牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

家畜共済制度について

2012-07-05 23:39:38 | 予防治療
JA共済連の家畜共済制度が会計検査院の指摘を受けて、肥育牛の場合は対象となる牛の月齢毎の評価額がこれまで最高40万円で頭打ちされていたが、今回各府県の食肉市場のDATAを参考に31ヶ月令以上は79万円に引き上げられた。
評価額が実情に即したことは、妥当なことであろう。
しかしながら、年々疾病率や事故率を下げ、3年に1度の掛け金率の改正では着実に引き下げられ、年間掛け金と実質給付額がほぼ見合う結果となっていた。
同共済制度では、掛け金のほぼ倍額の範囲で給付額が設定されているが、10年近く掛け金程度の給付で賄えられてきた。
3年ごとの見直しは昨年実施したばかりである。
ところが、今回の評価額の引き上げにより、昨年と同様の加入条件での提示額を見て、唖然とした。
昨年比164%と極端な上昇であった。
常日頃、疾病率を下げる努力をしたセンターほど、掛け金率が上昇しているとのことである。
当センターでは毎年7月中旬が更新時期であるため、毎年6月下旬に更新手続きを行っており、これほどの値上げに対して、事前の説明無しで「今回からこの金額になりました」である。
担当者にその説明を聞けば、「会検の指摘であり、共済法に則って算出されており、動かし難い提示である」の一点張りであった。
これだけの値上げであれば、被加入者の要望ぐらいは聞いた上で、段階的に期間をおいて値上げるなど、弾力的な運用が成されてもしかりである。
評価額を変更すると同時に保険法なる算出基準の改正も不可能ではなかったはずである。
前述の通り、これまで掛け金と給付額が見合っているが、今回の64%の値上げ分は明らかに共済連にストックされる額となる。
これを機に、事務方より獣医師へ「もっと診療費を増やせ」などの内部圧力が起きねば良いが・・・・。
実に不可解な値上げであると同時、本来3年おきの見直しを無視しての値上げでもあり、この制度は国の指導下にあるも、生産者を無視した共済連の机上の結論と判断せざるを得ない。
家畜共済制度は、大型センターなどでは未加入の例が多々あると聞くが、当センターではこれまで早期発見早期治療を実現するために、長年の実績から高く評価し加入してきた。
同制度の廃止に繋がらねば良いが。




最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2012-07-06 15:03:25
農業共済制度とJA共済連は関係ありませんので…

共済掛金の農家負担部分については、国から月齢による評価を義務付けられたため、納得できないにしても従わざるを得ません。

例年並みの掛金で加入できるように付保割合を下げるなど、全国的に苦労しているようです。

事前説明もなく、「会検の指摘…」の一点張りで詳しい説明を受けておられないのであれば、その担当者・もしくは所轄の共済組合及び連合会は勉強不足としか言い様がありません、残念ながら。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-07-07 11:30:31
口啼疫の賠償額からきていると思われます
返信する
そもそも… (Unknown)
2012-07-09 15:10:50
そもそも、マルキンの交付額・共済金の保証額は官僚の事務方が机上で国が大幅な損失が出ないようにしているので、生産者には合理性がなく積立金を掛けても合うはずがない。マルキンの算出額でも、ブランド地域には恩恵があってもノーブランド地域に取っては交付されても出荷するほど赤字になる。又、共済制度は国が補助金を出しても生産者は赤字になる仕組みになっている。共済制度は繁殖生産者の為で、肥育生産者では採算が合わない。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-07-09 18:28:32
一番最初にコメントされている方と同様に付保割合などは加入者が選択できるので、掛金が実情に合わない場合は担当者とよく話すことができるのですが・・・・

確かにここ最近で評価額にかかる部分で大きな変化がありましたが、その変化に担当者がついていけてないようなのでとても残念に思います。

それと共済制度は肥育生産者では採算が合わないというのもその通りだと思います。

実際に国が想定しているのは乳牛の方だと自分は思います。

まぁかと言いまして肥育生産者には全然合わないというわけでもなくて、また別な入り方等ありますから無駄というわけではないとは思いますが・・・・

それと最後にですが口蹄疫は関係ないとは思います。大きな原因は最近の不正請求関係で、色々と国からの指摘が強くなってきたからだと思うのですが・・・・実際、家畜共済制度自体が黒字はないというのもあるかも知れませんねぇ
返信する
基本的なスタンス (がまだす生産者)
2012-07-10 19:02:29
おこがましいですが、一言。農業生産物に関わる制度は沢山ありますが、殆どが任意加入です。制度の内容に不満があれば加入しなければいいだけの事です。補償制度の積立金は、国・県・加入者の3割づつの負担です。積立金を差し引けば、補償されても赤字です。牛の生産者は国の保護政策で守られてきましたが、これからは気持ちだけでも国に頼らない養牛経営を構築したいものです。
返信する

コメントを投稿