様々な安っぽい装飾をごたごた付けたこの家は 何と醜いのだろうとエミリーは思った。 しかし屋根や張出し窓の上に白い木製の レース飾りを付けた家はシューズベリーでは 優雅の最たるものだった。 【「エミリーはのぼる」 第6章】 |
天気予報通り、今日は雨となりました。
ごく弱い雨が降ったりやんだり。そして暖かい雨。
そう言えば、先週も雨ではなかったかしら・・?
この所、週末になると雨になっています。
でも重い空ながら、雨はやっと上がったようです。
さて、相も変わらず私は、どっぷりと吉屋信子の世界に浸っています。
今は、「地の果まで」 を読んでいるのですが、
4年前の 『花時間』 という雑誌に吉屋信子邸の写真を見つけました。
丁度、「薔薇の特集」(750種の薔薇図鑑) をやっていて、
買い求めたのですが、当時は全く興味がなくて。
そんな写真が掲載されていた事すら記憶にありません。
<名建築と花を訪ねて~第10回> とあります。
建築は吉田五十八(いそや)氏。1961年(昭和36年)の事。
注文は “尼寺のような家を”、僅かこれだけだったと言います。
77歳でお亡くなりになるまでここにお住まいになられたのですね。
所謂(いわゆる)、「終(つい)の棲家(すみか)」 として選んだ場所は、鎌倉。
今は記念館となっているそうです。
道理で女史の小説には鎌倉が頻繁に登場します。
お好きだったのでしょうね。例えば、こんな風に。
それにしても、ふと発した言葉が仏蘭西語の詩の1行の如く・・
~なんて。女性冥利に尽きると言いますか・・。
「まあ! 鎌倉 ではもう落椿!」 雅子は歩みを留めて美しくぱっと見開いた眼差し を崖の上に ―― そこには紅椿の大木が紅濃き 花の数々に枝もたわむばかりだった。 ―― まあ! 鎌倉ではもう落椿! ―― 宗吉はこの娘の感動を含んだ声を、 仏蘭西語の詩の1行の如く 耳に受けたのである。 「僕の家の庭にも咲いていますよ」 宗吉はこう言いながら、自分の言葉なぞは、 何と無味乾燥なものかと、怯んだ。 【吉屋信子著 「花鳥」】 |
ところで吉屋邸は、“尼寺のような家を” と言うだけあって、
さすがにスッキリしていますね。思わず背筋、ピン。
翻(ひるがえ)って。
引用文の “安っぽい装飾をごたごた・・” は我家です。
寛げるのはいいのですけれど、程度ものですね。
ようやく冬を終えようとしてますよ。
コメントはご無沙汰してましたが・・・
時々訪問し、読ませていただいてました。
本当にお久し振りですね~!
>時々訪問し、読ませていただいてました。
有り難うございます。青い森からさんも、お忙しいですものね~!
同様に私も、拝見させて頂いています~。