牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖雌牛の育成(24)

2009-05-06 19:06:08 | 雌牛


⑫種付けを行う(2)
さて、大方が周知のことであるが、日本における人工受精は、47年頃から始まり、50年頃には種付け頭数の約40%に至り、その後は急速に普及して4年後には約75%までに普及し66年頃には90%を越した。同時に、66年年頃から凍結精液の利用が始まり、72年の凍結精液の普及率は70%に急増し、その後格段の保存性のある凍結精液の時代になった。
66年以前の人工受精は、保定された発情牛の膣内に膣鏡を挿入して、子宮頚管の入口当たりに精液を吸い込んだ長めのスポイドのゴム袋を摘んで受精していた。
その後、凍結技術の開発による精液の保管法や注入法が開発されて、ストローを使用するようになり、専用の鉗子で、頚管部の周囲を挟み込んで、膣の入口付近まで引っ張り出してきて、ストロー注入器を頚管中央部に挿入して受精するようになった。
所謂、鉗子法と呼ばれる受精法である。
その後、75年頃より直腸膣法という受精法が普及するようになり、受胎率が極端に改善され、現在に至っている。
この方法は、受精師が発情牛の直腸に片手を入れて除糞した後、直腸壁から子宮や頚管部および卵巣を手探りに把握して、左右の卵巣の内、排卵または排卵直前にある卵巣を確定して、予め挿入していたストロー注入管の先端を、排卵している卵巣の子宮角方向に直腸壁から誘導して注入受精する方法である。
この方法は、直腸内から生殖器官の配置や大きさ形を把握するには、かなりの熟練を要する。
当初のこの様子をして、大海の如きでつかみ所のない状態であると表現しながら習ったものである。

写真は、前述した連動スタンチョンにロックされ飼料摂取中の繁殖雌牛群であるが、同様にロックすることで、人工授精が簡便に実施できる。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
除糞 (Piyo)
2009-05-07 18:44:53

( ̄ー ̄)/
最初に勤めたのは母牛数百頭規模の牧場でした。
定期便のない離島で、
たまに獣医さんが来る日は大騒ぎです。
妊娠鑑定だけで3桁の牛がいるので、
まず牧場スタッフが何名か牛に手を突っ込み除糞し、
その後で獣医さんが鑑定する事に。

数十頭の牛に手を突っ込み牛に蹴られ、
用心していると隣の牛に蹴られ、
未経産や産歴の浅い牛には腕を締め付けられ…
ヘトヘトになったのを思い出します。

今では良い思い出になっていますが。

( ̄∀ ̄)/
返信する

コメントを投稿