黒毛和種について、分娩予定日を換算するのに昔から、種付け月から3を差引、種付け日に10を加えて求めてきた。
この算出法の根拠は妊娠期間が285日とされていたからである。
現実にそれに照らして計算すると、283~285日となる。
黒毛和種の子牛登記書には、該牛の種付け日が印字されている。
08年11月以降、鹿児島県下から導入した417頭の在胎日数の平均を算出した。
その平均値は、290.4日で標準偏差は4.81であった。
従来の計算値からは5日以上も在胎日数が伸びていることになる。
以前は長期在体とされていた300日以上が16頭もおり、285日とそれ以下は71頭(17%)で、286~290日は143頭(34.3%)、291日以上は何と203頭(48.7%)であった。
また雌雄別では、雌289.45日(55頭)、去勢290.56日(362頭)であり、雌子牛の方が若干短い値であった。
このように在胎期間が伸びてきている理由には、和牛の成熟値が大きくなったことが考えられるが、生時体重が大きいほど在胎期間が長いかの傾向は見られなかった。
給与飼料や血統による影響などが関わっている可能性も考えられる。
この様な数値から、分娩予定日の目安は、種付け日に15日を加えて求める方が現実的であると感じた次第である。