今月中旬から、北海道に浮かぶ一番北の島、礼文島に滞在してきました。
しばらく、旅行記にお付き合いください。
今回の話は、2日目です。
青森駅→札幌駅→稚内駅→稚内港→香深港(礼文島)までのお話。
今回は異常に画像が多いので、パソコンでご覧になる方、
ちょっと重たいかもしれません。ごめんなさい。
6月14日午前1時23分。
北海道函館市函館駅。
前夜、青森を出発した急行はまなすは、ふたたび、ガタンと音をたて、
札幌に向けて動き出しました。
急行はまなすには、さまざまなタイプの車両が連結されています。
普通の座席の自由席やドリームカーと呼ばれる、ちょっとゆったりめの指定席、
B寝台と呼ばれるスタンダードな寝台車に加え、
カーペット敷きで、肌掛け蒲団と枕が用意されているカーペットカー。
今回は、指定席急行券の料金で乗れるカーペットカーで、札幌まで過ごします。
特に、二段目の一番隅の区画は、半分個室風になっており、
B寝台との違いは、寝心地が固いのと、カーテンがないことくらい。
ほぼ快適です。
友達「mixiの画像が反対になっているぞー」
kumazzzo「ごめん、あとで直してみる!」
急にぱちっととると、携帯カメラの上下を間違えてしまい、
今回も、逆さの画像や誤字もたくさんアップしてしまいました。
メールを見たあと、携帯電話の電源を落とし、再び、眠りにつきました。
……
車掌「おはようございます。あと15分で南千歳に到着します。」
kumazzzo「!!」
気がつけば、カーペットカーの側面についた小窓からは、明かりが差しています。
明け方になり、車内放送が再開されます。
洗面道具を持って、洗面所へ移動し、下車の準備を始めます。
午前6時7分。札幌駅到着。
ホームへ出ると、冬のような冷たい空気、そして雨。
閑散とした日曜の朝は、鉛色の景色に、さらに絵具を足すような雰囲気です。
ホームに下ろしたバックパックを、もう一度、背負いなおして、歩き出しました。
次の特急の出発まで、約2時間半。
ここでの最大の目的は、携帯電話の充電です。
事前の情報で調べたところ、JR札幌駅構内で、有料で携帯電話の充電ができるコーナーがあるとか。
5,6番ホームへ向かうエスカレータ脇を探します。
…が、見つからない!
kumazzzo「あの、このへんに携帯電話を充電できるコーナーってありませんでしたか?」
駅員さん「撤去されてしまいましたねー」
携帯電話のショップが営業している時間だったら、こんな苦労はありません。
残念。どうしようか迷いましたが、札幌駅にいても仕方ないので、
街をぶらぶらしながら、携帯電話が充電できるチャンスを探します。
ちょうど、この日の札幌は、「YOSAKOIソーラン祭り」の最終日。
街は、祭りの余韻を残し、最終日の盛り上がりに向けて、
朝早くから衣装を着て集合場所に向かうグループがちらほらと。
朝の時計台。
朝の安全地帯。
朝のテレビ塔。
札幌の地下街は、ほとんどシャッターが下りていて、
「大通駅」地下にある、札幌によると食べたくなるたい焼き屋も、この時間はまだ。
小雨降る中、ぐるっと回って札幌駅へ。
看板「インターネットカフェ24時間営業」
kumazzzo「!!」
すでに時刻は7時50分。
ここなら充電できるかもしれないけれど出発までちょっと時間が足りません。
さすがに、乗り遅れるのはまずいので、仕方なく、札幌駅へ向かいます。
駅弁を買い、改札に入り、駅構内へ。ここで最終手段です。
kumazzzo「あの、すいません、店内で充電させてもらっていいですか?」
ロッテリアの店員「あっいいですよ。(店長らしき人に相談してから)あちらの隅のコンセントでどうぞ」
厚かましいお願いに、感謝です。
時間ぎりぎりまで充電して、お礼を言って、ホームへ向かいます。
8時30分発。「スーパー宗谷1号」稚内行き。気動車の心地よい重低音が、ホームに響きます。
先ほど到着した時とは、また違い、気持ちが高鳴ります。
急いで写真を撮って、車内へ乗り込みます。
程なくして、ホームがゆっくりと動き出します。出発です。
札幌を離れると、すぐに、北海道らしいのんびりとした風景がひろがります。
旭川までは、電化区間で、都市間輸送が盛んです。30分に1本以上の頻度で特急が走ります。
室蘭本線が分岐する岩見沢、根室本線が分岐する滝川で停車し、旭川まで約1時間20分。
ここで乗客が入れ替わり、列車は、宗谷本線に向けて、一路、北へ向かいます。
女性乗務員「車内では、お弁当の注文を承っております。名寄到着一時間前にお申し付けください」
座席には、飛行機の機内サービス張りに、車内で販売しているお食事やドリンクなどのリストの案内が。
行き先によって食べれるお弁当も違います。
昔は、駅での停車時間が長く、停車中に駅弁を買うことも可能だったのでしょうが、
今では、こうして車内で注文を取って、途中駅で積み込むことで、
旅の楽しみを演出しているのでしょう。
自分は札幌駅で買った駅弁で、ひとり駅弁大会です。
列車は、旭川から約1時間で、士別駅に停車。レンガ倉庫の並びが美しい!。
続いて、名寄駅に停車。駅弁を積み込み終えた業者さんが、小走りに駅舎に戻っていきます。
名寄を過ぎると、車窓の右側には、天塩川が見えてきました。
北海道の網走支庁と上川支庁を分けている山脈の中の天塩岳付近を源にし、
日本海側の天塩町までの、256kmは、日本で4番目に長い川だとか。
この川沿いに列車はさらに進みます。指定席を進行方向右側でオーダーしたのですが、
その狙いがぴたりとはまり、川の流れが楽しみながら、列車は進みます。
山間部ですが、高低差があまりないのか、水量が多いからか、
ゆったりとした流れが、北海道らしいスケールを感じさせます。
途中、音威子府駅には、札幌から3時間半。
ずいぶん遠くまで来たはずですが、ここから、稚内までさらに2時間。
山間部をくねくねと曲がりながら進み、天塩中川を経て幌延へ。
徐々に平地が広がっていきます。線路の向こうにはサロベツ原野が広がっている…はずですが、
地形の関係か天候の関係か、または線路沿いに生える笹のせいか、
日本海はまだ見えません。
そして、突然、海が車窓に飛び込んできます。
kumazzzo「やっとここまで来たか!」
札幌から約5時間。気がつけば、もうすぐ稚内です。
南稚内到着を告げる車掌のアナウンスに、団体客もざわざわしはじめます。
午後1時28分。稚内駅到着です。
でかいバックパックを背負い、最後にホームに降りると、そこは、極寒の地。
6月とは思えない寒さに白い息で、かじかむ手を温めます。
気分は奥村チヨの「終着駅」です。
半袖のポロシャツ姿だった自分は、慌ててフード付きのトレーナーを着こみます。
最北の終着駅らしく、観光客が続々と記念撮影をしていきます。
自分も、その観光客が切れるのを待ってから、撮影していたら、
いつの間にか、「特急サロベツ」札幌行きが発車していきました。
「東京都区内発稚内行」の片道切符ともここでお別れ。
改札に向かい、切符を駅員に渡します。
次の列車までしばらく時間があくので、
自分を最後に改札が閉じられ、自分が出るのを待っていてくれた係員も
駅務室に入っていってしまいました。
kumazzzo「……ぽつん。」
ひとり旅で、列車を降りて一人になった瞬間。
空港で、駅で、港で、ひとり放り出され、
これからどうしようかと、自分と対話する瞬間。
僕は、このせつない瞬間が、一番好きかもしれません。
稚内市内は、日曜の午後にしては、閑散としていました。
さすがにこの寒さでは、歩く人もいないのでしょう。
ロシアとの間では蟹などの貿易が盛んだったらしく、
ロシア語の表示も市内にはあふれていますが、今では輸出規制で、
船もあまり入港しないとか。
低く垂れこめた鉛色の空と寒さと幅員の広い道路にロシア語の表記。
国境が閉鎖されてしまったかのような、寂れた街の雰囲気です。
フェリーターミナルの場所と、フェリーの出発時間を確認し、
腹ごなしにラーメンを食べて、セイコーマート(北海道のコンビニチェーンですね)で
礼文島滞在中に必要なペットボトルのお茶を確保し、
雨脚が少し強まる中、歩いてフェリーターミナルへ向かいます。
自分が、とぼとぼ歩いていると、タクシーが次から次へとフェリー乗り場方面に向かって
走っていきます。
kumazzzo「……ぽつん。」
稚内と利尻・礼文を結ぶ航路は以前は、
東日本海フェリーという会社名だったらしいのですが、
現在はハートランドフェリーという名前に変わり、
フェリーターミナルも移動し、かなり立派になったのだとか。
これがどうやら久しぶりに礼文や利尻に訪れる個人観光客には
周知されてないようで、
自分が泊った民宿でも、前のフェリーターミナル付近で
タクシーがわざと待っているのでは?と
話題になっていました。
ハートランドフェリーのターミナルは、とても新しく立派です。
雰囲気は、まるで空港のよう。到着客を待つ人たちは1階で、
出発客は2階で待っています。
1階でチケットを買って、搭乗口へ向かいます。
アナウンス「礼文・香深港行きはただ今から乗船を開始します。」
すでに搭乗口には、人が並んでいます。
自分も最後尾について、搭乗します。
が、しかし!
2階から直接、ボーディングブリッジで乗船できるのかと思ったら、
階段を下りて、しかも一度建物の外に出なくてはいけないという、
ちょっと面白い構造。
お年寄りや車いすの方には、とても無意味な感じです。
階段を上り下りして、いよいよ、乗船です。
2等船室はいくつかの場所に分かれていて、どこもすでにお客さんが陣取っています。
一番空いていそうな所でバックパックを降りし、カーペットに座ります。
汽笛「ぼーッ」
午後3時10分。フェリーが稚内港を出発します。
外の眺めが見たくて船外に向かいますが、ちょっと寒くて、断念。
船内をぐるっと探検して、ふたたび船室に戻ります。
が、しかし!
波「ザブーン!!」
kumazzzo「ゆれるなー」
そこそこの大きさの船なので揺れないかと思ったのですが、
案外揺れるではないですか!
ちょっと酔ってしまう予感がしたので、ここは思いきって寝ることに。
……
アナウンス「まもなく香深港に到着します。」
kumazzzo「!!!」
気がついたら2時間経っていました。
あわてて、下船の準備をして、バックパックを背負って、船室の外に移動します。
すると、港には、大きく「おかえりなさい」の文字。
これが、僕が行ってみたかった、礼文島の風景。
外は稚内からさらに冷たい雨と風。
そんな悪天候とは裏腹に、はじめて訪れる場所の風景や人との出会いの期待は膨らみ、
僕のことを待っててくれるであろう、
民宿の旗を目指して、船を下りるのでした。
しばらく、旅行記にお付き合いください。
今回の話は、2日目です。
青森駅→札幌駅→稚内駅→稚内港→香深港(礼文島)までのお話。
今回は異常に画像が多いので、パソコンでご覧になる方、
ちょっと重たいかもしれません。ごめんなさい。
6月14日午前1時23分。
北海道函館市函館駅。
前夜、青森を出発した急行はまなすは、ふたたび、ガタンと音をたて、
札幌に向けて動き出しました。
急行はまなすには、さまざまなタイプの車両が連結されています。
普通の座席の自由席やドリームカーと呼ばれる、ちょっとゆったりめの指定席、
B寝台と呼ばれるスタンダードな寝台車に加え、
カーペット敷きで、肌掛け蒲団と枕が用意されているカーペットカー。
今回は、指定席急行券の料金で乗れるカーペットカーで、札幌まで過ごします。
特に、二段目の一番隅の区画は、半分個室風になっており、
B寝台との違いは、寝心地が固いのと、カーテンがないことくらい。
ほぼ快適です。
友達「mixiの画像が反対になっているぞー」
kumazzzo「ごめん、あとで直してみる!」
急にぱちっととると、携帯カメラの上下を間違えてしまい、
今回も、逆さの画像や誤字もたくさんアップしてしまいました。
メールを見たあと、携帯電話の電源を落とし、再び、眠りにつきました。
……
車掌「おはようございます。あと15分で南千歳に到着します。」
kumazzzo「!!」
気がつけば、カーペットカーの側面についた小窓からは、明かりが差しています。
明け方になり、車内放送が再開されます。
洗面道具を持って、洗面所へ移動し、下車の準備を始めます。
午前6時7分。札幌駅到着。
ホームへ出ると、冬のような冷たい空気、そして雨。
閑散とした日曜の朝は、鉛色の景色に、さらに絵具を足すような雰囲気です。
ホームに下ろしたバックパックを、もう一度、背負いなおして、歩き出しました。
次の特急の出発まで、約2時間半。
ここでの最大の目的は、携帯電話の充電です。
事前の情報で調べたところ、JR札幌駅構内で、有料で携帯電話の充電ができるコーナーがあるとか。
5,6番ホームへ向かうエスカレータ脇を探します。
…が、見つからない!
kumazzzo「あの、このへんに携帯電話を充電できるコーナーってありませんでしたか?」
駅員さん「撤去されてしまいましたねー」
携帯電話のショップが営業している時間だったら、こんな苦労はありません。
残念。どうしようか迷いましたが、札幌駅にいても仕方ないので、
街をぶらぶらしながら、携帯電話が充電できるチャンスを探します。
ちょうど、この日の札幌は、「YOSAKOIソーラン祭り」の最終日。
街は、祭りの余韻を残し、最終日の盛り上がりに向けて、
朝早くから衣装を着て集合場所に向かうグループがちらほらと。
朝の時計台。
朝の安全地帯。
朝のテレビ塔。
札幌の地下街は、ほとんどシャッターが下りていて、
「大通駅」地下にある、札幌によると食べたくなるたい焼き屋も、この時間はまだ。
小雨降る中、ぐるっと回って札幌駅へ。
看板「インターネットカフェ24時間営業」
kumazzzo「!!」
すでに時刻は7時50分。
ここなら充電できるかもしれないけれど出発までちょっと時間が足りません。
さすがに、乗り遅れるのはまずいので、仕方なく、札幌駅へ向かいます。
駅弁を買い、改札に入り、駅構内へ。ここで最終手段です。
kumazzzo「あの、すいません、店内で充電させてもらっていいですか?」
ロッテリアの店員「あっいいですよ。(店長らしき人に相談してから)あちらの隅のコンセントでどうぞ」
厚かましいお願いに、感謝です。
時間ぎりぎりまで充電して、お礼を言って、ホームへ向かいます。
8時30分発。「スーパー宗谷1号」稚内行き。気動車の心地よい重低音が、ホームに響きます。
先ほど到着した時とは、また違い、気持ちが高鳴ります。
急いで写真を撮って、車内へ乗り込みます。
程なくして、ホームがゆっくりと動き出します。出発です。
札幌を離れると、すぐに、北海道らしいのんびりとした風景がひろがります。
旭川までは、電化区間で、都市間輸送が盛んです。30分に1本以上の頻度で特急が走ります。
室蘭本線が分岐する岩見沢、根室本線が分岐する滝川で停車し、旭川まで約1時間20分。
ここで乗客が入れ替わり、列車は、宗谷本線に向けて、一路、北へ向かいます。
女性乗務員「車内では、お弁当の注文を承っております。名寄到着一時間前にお申し付けください」
座席には、飛行機の機内サービス張りに、車内で販売しているお食事やドリンクなどのリストの案内が。
行き先によって食べれるお弁当も違います。
昔は、駅での停車時間が長く、停車中に駅弁を買うことも可能だったのでしょうが、
今では、こうして車内で注文を取って、途中駅で積み込むことで、
旅の楽しみを演出しているのでしょう。
自分は札幌駅で買った駅弁で、ひとり駅弁大会です。
列車は、旭川から約1時間で、士別駅に停車。レンガ倉庫の並びが美しい!。
続いて、名寄駅に停車。駅弁を積み込み終えた業者さんが、小走りに駅舎に戻っていきます。
名寄を過ぎると、車窓の右側には、天塩川が見えてきました。
北海道の網走支庁と上川支庁を分けている山脈の中の天塩岳付近を源にし、
日本海側の天塩町までの、256kmは、日本で4番目に長い川だとか。
この川沿いに列車はさらに進みます。指定席を進行方向右側でオーダーしたのですが、
その狙いがぴたりとはまり、川の流れが楽しみながら、列車は進みます。
山間部ですが、高低差があまりないのか、水量が多いからか、
ゆったりとした流れが、北海道らしいスケールを感じさせます。
途中、音威子府駅には、札幌から3時間半。
ずいぶん遠くまで来たはずですが、ここから、稚内までさらに2時間。
山間部をくねくねと曲がりながら進み、天塩中川を経て幌延へ。
徐々に平地が広がっていきます。線路の向こうにはサロベツ原野が広がっている…はずですが、
地形の関係か天候の関係か、または線路沿いに生える笹のせいか、
日本海はまだ見えません。
そして、突然、海が車窓に飛び込んできます。
kumazzzo「やっとここまで来たか!」
札幌から約5時間。気がつけば、もうすぐ稚内です。
南稚内到着を告げる車掌のアナウンスに、団体客もざわざわしはじめます。
午後1時28分。稚内駅到着です。
でかいバックパックを背負い、最後にホームに降りると、そこは、極寒の地。
6月とは思えない寒さに白い息で、かじかむ手を温めます。
気分は奥村チヨの「終着駅」です。
半袖のポロシャツ姿だった自分は、慌ててフード付きのトレーナーを着こみます。
最北の終着駅らしく、観光客が続々と記念撮影をしていきます。
自分も、その観光客が切れるのを待ってから、撮影していたら、
いつの間にか、「特急サロベツ」札幌行きが発車していきました。
「東京都区内発稚内行」の片道切符ともここでお別れ。
改札に向かい、切符を駅員に渡します。
次の列車までしばらく時間があくので、
自分を最後に改札が閉じられ、自分が出るのを待っていてくれた係員も
駅務室に入っていってしまいました。
kumazzzo「……ぽつん。」
ひとり旅で、列車を降りて一人になった瞬間。
空港で、駅で、港で、ひとり放り出され、
これからどうしようかと、自分と対話する瞬間。
僕は、このせつない瞬間が、一番好きかもしれません。
稚内市内は、日曜の午後にしては、閑散としていました。
さすがにこの寒さでは、歩く人もいないのでしょう。
ロシアとの間では蟹などの貿易が盛んだったらしく、
ロシア語の表示も市内にはあふれていますが、今では輸出規制で、
船もあまり入港しないとか。
低く垂れこめた鉛色の空と寒さと幅員の広い道路にロシア語の表記。
国境が閉鎖されてしまったかのような、寂れた街の雰囲気です。
フェリーターミナルの場所と、フェリーの出発時間を確認し、
腹ごなしにラーメンを食べて、セイコーマート(北海道のコンビニチェーンですね)で
礼文島滞在中に必要なペットボトルのお茶を確保し、
雨脚が少し強まる中、歩いてフェリーターミナルへ向かいます。
自分が、とぼとぼ歩いていると、タクシーが次から次へとフェリー乗り場方面に向かって
走っていきます。
kumazzzo「……ぽつん。」
稚内と利尻・礼文を結ぶ航路は以前は、
東日本海フェリーという会社名だったらしいのですが、
現在はハートランドフェリーという名前に変わり、
フェリーターミナルも移動し、かなり立派になったのだとか。
これがどうやら久しぶりに礼文や利尻に訪れる個人観光客には
周知されてないようで、
自分が泊った民宿でも、前のフェリーターミナル付近で
タクシーがわざと待っているのでは?と
話題になっていました。
ハートランドフェリーのターミナルは、とても新しく立派です。
雰囲気は、まるで空港のよう。到着客を待つ人たちは1階で、
出発客は2階で待っています。
1階でチケットを買って、搭乗口へ向かいます。
アナウンス「礼文・香深港行きはただ今から乗船を開始します。」
すでに搭乗口には、人が並んでいます。
自分も最後尾について、搭乗します。
が、しかし!
2階から直接、ボーディングブリッジで乗船できるのかと思ったら、
階段を下りて、しかも一度建物の外に出なくてはいけないという、
ちょっと面白い構造。
お年寄りや車いすの方には、とても無意味な感じです。
階段を上り下りして、いよいよ、乗船です。
2等船室はいくつかの場所に分かれていて、どこもすでにお客さんが陣取っています。
一番空いていそうな所でバックパックを降りし、カーペットに座ります。
汽笛「ぼーッ」
午後3時10分。フェリーが稚内港を出発します。
外の眺めが見たくて船外に向かいますが、ちょっと寒くて、断念。
船内をぐるっと探検して、ふたたび船室に戻ります。
が、しかし!
波「ザブーン!!」
kumazzzo「ゆれるなー」
そこそこの大きさの船なので揺れないかと思ったのですが、
案外揺れるではないですか!
ちょっと酔ってしまう予感がしたので、ここは思いきって寝ることに。
……
アナウンス「まもなく香深港に到着します。」
kumazzzo「!!!」
気がついたら2時間経っていました。
あわてて、下船の準備をして、バックパックを背負って、船室の外に移動します。
すると、港には、大きく「おかえりなさい」の文字。
これが、僕が行ってみたかった、礼文島の風景。
外は稚内からさらに冷たい雨と風。
そんな悪天候とは裏腹に、はじめて訪れる場所の風景や人との出会いの期待は膨らみ、
僕のことを待っててくれるであろう、
民宿の旗を目指して、船を下りるのでした。