玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

「バチカンに眠る織田信長の夢」の意外な見どころ

2007年01月30日 | テレビ鑑賞記
意外な見せ場に心惹かれてつい最後まで見てしまった。

TBS「Microsoft Presents 歴史ミステリー特別企画 バチカンに眠る織田信長の夢」
信長の“死の謎”に新説を展開!!

未だ謎とされている織田信長の死。
番組では、ドラマ・ドキュメンタリー・スタジオトークとあらゆる角度からその真相を解き明かす。
俳優・加藤雅也は、安土城跡・本能寺・バチカン・フィレンツェと、国内外に点在する信長ゆかりの地を訪問。と共に、番組内に織り込まれるドラマでは信長役を演じるという新感覚のナビゲーターを務める。
スタジオでは、司会の爆笑問題を中心に様々なヒントから信長暗殺の新たなる黒幕の姿に迫ってゆく。
行方が分からなくなった安土城の屏風絵は何処へ?
安土城と信長の死の関係とは?
そして番組がたどり着く信長の死にまつわるキーワード=信長コードとは?
松永英明氏が警告していたのでさぞトンデモな番組なのだろうと期待予想していたら、案外まともというか普通だったので拍子抜けした。
本能寺の変「近衛前久の陰謀」説は定説とはいえないにしても「トンデモ」と斬って捨てられるほど説得力が低くはないように思う。もっともこれは安部龍太郎の「信長燃ゆ」を読んで楽しんだ経験があるための贔屓目かもしれない。
番組の構成としては、近衛前久陰謀説を主張する論者(作家の安部龍太郎)を画面に写して自分の口で語らせたのは良心的である。ナレーションと効果音で畳み掛けていたら視聴者は定説のように思ってしまうが、安部氏の顔が映れば「ああ、これは安部説なんだな」とわかる。番組の冒頭に登場した「信長研究の第一人者」小和田哲男教授の姿が途中で消えてしまうあたりも味わい深い。
「長篠の戦いでの三段撃ち」とか「世界初の鉄甲船」「中央に吹き抜けがある安土城」といった最近の研究では怪しいとされる通説も取り上げられていたけれど、お笑いタレントが司会する歴史バラエティーなのだからご愛嬌の範囲である。これが「その時歴史が動いた」なら一言いいたくなるけれど。

トンデモ歴史という点ではちょっと物足りなかったものの、キャストには大いに満足した。
スタジオパートでは爆笑問題はどうでもいいとして小林麻耶アナウンサーについ目が吸い寄せられてしまった。あの椅子の高さ、カメラアングル、そして彼女のスカートの短さ。あからさまに男性視聴者の助平心を狙っている。私は別に小林アナのファンじゃないけれどTBSの思惑に見事に乗せられた。悔しい。どうせ危ないシーンはカットされるに決まってるのに。男ってバカだ。

そしてドラマパート。
なんといっても近衛前久役の篠井英介がハマり役だった。今の日本に篠井さん以上に公家装束とおじゃる言葉が似合う俳優はいないでおじゃる。陰謀を企むときの狡猾な表情、通じていたはずの秀吉に裏切られたときのうろたえ方、まさに最高である。

そしてそして、誰がなんと言おうとこの番組最大の見所はドラマパートでの信長役とドキュメント部分の案内役を務めた加藤雅也だ。いや、正確に言えば彼の衣装である。ドラマ部分は普通の信長(どんなだ)だったが、ドキュメント部分はどうみても普通の番組案内役ではなかった。それはあまりといえばあまりにもステキすぎる衣装だった。
なにしろ、濃いエンジ色をしたエナメル光沢のロングコートである。
安土城址でも設楽ヶ原でも本能寺でもバチカンでも、彼の衣装は妖しい輝きを放ち見るものの目を釘付けにする。
思わず知らず「すごく…ゲイ臭いです」と呟いたのは私だけではあるまい(もしかして私だけかも)。
あまりの怪しさ、場違いなセクシーさに私の心は震えた。「NHKスペシャル・インドの衝撃」にチャンネルを変えるのを忘れてしまうほどだった。
織田信長が衆道(男色)を嗜んだことは有名だが、加藤雅也の衣装もそれにあやかったのだろうか。真相はどこにあるのか知らないが、「加藤コート」の素晴らしさは私の脳裏に深く刻み込まれた。これまで加藤雅也といえば「別所哲也と区別がつかない人」だったが、これからは「エナメルコートの人」と呼ぶことにしよう。


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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-01-30 01:53:56
玄倉川さま、加藤!加藤!
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加藤さん別所さんごめんなさい (玄倉川)
2007-01-30 02:17:42
>Unknownさん
間違えました!恥ずかしい!!
いつも加藤雅也と別所哲也の区別がつかなかったので、てっきり別所哲也と思って疑いませんでした。
バレないうちにこっそり修正しました(バレてるって)。
ご忠告ありがとうございます、心より感謝します。
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Unknown (雪斎)
2007-01-31 12:03:35
 加藤雅也というのは、お気に入りの俳優なのですな。ちょっと前に放映されたドラマ『天国への階段』で、佐藤浩市さんの弟分役で出演していました。
 あのドラマ・パートとドキュメンタリー・パートだけでいい番組だったと思います。
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三人の「也」 (玄倉川)
2007-01-31 19:00:01
雪斎さんコメントありがとうございます。
「風林火山」で伊武雅刀演じる迫力たっぷりの太原崇孚雪斎を見ていますとあらためて「雪斎すごい」「雪斎怖い」と思わずにはいられません。
それはともかく、ご贔屓になさっている加藤雅也さんの名前を間違えてしまい申し訳ありません。どうも昔から女優の名前は覚えても男優の名前はあまり覚えられないのです。加藤雅也さんと別所哲也さんは年齢も二枚目ぶりも「也」の字も似ていてどうもこんがらがります。昔は上川隆也さんもよくわかりませんでした。さすがに「功名が辻」で覚えましたけど。
「別所哲也ってもっとお人よしっぽい顔してたと思ったけど、いつのまにか精悍になったなあ」と感心して「織田信長の夢」を見ていた自分は本当にバカみたいでした。
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