黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

新刊『村上春樹批判』が刊行されました。

2015-04-16 15:57:13 | 仕事
 しばらくです。
 別にサボっていたわけではなく、この2月から始まった時事通信社配信の連載(全18回)「戦争文学を読む」の準備――作品の再読・原稿執筆――に思わぬ時間が取られ、加えて「解放文学賞」(小説部門)の選考(いずれ、紹介するつもりだが、今年から新たに作家の佐伯一麦氏が加わったせいか、質の高い作品が集まった)、さらには19日(日)から27日(月)まで山東省(中国・山東師範大学)で開かれるシンポジウム「日本近代文学と山東省」の基調講演の準備、およびついでに回る二つの大学(曲阜師範大学・山東農業大学の日本語科で行う講演の準備、そして6月から始まる連載(1回9枚―詳細についてはこれもまた後に)の準備(草稿の執筆)、などなどで、1日の大半を机の前で過ごすという毎日を送っていたのである。
 そんな毎日であったが、前にお知らせした村上春樹批判』(アーツアンドクラフツ 1800円+税)の「見本刷り」が昨日届いた。昨年11月に出した『葦の隋より中国を覗く――「反日感情」見ると聞くとは大違い』に引き続きアートアンドクラフツにお世話になったのだが、下の画像を見てもらえば分かるように、「村上春樹」の文字が金箔押しになっていて、並製だが豪華な感じがする本になっている。



 『村上春樹批判』の内容(目次)は、

 第1章:「転換」へ――果たしてそれは実現したか?
 第2章:「コミットメント」の行方――「迷走」する村上春樹
 第3章:『1Q84』批判――村上春樹はどこへ行く
 第4章:「反核スピーチ」批判――私たち日本人は、確かに核に対してノーと叫んできたが……
 第5章: 時代との接点は、どこにあるのか?
         ――『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をめぐって
 第6章: 昔の名前で出ています――『女のいない男たち』批判
 第7章: 文学表現における「コミットメント」とは?
         ――村上春樹『1Q84』と莫言『蛙鳴』との違い


 です。
 毎年のようにノーベル文学賞候補として「フィーバー」を巻き起こす村上春樹の文学は、ハルキストたちが言うように、本当にそれだけの「内容」と「文学的価値」を持っているのか、村上のデビュー作『風の歌を聴け』(79年)からずっとその作品を読み続け、2冊(『村上春樹―ザ・ロスト・ワールド』・『村上春樹―「喪失」の物語から「転換」の物語へ』)を書いてきた批評家として、真摯に検討してきた結果が、今度の本ということになる。
 書き下ろしは、「第6章:『女のいない男たち』批判」以外になく、いままで折に触れて書いてきた「村上春樹批判」の文章を、統一された1冊にするために書き直したものである。
 来週22日(火)頃には店頭に並ぶ予定ですが、是非多くの人に読んで欲しいと思っています。 
 なお、版元(アーツアンドクラフツ)に直接注文して購入なさってくださる場合、前著と同じように、
 「1800円+税」→「1600円(税・送料込み)」になります。
 版元「アーツアンドクラフツ」の連絡先は、
  電話: 03-6272-5207
  FAX:03-6272-5208

  (FAXの方が、便利だと思います)
 どうぞよろしくお願い致します