salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・最近、泣きましたか?

2009-12-28 00:15:03 | 本・雑誌
フィギュアスケート、オリンピック日本代表が
ついに決まりましたね!

女子は最後の最後まで、どうなるかわからない状況で
そんな緊張感の中、戦う選手たちの精神力の強さ。

その中で繰り広げられる演技は
どれを見ても胸がいっぱいに。

真央ちゃんは圧倒的だったけれど
鈴木明子選手、本当に魅せられた。
中野選手も良かったけれど、勝負って残酷。
ここまで来ると、練習量とか努力とか
みんな当たり前にしているから
「頑張れば夢は叶う」の世界じゃないよね。

個人的には、村主さんにもう一度、
オリンピックに行って欲しかったな。
彼女の情熱的な演技がとても好き。


なぜこの話題から入ったかというと
この本を読んだから。

『涙の理由 人はなぜ涙を流すのか』
(重松清 茂木健一郎・宝島社)

人はなぜ泣くのか、涙って一体どういうものなのかを
重松さんの作家的立場と
茂木さんの脳科学者としての理論で
考えていく、対談本。

「涙」「泣くこと」にとどまらず、「笑い」について、
小説や絵画、映画、音楽がもたらす涙の違いなど
目の前で二人が話しているみたいで
「ええと、それはつまり?」とか
「そう、そうですよねえ!」とか
勝手に話に加わりたくなる。

おじさん二人の「泣く」話は
熱っぽさと冷静さと、それぞれの視線で
深く鋭いです。

最近、涙は「安っぽくなった」そうです。
「泣ける本」とか、「感動した!」とか
安易、というか、みんなが人と横並びで
自分自身の涙を流していない、と。
それは、危険なことでもあるという。

中学生の涙と、大人が流す涙は違うはずなのに
大人も同レベルで泣いてしまう、と。

二人の会話でたびたび槍玉に挙がった、
数年前に大ヒットした某小説は
ちょっと気の毒ですが。


経験とか記憶によって
泣くポイントは違う。
それは実感としてある。


重松さんの、小説家、ライターとしての話は
特に興味深かったです。

誠に勝手ですが
重松さんと涙のツボが、すごく近い気がした。
エピソードひとつひとつに、深く納得、共感。

当たり前だけど、涙は個人的なもの。
雰囲気に流されて、ではなく
自分の感情を見つめて、自分の涙を流す。
それは個人の体験、記憶、歴史が詰まっている。

涙が横並びで、安っぽくなっているのと同様、
自分の言葉で話せない人が多い、という指摘が
痛いとこ突かれた感じ。

来年は、自分の言葉でしっかり話そう。


ところで私は、なんでフィギュアを見ると
じーんとくるのかなあ。
今日に限らず、女子フィギュアは
涙のツボのひとつ。

フィギュアの経験はないけれど
「戦い」や「目指す」、というあたりが
個人的経験や記憶を呼び覚ますのかな。

最近、泣きましたか?