
応を取る」

というのが行政の最高責任者としての当然の言葉である。

安倍内閣は、いじめによる自死や虐待による死亡事件などが繰り返されている
にもかかわらず、抜本的な対応を取ってこなかった。

そのために悲劇が繰り返されている。

いじめの放置は学校の責任であり、いじめが存在するのに児童生徒の生命、健
康を守ることを最優先しないことは学校や教育委員会の職務怠慢である。

子どもの権利条約を批准している日本政府は「子どもの最善の利益」を考慮す
る責任を負っている。

しかし、制度的な対応が完全に遅れているのだ。

また、虐待は刑事罰が問われる犯罪事案である。

犯罪事案が発生している疑いが濃厚であるのに適切な対応を取らないことも職
務怠慢ということになる。

いずれにしても、行政の最高責任者が自らの責任を自覚することもないので
は、問題解決など実現しようがないと言わざるを得ない。



学校におけるいじめ問題が存在し、いじめによる自死などの悲惨な事例があと
を絶たない現実を踏まえれば、普通教育の場を学校に限定する現在の行政を根
本的に見直す必要性が高い。

日本国憲法は、

「保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」

と定めているが、

「保護する子女に学校教育を受けさせる義務を負ふ」

と定めていない。

「学校教育」以外に「普通教育」を受けさせる機会を設定し、保護者がその方
法を選択できる体制を整備するべきである。

日本国憲法は

「子女に普通教育を受けさせる義務」

を明記しており、ここから「義務教育」という言葉が使われているが、ここで
いう「義務」は

「保護者が子女に普通教育を受けさせる義務」

であって、

「子女が学校教育を受ける義務」

ではない。

言い方を変えれば、

「子どもが学校に行く義務はない」

のであり、このことを周知徹底するべきである。



親は子どもを学校に行かせる義務を負っていると誤解し、子どもは学校に行く
義務を負っていると誤解している。

そのために、いじめの問題があるのに、子どもを無理矢理学校に行かせ、その
結果として自死という取り返しのつかない事態が引き起こされている。

憲法および法律は「子どもを学校に行かせる義務」や「子どもが学校に行く義
務」を定めていない。

子どもには「学校に行かない自由」がある。

このことを明確に認識することが重要であり、政府は保護者と児童生徒にこの
ことを周知徹底させるべきである。



日本国憲法が「子女に普通教育を受けさせる義務」を定めていることを受けて
学校教育法が定められ、学校教育法が第17条で、子女を学校に就学させる義
務を定めている。

しかし、その学校が児童生徒の生命、健康、人権を守る場になっていない。

この点を踏まえて、普通教育を受ける場を学校教育法が定める学校に限定せ
ず、多様な普通教育の場を設定するべきである。

世界では普通教育の場として家庭における教育を認めることが主流になってい
る。

学校に行かずに家庭で普通教育を受けることを合法化するべきなのである。



2016年に制定された「教育機会確保法(「義務教育の段階における普通教
育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」)では、第13条に以下の条
文が置かれた。

第十三条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行
う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要
性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとな
るよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する
保護者をいう。)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために
必要な措置を講ずるものとする。

「個々の不登校児童生徒の休養の必要性」

が明記され、

「学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性」

という言葉が明記された。

「学校に行かない自由」が不十分ながらも法律条文として明記されたことにな
るが、この対応は極めて不完全なものだ。



第一次安倍内閣は教育基本法を改定し、教育の目的に

「国家の形成者として必要な資質を備えた国民の育成を期す」

ことを明記し、教育の目標に

「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を
養うこと」

を明記した。

国家が教育を通じて個人の内面に干渉する、個人の思想及び良心の自由を侵害
する方針が定められた。

安倍内閣のこの立場からすると、子どもに学校教育法が定める学校に登校する
ことを強要し、国家の形成者として必要な資質を備えた国民を育成することを
優先しているのだと考えられる。

普通教育を受ける場を多様化し、家庭における普通教育の実践などを認める教
育機会の多様化を妨げているのは安倍内閣自身であると推察される。



他方、学校や児童相談所の対応の不適切さによって尊い人命が奪われるという
悲劇が生み出されたことに対して、最終的に責任を負うべき存在は内閣総理大
臣である。

その責任の所在を明らかにし、これまでの対応の不適切さを厳粛に受け止める
姿勢がなければ、今後も悲劇は繰り返されることになる。

国会においては安倍政治の責任を厳しく問うことが強く求められている。

 
※常にランク50位以内に、励みになりますクリック願います。
 https://news.blogmura.com/ ←にほんブログ村 政治ブログに
 クリックお願いします。(*_*)??Σ”