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研究室の鍵。

 山口県の某高専殺人事件は痛ましい。日本が、<どこで何が起こるか分からない社会>となって久しいが、研究室で殺人事件が発生するなどと全く誰も思っていなかった。

 研究室のS助教授も、そのような想像はしていなかったからこそ、合い鍵をゼミ生に渡していたのであろう。小生のような社会科学系とは異なり、理科系の場合、研究室の機械、実験設備、データベース等を使わなければ、研究論文や卒業論文を仕上げることが出来ないという特別の事情があって、学生に研究室の鍵を渡したのであろう。S先生は学生を信用していただけに、そのショックは計り知れないだろう。

 小生の場合、単身赴任のために、月曜午前と金曜午後、土日は研究室を不在にする。ゼミ生が、ゼミ発表の文献を借りに、月曜午前と金曜午後に研究室に来ても、研究室ドアは開かない。ゼミの初回でこうした事情を説明はするのだが、やはり、申し訳ないという気持ちは残る。

 実は、研究室の鍵を、研究室前の段ボールに入れておいて、いつでも研究室の文献を貸せる状況にしようと考えたこともあった。でも、最終的に思いとどまったのは、日本が<どこで何が起こるか分からない社会>であるという危機感である。

 この危機感は、何も大所高所からの評論家のコメントでなく、本当に身近な意識として持っている。我々の業界でももう少し、こうした危機感を共有できれば良いのだが。

 

 
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