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15兆円損失GPIFの管理運用手数料400億円

2019年02月04日 12時32分21秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                         「植草一秀の『知られざる真実』」

                                   2019/02/03

   15兆円損失GPIFの管理運用手数料400億円

             第2252号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019020322561151787
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インフルエンザの流行が猛威を奮っています。

読者のみなさまも栄養、睡眠を十分に取り、ご自愛専一におすごし下さるよう
祈念いたします。

また、多くの方からのお見舞いの言葉を賜りまして深謝申し上げます。

インフルエンザの流行を抑止するには、感染源となる感染者の行動が抑止され
なければならないが、厳しい経済情勢の下で、安心してゆっくり静養もできな
いというのが多くの労働者の実情である。

安倍内閣の下で雇用が増えたと言われるが、増えた雇用の7割は非正規雇用で
ある。

身分が不安定で、しかも賃金が低い。

「一億総活躍」の意味は、「働くことのできる国民は一人残らず低賃金非正規
労働者として働け」という意味だと理解できる。

年金支給開始年齢が順次引き上げられ、国民は高齢になっても働かざるを得な
い。

その一方で、社会保障の給付水準が実質的に切り下げられ続けている。

自己負担割合も上昇の一途を辿っている。

高齢になるまで労働を強制され、高齢者に対する社会保障給付水準を実質的に
大幅に切り下げる。

働ける年齢の1億人の国民は「低賃金強制労働」というのが「一億総活躍」
で、

働くことのできない年齢の2600万人の国民のうち、高齢者に対する社会保
障を切り詰めるいというのは、それらの国民にはできるだけ早く逝去してもら
いたいとの政府の希望を込めたものだと受け止められる。

これが安倍政治の基本スタンスということになるのだろう。



労働者の生活環境も、高齢者の生活環境は日増しに厳しさを増している。

公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が2月
1日、2018年10~12月期の運用実績を公表した。

なんと、たった3ヵ月で14兆8039億円の損失を発生させた。

12月末時点の資産総額は150兆6630億円に減少した。

たった3ヵ月で運用資産全体の9%をも失ってしまったのだ。

1兆円というお金の感覚を掴めない。

分かりやすく表現するとこうなる。

毎日100万円使う。

雨の日も風の日も、元気なときも、病に伏しているときも、必ず毎日100万
円を使い続ける。

どれだけ使うと1兆円を使い切れるか。

答えは2740年だ。

2740年間、毎日100万円使い続けて、ようやく1兆円を使い切ることが
できる。

14兆8039億円を使い切るには4万0559年かかる。

このような金額をたったの3ヵ月ですってしまった。

安倍内閣の責任は重大だ。



10-12月期には内外市場で株価が下落した。

私が発行している会員制レポート『金利・為替・株価特報』では、昨年10月
10日執筆の10月15日号タイトルを

「長期上相場終局=波乱局面への移行可能性」

として、投資戦略では日経平均株価先物の「売り」を参考銘柄として提示し
た。

このレポートで、日経平均株価推移が2007年後半と類似した推移を辿る可
能性を指摘した。

その後、この見解を維持し続けて、毎号レポートで、各時点の日経平均株価が
2007年後半推移のどの地点に位置するのかを図解して株価予測を提示し
た。

実際に、日経平均株価推移は、2007年後半の株価推移と驚くべき類似を示
して推移した。

この予測に従って株価指数先物取引を行っていれば、巨額損失ではなく、莫大
な利益を計上できたと考えられる。

『金利・為替・株価特報』では、本年1月10日執筆の1月15日号で「警戒
警報の一時解除」を明記した。

1月4日パウエルFRB議長発言等により、株価下落をもたらしてきた主要因
に重要な変化が観察されてからである。

現実に、1月4日以降は株価変動の基調が変化して現在に至っている。

GPIFは基本的に無策で、たったの3ヵ月で14兆円もの国民の貴重な老後
資金をすってしまった。

その責任は極めて重い。

政府はこのGPIFの管理運用手数料として年間400億円もの資金を支払っ
ている。

こんな杜撰な運用では、日本国民の未来は真っ暗闇である。



GPIFは2014年10月31日に運用比率の大幅改定を正式決定した。

従来、年金資金の安全運用の視点から国内債券中心の運用であったものを、外
貨資産および株式資産偏重に一気に改定したのである。

株式資産、外貨建て資産での運用比率を大幅に引き上げた。

しかし、そのタイミングは最低最悪のものだった。

金融市場における、金利、為替、株価変動は、一般化すれば循環変動を繰り返
す。

金利上昇期があれば金利低下期があり、

ドル高期があればドル安期があり、

株価上昇期があれば株価下落期がある。

資金運用のスタイルとしては、こうした金融変動を予測してもっとも有利な運
用を目指すか、

長期的に高いリターンを得るために有利と考えられる資金配分比率を決めて、
その比率を維持するか、

のいずれかが選択されることになる。



GPIFは債券利回りが極めて低い状態が定常化しつつあることを踏まえて、
国内債券偏重の資金運用体制を見直したということだったのだろう。

2014年10月の基本ポートフォリオ変更は極めてドラスティックなもの
だった。

新しい資金配分比率は国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外
国株式25%とされた。

従来の資金配分比率は国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外
国株式12%だった。

この変更が2014年10月31日に正式に認可された。

日本の金融市場が劇的な潮流転換を示したのは2012年11月のことだ。

当時のドル円レートは1ドル=78円、日経平均株価は8600円だった。

野田内閣の末期、第2次安倍内閣に切り替わる局面である。

2014年11月14日の野田佳彦氏と安倍晋三氏による党首討論における野
田氏の衆院解散宣言が金融変動の転換点を形成した。



私は金融変動の劇的転換を2014年10月28日号の『金利・為替・株価特
報』で予測した。

ここから超大型の金融変動が進行した。

具体的には、1ドル=100円を超す円安水準への為替変動、日経平均株価の
15000円台への上昇が一気に進行した。

2012年11月は金融変動の大きな転換点だった。

このタイミングで、外貨建て資産へのシフト、株式資産へのシフトを決定した
のなら、プロフェショナルの判断だと言える。

ところが、安倍内閣が基本ポートフォリオを変更したのは、その丸2年後なの
だ。

為替は1ドル=100円を突破したドル高の水準に移行し、日経平均株価は1
6000円という2倍水準に上昇した局面だった。

この局面で、外貨資産と株式資産の運用比率を大幅に高める判断は、典型的な
失敗する素人投資家の典型的パターンである。

実際に、2016年前半の株価下落と円高進行で、GPIFは半年間で約16
兆円の損失を計上したと考えられる。

国民の貴重な老後資金が、杜撰な運用体制によってドブに棄てられてきたわけ
だ。



本当のプロフェショナルの運用技量があれば、金融変動を的確に予測して極め
て高いリターンを得ることも可能になるだろう。

それは決して不可能なことではない。

しかし、安倍内閣のこれまでの実績を踏まえれば、それは望むべくもない。

金融変動を予測してアクティブな運用を行えば、国民資金の大半を喪失してし
まうという事態も発生しかねない。

その意味では、資金運用比率を一定に維持するとの選択はあり得る選択という
ことになるだろう。

しかし、資金配分比率の変更を実施するタイミングは厳選しなければならな
い。

2014年10月末の変更という安倍内閣の選択は最低最悪のものであったの
だ。



仮に資金配分比率を決定し、基本的にはその比率を維持するのなら、資金運用
管理手数料の徹底した削減を実行するべきだ。

資金配分を決定したら、その運用はインデックス運用とすればよい。

市場連動型のパフォーマンスを確保できる。

このことによって400億円の管理運用定数料を大幅に削減できるはずだ。

国民の貴重な老後資金を毀損させながら、ハゲタカ外資の運用会社に巨額の手
数料を支払うことをやめさせるべきだ。

 
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