salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本・こんな姉妹関係もあるのねー

2007-04-17 15:53:15 | 本・雑誌
一人っ子の身としては、「やさしいお兄さんがほしかった」と
子どもの頃、長い間思っていた。
野球とかやっていて、応援しに行ったり
もしかして甲子園なんかも出ちゃったりしてー…って
妄想してた頃、それなりに楽しかった(?)。

けどそれも、「お兄さんより、高校野球の監督と
結婚したほうがいいかも」という思いに変わり
いやいや、それは大変でしょう…ってことで
全然違う人と結婚した今、姉妹に憧れる。

小さい頃は「ライバル同士」みたいで、仲悪かったりしても
大人になると、よき相談相手になると聞く。
そうじゃない人たちも知ってるけど…。

今回は、ディープな姉妹の話を読みました。
『だりや荘』(井上荒野・文芸春秋)

だりや荘というペンションを舞台に
美しい姉とかわいい妹、妹の夫と姉の見合い相手、
だりや荘を訪れる人々が織り成す人間模様…、
というとあっさりしすぎ。
複雑な想いが、姉妹それぞれの胸に押し隠されている。
互いを「かけがえのない存在」と思い
恐らくふたりにしかわからない、逆にいえば
隠しても、姉妹同士は感じ取ってしまう傷みや哀しみが育っていく。

季節や感情の移り変わり、揺れ動くさまの
感触までを伝えるデリケートな文章、という印象。
プラス、そこはかとなく漂う魔力のようなものがあり
だりや荘の魅力にハマってしまうお客さんたちのように
どんどん読み進めてしまった。

こんなに疲れる関係…、なのに
ふたりは決して憎みあったりできない。
いっそそうできればラクなのに。
この姉妹、コワイ。
けど、どうにも惹かれてしまう、魅力的な登場人物です。
すべてを受け入れてしまう、強さと弱さがリアル。
登場する男子たちには、「おい!」と言いたいことだらけだけど。