牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

尿管バイパス

2010-06-16 18:56:21 | 牛の病気


肥育牛に関わりを持たれている獣医師諸氏には、何の写真であるかは明白であろう。
尿道結石症で尿が出なくなった去勢牛の尿管にバイパス手術を行ったもので、そのバイパスの放尿口の写真である。
この放尿口は、肛門から約15cm下に位置している。
同症の発見が遅れ、回復させるにはバイパス手術しかないと、ベテラン獣医師2名により施術が行われた。
手術は順調に経過したが、手術箇所が複雑な構造からなっているため、2時間程度かかったが、バイパスのパイプから放尿も順調に経過したため、数日後パイプを取り除いたものである。
本来の包皮からの放尿ではないため、尿が皮膚を伝わることになる。
下方の色が変わっているのは、やたらと放尿することから湿っているためである。
本来、このような手術を受けることの無いようこまめな監視が必要である。

安眠中なのか気になる

2010-06-16 00:18:02 | 肥育


家畜を管理していれば、いつかはそれらとの決別がある。
彼らの生命を犠牲にしながらの経営でもあると認識し、日頃から常に一抹の思いを持ちながら、尊い畜魂への感謝と供養の日々である。
口蹄疫の感染拡大により、罹患したもの全く関係のないものたちを見送る畜主らの無念さは、如何ばかりかと、日夜思わずには居られない。
このところ、日々の発症件数が数例と一頃よりは減りつつある。
このまま終息へと向かってくれることを願うのみである。


さて、家畜を飼っている畜主にとって、早朝の見回りは、いつもある種の緊張感を抱きながらの巡回である。
繁殖経営であれば、子牛が生まれていたりして、その初対面や無事で生まれたことに感動や喜びを味わうことは多々あろう。
しかし、肥育の場合は、朝の見回りで繁殖での感動を味わうようなことは先ず考えられない。
もしあるとしたら、どのような生き物と関わっていても経験することであるが、ぐったりとして或いはもう助からないと宣告された患畜が、早朝頭を持ち上げて、耳をぴくぴく動かしていたりするものなら、それまでの不安が一蹴され、喜びと感動に変わることである。
家畜との毎日は、罹患しているかいないかの様子伺いに尽きるのである。
写真はまさしく安眠状態の肥育牛の様子であるが、初めにこのような光景が視野に入った時、「よく寝ているな」などと思うことなど一度もないのが実感である。
「おいおい! 息しているか?」と大きな腹容の鼓動を確かめることになる。