⑫種付けを行う(1)
前述したように、繁殖経営では、確実な受胎とその分娩がなければ、経営は成り立たない。
その確率を高めるために、繁殖牛を飼う関係者は、自らが、人工受精師の免許証を取得することに最大のメリットがある。
同免許を取得するためには、家畜改良増殖法の中で各県が独自の講習会を行い、牛豚に関する飼養技術、繁殖生理、人工受精、体外および体内受精卵移植、関連法規などについて、学科と実技が取り入れられている。
この講習を受けることで、牛に関する幅広い知識が得られる。
また、人工受精など畜産に関連する技術は、日進月歩で新しく展開しているため、この様な機会を生かすことも繁殖経営上有益となる。
人工受精など繁殖技術に関する情報発信としては、(社)日本人工受精師協会が出版している「家畜人工受精」(奇数月発行)や講習会などが実施されている。
育成雌牛の体重が約330kgに到達する頃を見計らって、最初の種付け(人工受精)を行う。
これが、育成牛への究極的な作業工程である。
この最初の種付けで無事に受胎することは、飼養コストの低減に繋がるために、是非とも成功させたい。
発情周期を2回3回と受胎が遅れれば、それだけタダ飯を与えることになり、回を繰り返すことで受胎しにくくなる。
受胎しないと言うことは、雌牛の生殖器官に何らかの生育不良があるか、ホルモンバランスの異常を来していることになる。
受精適期に至っていなかったなどは、論外である。
最近は、ホルモン周期のコントロールを制御して確実に受胎させる技術が宮崎・鹿児島などで開発され普及している。
最初の種付けに用いる精液の選定は、増体型で、生時体重が極端に大きいとされているものは避けて、難産に至らないような精液の選定を行うべきである。
願わくば、繁殖経営といえども、肥育のノウハウの上で、交配計画を立てることにより、購買者が必要とする血統や体型にそえるため、生産された子牛の商品価値をより高めることに繋がる。
写真は、連動スタンチョンにロック保定した状態で、人工受精している様子である。
群飼いの場合、繁殖牛は制限給餌のため全頭がロックを必要とすることや、発情確認、人工受精、妊娠鑑定、予防接種や各種治療などに、この連動スタンチョンが必要不可欠であり重宝される。
おっしゃる通りで、
「授精師の資格を取っておけば…」と考えた事が何度もあります。
しかし、
時間的な事情等で牧場を空ける訳にはいかず、
結局は今後も取得する機会はないのですが、
その代わり、
母牛達の発情の兆候を絶対に見逃さない目を養いたいと思っています。
今年の種付けの状況は、
未鑑定の牛を含めてですが平均52日。
本当は金銭的な面からも自分でAIした方が良いのでしょうが、
分娩間隔の短縮と子牛を増体良く育てる事によりその分を埋めたいとも思います。
プロの繁殖農家でありたいです。
先日、
親しくして頂いている家保の職員の方に授精師の勉強会に誘って頂き、
図々しくも参加させてもらいました。
授精師の資格はなくともそれに負けない位の勉強をして本当の繁殖のプロフェッショナルになりたいと考えています。
(`∀´)/