曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

庶民の利益の成長を目指す経済政策に転換

2019年02月01日 14時18分09秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                        「植草一秀の『知られざる真実』」

                                   2019/02/01

      庶民の利益の成長を目指す経済政策に転換

             第2250号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019020113140151735
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病院で診断を受けた結果、インフルエンザa型に罹患したことが判明した。

インフルエンザの症状は厳しいので当面は安静にしておきたい。

全国でインフルエンザが大流行している。

低温、乾燥という感染拡大の条件が整っている。

重症化することもあるから適切な対応が必要である。

問題は高熱が収まってもウイルスを保有している人が人と接触すれば感染が広
がってしまうことだ。

人手不足の職場ではインフルエンザで1週間も休みを取ることが容易には許さ
れないだろう。

また、非正規の労働者の場合、実労働時間によって賃金が支払われるから病気
といえども休みを取れば、そのまま収入減につながってしまう。

昨年来、「働き方改革」という名の「働かせ方改悪」が論議され、法律が強行
制定されてしまったが、これらの制度変更では、資本の側の論理が優先され、
労働者の利益が完全に無視されている。

「成長戦略」という言葉の響きは良いが、「誰の」、「何の」成長なのかが重
要だ。

「労働者の利益の成長」なら良い話だが、現実は違う。

「資本の利益の成長」を目指すのが「成長戦略」なのである。

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にNO.3「働き方改革」の嘘を記述した。



正規労働者には有給休暇があり、インフルエンザで休みを取っても所得が保障
される。

病気療養をすることができる。

しかし、非正規労働で休業補償がなければ、無理をしてでも働かなくてはなら
ないとの事情が優先されてしまう。

同時にこのことが感染拡大の原因にもなる。

企業の側では、インフルエンザに罹患しても、十分な休みを取らせない場合も
ある。

十分な隔離をせずに職場に復帰させれば、それが感染を拡大させる原因にもな
るのである。

アベノミクスでは企業の利益拡大を優先する考え方が採られてきた。

その上で、企業利益が拡大すれば、それが従業員の所得拡大につながると説明
してきた。

これを安倍内閣は「トリクルダウン」と説明してきたが、「トリクルダウン」
は観察されていない。

労働者の賃金所得は減少の一途を辿っている。

法人企業統計における全産業・全規模合計の、税引前当期純利益の推移を見る
と、2012年度の49.0兆円が2017年度に92.8兆円に拡大したこ
とが分かる。

第2次安倍内閣発足後の5年間に企業収益はほぼ倍増したのである。

その一方で、労働者一人当たりの実質賃金は約5%も減少した



厚生労働省が発表している毎月勤労統計のデータ不正が問題になっている。

統計数値が過大に計上されていた疑いがあるから、実質賃金の減少はより大き
なものになる可能性もある。

いずれにしても、企業収益が倍増するなかで労働者の実質賃金は5%も減少し
た。

これがアベノミクスの象徴的な断面なのだ。

安倍首相は雇用が増加し、有効求人倍率が上がったことだけを繰り返しアピー
ルする。

この安倍首相の説明は「広告代理店の説明」と呼ばれている。

都合の良い部分だけを徹底的に繰り返し、都合の悪い部分には絶対に触れな
い。

雇用が増えたというが、増加した雇用の約7割が非正規雇用なのだ。

雇用の7割が正規雇用で3割が非正規雇用。

しかし、増加する雇用の7割が非正規雇用なら、労働者全体に占める正規雇用
の比率はどんどん下がってゆく。

インフルエンザに罹患しても安心してゆっくりと養生することもできない状況
が広範に広がっているのだ。

大資本=ハゲタカファーストの政策を庶民ファースト=国民ファーストの政策
に転換することが求められている。

これが日本政治の第一の課題である。



安倍政治が日本国民に幸福をもたらしているならこの内閣を存続させても良い
だろう。

しかし、安倍政治が国民の生活を台無しにしているなら、この政治を排除する
ことが必要だ。

大企業にとって安倍政治は最善のものだろう。

経済成長率が史上最悪の推移を示すなかで、大企業収益だけは史上最高益を謳
歌している。

経済活動の果実の分配において、資本が有利に、労働が不利になるような政策
が推進されているからだ。

資本が有利に、労働が不利になるような政策は分配政策においてだけではな
い。

税制においても同様の政策が推進されている。

消費税を大増税する一方で、法人税を大減税しているのである。

その法人税については、2007年の政府税制調査会が「法人税減税の必要な
し」の見解を明示した。

企業の税及び社会保険料負担の国際比較を行った。

その結果、日本の法人負担は国際的にみて必ずしも高いとは言えないとの結論
が示されたのである。



それにもかかわらず、2012年度以降、法人税大減税が強行実施されてき
た。

2007年の政府税制調査会報告書「抜本的な税制改革に向けた基本的考え
方」は、その後に法人税大減税を実施してきた政府によって、よほど「不都合
な真実」だったのだろう。

安倍内閣は政府ウェブサイトからこの税制調査会報告書を削除した。

公式の政府税制調査会報告書をウェブサイトから削除する正当な事由は見当た
らない。

安倍内閣が得意とする

「隠蔽・改善・開き直り」

の一環であると言える。



税制においては、「能力に応じた負担」の大原則に立ち返るべきである。

所得の少ない階層には税負担を求めない。

所得の多い階層には相応の税負担を求める。

法人に対しても相応の負担を求める。

これが正しい税制の基本構造である。

これを実現する税制は

消費税の廃止

所得税の総合課税化

法人課税の強化

である。

消費税廃止と掲げると、そんなことができるのかという反論が生まれる。

しかし、税収構造の変化を見れば、消費税廃止が容易であることが直ちに判明
する。

なぜなら、消費税増税は法人税減税と所得税減税の裏返し現象として実施され
てきたものだからだ。

法人課税と所得課税を元に戻すだけで消費税を廃止できる。

法人税減税と所得税減税のための消費税増税という現実は、消費税を受け入れ
た国民の判断とは明らかに異なる。



富裕者には相応の負担を求める。

これが20世紀の福祉国家の基本的な原則である。

金融所得に低率の分離課税が認められているため、富裕層の税負担率は所得が
増えるほど低下する。

分離課税を廃止して総合所得税化を実現することにより「能力に応じた課税」
が実現する。

法人の内部留保に課税する提案に対して「二重課税」との批判が生じる。

法人の内部留保は法人税課税後の利益処分のひとつであるから、これに課税す
ると二重課税になる。

しかし、二重課税を批判するなら消費税を廃止するべきということになる。

消費税は所得税課税後の可処分所得の一部を消費に充当した際に、消費金額の
一定割合を税金として徴収するものである。

これもれっきとした二重課税なのだ。

労働政策、税制を抜本的に変革して、大資本=ハゲタカファーストでない、庶
民=国民ファーストの経済政策を打ち立てるべきである。


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アベノミクスが悪魔の経済政策である理由

2019年02月01日 11時38分49秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                        「植草一秀の『知られざる真実』」

                                    2019/01/31

     アベノミクスが悪魔の経済政策である理由

             第2249号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019013110202351696
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あっという間に1月が終わり2月を迎える。

風邪対策はしていたが、不覚にも感冒に罹患してしまった。

症状が厳しいのでインフルエンザの疑いについても明確にしておかねばならな
い。

外すことの出来ない予定があるため、予定はこなさなければならないが、二次
感染が生じないように万全の対応を取らねばならない。

人間の活動において健康は極めて重要だ。

健康管理には万全の対応を取る必要がある。

日本の年齢別人口構成において高齢化が急速に進行しており、社会保障支出に
占める医療費支出の金額は趨勢的に拡大する。

これ以外に、年金、介護の政府支出も増大せざるを得ない。

こうした社会保障支出の増加が消費税増税の根拠とされているが、現実の税収
推移は消費税が社会保障支出には充当されてこなかったことを示している。

繰り返し紹介する数値だが、日本の国税収入の推移の現実を正確に把握して欲
しい。

消費税が導入された1989年度の税収が54.9兆円、2016年度の税収
実績が55.5兆円でほぼ同額である。

しかし、税収の構成は激変した。



所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税  3.3兆円 → 17.2兆円

すなわち、

法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加

が1989年度から2016年度の国税収入推移の現実なのだ。

消費税増税で社会保障支出を賄うというなら、消費税増税金額が、そのまま税
収全体の増加に反映されていなければおかしい。

その事実が確認されるなら、社会保障支出増加に対応して消費税増税を実行し
てきたとの説明もなり立ち得る。

しかし、現実には、消費税増税の金額とほぼ同額の、法人税減税、所得税減税
が実行されてきたのだ。

消費税増税で庶民の暮らしは圧迫されるばかりである。

しかし、その消費税増税の税収は法人税減税と所得税減税で消えてしまったの
だ。

したがって、消費税増税で社会保障支出を拡充するという政府の説明は「真っ
赤な嘘」なのだ。

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深く感謝申し上げたい。



この書では、「日本国民を欺く9のペテン」を紹介しているが、その9番目が

「消費税で社会保障の嘘」

である。

政府は消費税の税収を社会保障支出に充当するとしているが、この説明は「ト
リック」である。

2017年度の社会保障支出に対する国庫負担は32.7兆円になっている。

このことから、消費税収がこの金額を超えるまでは、消費税で徴収したお金は
すべて社会保障支出に充当すると

「言うことができる」

だけなのだ。

消費税の税収増のすべてを必ず、社会保障の追加支出増加に充てるということ
ではないのだ。

2012年度の社会保障と税の一体改革で、両者がリンクするような「言い回
し」が取られているが、現実には、消費税を完全な目的税としたわけではな
い。

実際には、消費税増税による税収増とほぼ同額の法人税と所得税の減税が行わ
れており、庶民からむしり取った消費税は富裕層の税負担減に充てられてき
た。

この現実を知り、消費税増税を黙認するのをやめよう。

選挙の最大争点に消費税問題を掲げるべきであると思う。



政府は日本財政が危機的状況にあると主張しているが、これも「真っ赤な嘘」
である。

政府の財務状況は政府のバランスシートによって判定することが出来る。

2016年末の一般政府の貸借対照表を見ると、

債務が1285兆円あることが分かる。

日本の名目GDPは約500兆円であるから、政府債務はGDP200%を超
えている。

財政危機に陥ったギリシャでも政府債務の対GDP比は180%程度であった
から、この数値だけが示されると、日本もいつ財政危機に陥るか分からないと
の不安が広がることになる。

しかし、財務状況を判定する際に、負債だけを見て判定することはない。

資産と負債のバランスで財務状況を判定する。

2016年末の一般政府の資産残高は1302兆円である。

負債を上回る資産を保有しているのだ。

両者の差し引きはプラス18兆円。

日本政府は18兆円の資産超過の状態にある。



資産超過の財務内容を持つ政府が破綻することはあり得ない。

財務省、そして、政府は、意図的に負債の金額だけを取り出して、日本財政は
危機に直面しているとの「嘘」を流布しているのである。

極めて悪質な嘘と言わざるを得ない。

私がこの点を強く指摘するようになって、財務省も対応を修正した。

財務省がHPで公表している、「わが国の財政状況」→「財政関係パンフレッ
ト」→「日本の財政関係資料(平成30年10月)」→「会計情報とPDCAサイ
クル」

https://bit.ly/2GAZK9i

に「国の貸借対照表」を掲載するようになった。

しかし、その統計数値がおかしい。

このデータでは、

負債が1221.6兆円

資産が672.7兆円

となっており、差し引き548.9兆円の債務超過になっている。



この資料を見ただけでは、どこに問題があるのかが判然としない。

実は、このデータでは、政府資産から実物資産を取り除いているのである。

政府は広大な土地や各種建造物を保持している。

これらもれっきとした政府資産である。

電力会社のバランスシートを表示する際に、資産から実物資産を除去すること
はあり得ない。

実物資産を含めて資産規模を評価し、その上で財務状況を判定することにな
る。

財務省はバランスシートを掲載したように見せかけて、政府資産から実物資産
を取り除き、政府の財務状況が極めて悪化しているように見せかけているので
ある。

極めて悪質な対応であると言わざるを得ない。



毎年度の予算編成において借金に依存する部分が過大になることは健全でな
い。

新たな借金の金額を政府の利払い以下に抑制するプライマリ-バランスの黒字
化を目指すことは一般論として間違った対応ではない。

また、政府債務の野放図な拡大を容認するべきでないとの主張も正論ではあ
る。

しかし、だからと言って、主権者である国民に虚偽の情報を流布することは間
違っている。

主権者である国民には真実の情報を正確に伝えることが政府の責務である。

日本が財政危機に陥ると不安感を煽り、その情報工作に乗じて消費税を大増税
して、その財源を法人税減税と所得税減税に充当するのは重大な財政詐欺と言
うべきものだ。

労働者の一人当たり実質賃金が大幅に引き下げられ、所得の少ない国民に過酷
な消費税だけを大増税する政策は、まさに弱肉強食推進、弱者切り捨ての「悪
魔の経済政策」であるとしか言えない。


 
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