牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の角の役割

2008-03-15 23:23:49 | 牛の角
日本で和牛の品種として登録されているのは、黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種である。このうち無角和種のみが無角で、その他は有角品種である。
牛に何故角があるのだろうか。
①牛は草食動物であり、一般的に草食動物は、肉食獣に比し、どう猛ではなく、どちらかと言えば、気弱な動物である。その性質の故か、草食動物は有角が多い。
害敵からの保身用に角は不可欠なのである。つまり、牛の角は害敵を威嚇する目的がある。
②野生牛や放牧牛は、渇水期の飲水の確保や、ミネラル補給のためなどに地面等を掘り起こして用を足す。それに角や四肢を駆使し、それらを補給する。
③牛はおとなしいとの感覚があるが、牛同志では餌の取り合いは日常茶飯事であり、その取り合いには角の威力が有効なのである。
④06年に鹿児島で起きた集中豪雨で、2,000頭規模の肥育センターが水没し、数十頭の肥育牛が犠牲になった。その時に犠牲になった一因に、無角したことが原因であったとセンター長の体験談を聞いた。猫の口ひげではないが、牛の角も自らの体幅を図る尺度にしているというのである。牛は、前に出ようとする時、後ろすざりして出直そうという知恵がない。無角した牛は頭が出られたなら、躯全体も出れると勘違いして、前に出ることだけの動作を繰り返し、結局水没してしまったというのである。有角牛は、角毎出られれば問題ないが、出られなければ、飛び越すとか増水に添って逃げられたそうである。


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