salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

犬と音楽

2007-04-10 01:39:50 | 本・雑誌
人に音楽をすすめるのは苦手。
「この曲好きなんだ」とか「このアルバムがよかった」
というならありなんだけど
「これ、聴いてみて」というのは
もし気に入らなかったら、CD代なりレンタル代なり
申し訳ない気持ちになる。
貸してあげるとか、録音してあげるならいいけど。
その場合も「借りてるから聴かなくちゃ」という
そんな気持ちにさせてしまったら、悪いなあとか…
まあ、考えすぎなんですけどね。

でもって、今回読んだ本は
作家の江国香織さんのエッセイ
『雨はコーラがのめない』(大和書房)です。
音楽と犬について書かれたエッセイ。
いったい犬と音楽、どう絡めて書いたの?と思ったら
江国さんが愛犬、雨くんと一緒に聴いた音楽や
日々をつづった内容です。

音楽はを聴くのは、優雅でこじゃれた時間の過ごし方、というより
江国さんと雨の大切なコミュニケーションの時間。
人は音楽を聴いて、イマジネーションが働いたり
感情が揺り動かされたり、ある記憶が呼び覚まされたりするけれど
犬にとっては心地よいかそうでないか、だという。
うん、たしかに。
それでも、ある音楽に満たされた空間を共有することで
江国さんは雨といっしょに、いろんな時間や場所に
音楽によって「つれていかれる」。
それがひとりではなく、雨と一緒だからいいのだ。

けど、一緒なのにどうしてもさみしさや
哀しみがつきまとうことも教えられるのが
江国さんの文章だと、あらためて思う。

ここで紹介されているのは、多くは洋楽。
私は洋楽はあまり聴かないのだけれど
たまたまうちにもある、リサ・ローブのアルバムが登場して
うれしくなる。
聴いたことのない、心ひかれる作品もチェック。
曲について書かれた、どんなふうな気持ちになるか
そのひとつひとつの言葉が素敵で
そういう作品をたくさん心のなかに持っていることがうらやましい。

最近、音楽を聴くことからはちょっと離れ気味だけど
ドキドキワクワクウルウルザワザワしたり
音楽なしでは生きられなかった時期が、たしかにあった。
さっさと消費するみたいに聴くのではなく
音楽が、心の血となり肉となっていた感覚を、取り戻したい。
そんなふうに思わされた、ゆっくり味わいたい本。