牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

モネンシンについて

2008-11-18 00:38:40 | 飼料添加剤



過日のコメントでは、モネンシンの話題でもちきりであった。
同剤については、専門家ではなく、耳学の域を脱し得ていないが、次のように認識している。
同剤は、約30年前から日本でも飼料添加剤として利用されるようになったと記憶している。
途中、肉色が黒ずむという噂があったが、その後無関係であることが判明して以来、近年は飼料添加剤として普及しつつある。

同剤の子牛や肥育牛への一般的な投与効果は次のとおり。
①第1胃で作られる脂肪酸の内、同剤の投与によりプロピオン酸の生産割合が増加するため、飼料の利用性が高まる。約10%改善されると言われている。
②第1胃内の醗酵を良くすることから、鼓脹症の発生を塞ぐ効果がある。
③元来、海外では鶏のコクシジューム症の予防薬とされているが、子牛用の育成配合飼料に添加することで、子牛の同症の予防効果がある。肥育用に添加した場合も同症の予防効果がある。

同剤を飼料添加剤とする場合、30PPMが定量とされている。
子牛の第1胃の発達は、通常3ヶ月令経たなければ濃厚飼料等を消化できるまでに至らないため、上記の同剤効果は3ヶ月令以降の子牛に得られることになる。
上記③の効果は、3ヵ月令以前でも効果はあるが、同剤が飼料添加剤としての利用である以上、配合飼料の摂取可能月齢以降への投与と言うことになる。
また同剤を治療薬として利用できるのは、日本では鶏だけで、その他の家畜への治療薬としては薬事法で認可されていない。
コメントの中に東北地方では、子牛に同剤を投与しなければ生育が悪いとあったが、一部に同剤には成長を促す効果があると聞くことがあるが、むしろ上記①の効果に加え、③の同症が予防でき、同症に伴う下痢が抑えられるための効果など、①③の相乗効果によるものと推測している。
同剤の肥育用配合飼料は、肥育終了時まで給与しても差し支えないことが、係るメーカーより06年6月にコメントされている。

最近の傾向として、飼料効率を念頭に牛飼いしている経営者らは、同剤を積極的に利用していると聞くことがある。
同剤の利用に当たっては、メーカーや添加されている配合飼料メーカー等の詳細な利用法を遵守すべきである。


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6 コメント

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よく聞く話 (南の牧童)
2008-11-18 05:50:05
九州の肥育生産者が北海道に素牛を買付け行って肥育すると、下痢が多発し易いと聞きます。寒い地域は下痢予防に育成牛にモネンシンを使用してる事が多い為。又、ホルスタイン去勢牛の肥育にモネンシン使用が多く、肉質関係無く増体効果を上げる為使用しているようです。補足として搾乳牛には禁止されてます。
健康 (Piyo)
2008-11-18 19:04:34
(・ω・)/
無菌室で牛を育成するのでない限り、
子牛達は常にあらゆるウイルスやばい菌、寄生虫などにその身を狙われている事になります。

大切なのは、
それらに負けない頑強な子牛になってもらう事だと思っています。
耐性菌の問題も考慮したいです。
病気の予防と、
万が一何らかの症状が出てしまった場合は早期発見早期治療が出来るかどうか。
健康に育てさえすれば増体もついてくるし、
そうすればセリ値も…。

使っている生菌剤はピグモーン(アースジェネター+万田酵素)という商品で、
スターターをしっかり食い込むまでは確実に経口投与する様にしています。

松本先生の著書によれば、
生菌剤を与える事により放線菌が堆肥中に増え、その放線菌がモネンシンやビゴザマイシンを作ってくれるそうですね。

私自身もヨーグルトや納豆、キムチ等の発酵食品が…って、
以前も書き込みましたか。

人も牛も健康第一ですね。

(`∀´)/
添加剤について (山脈黒毛繁殖家)
2008-11-18 20:22:33
牛の添加剤は全国津々浦々かなりの種類が出回っています。皆さん手応えなく麻疹みたいに添加しておられるケースがあります?年間の添加剤代を考えると、まだお金を掛ける優先順位があると思います。CM度が強い添加剤は利害が絡んでいます。仔牛の健康管理は清潔な環境作りだと思います。素牛・枝肉の相場が下落しています。無駄な経費は省きましょう。体力温存!
Unknown (北の繁殖屋)
2011-11-22 07:25:45
モネンシンのイオノフォアがプラスアルファの成長効果を発揮しているようです。
こういう薬剤はいくら安全性を声高々に叫んでも生協をはじめとする消費者団体にとっては、マイナスイメージがつきまといます。
イーライリリーさんに恨みはありませんが、米国産牛肉と同じ添加物で大きくしたといわれては差別化に逆行します。
私は極寒の地でモネンシン不使用で素牛生産しておりますがDGは市場平均より高く必要性を感じません。私が目標にしてきた先進地といわれる九州でそういうモノに頼る牛造りがはばかることが残念です。
こちらに来ました (Unknown)
2011-11-25 10:06:43
確かにモネンシンのコメは先の所ではふさわしくなかったですね。またあまり熱くなり過ぎず、冷静に議論しましょう。kurousiさんの牛コラムの品位が落ちるような気がしてあまりいい気分がしません。
Unknown (Unknown)
2011-11-25 10:54:00
最後の方がおっしゃられているように、モネンシン使用を隠さなければならないようでは、不使用組やそれを求めるお客さんには申し訳ないですもんね。はっきりと使用、不使用を明記すべきだと思います。

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