Q 68歳女性。あまり便秘したことがありませんでしたが、昨年末 にひどい便秘になりました。ただ、病院で検査を受けても異常あり ません。残便感と一日中おなかが張って、尾骨の周りが痛く、食欲 もありません。
<回答>札幌いしやま病院(札幌市中央区)肛門科 樽見 研さん
食生活正して運動を
便秘はまず大腸がんや大腸憩室(突き出て袋状になった状態)など の疾患で便の通過が妨げられることで起る器質性便秘と、何らかの 原因で大腸の機能が低下したことによって起る機能性便秘に区別 することができます。相談者の場合、病院で検査を受けて異常がな かったということですので、機能性便秘といってよいでしょう。機能性 便秘のうち、相談者のように1日中おなかが張り、食欲がないので あれば弛緩性便秘が疑われます。この便秘は腸の筋肉の緊張が緩 んで蝉動運動が弱いため、便を十分に押し出せないことが原因で起 こり、中高年の女性、虚弱体質の女性、運動不足の人に多い便秘で す。便秘でありながら便は必ずしも硬くないのが特徴で、軟らかい便 や泥状便なのに十分排出されず残ってしまいます。このため、残便 感に悩まされたり、トイレで息むことを繰り返すので尾骨の周囲が痛 くなつたりします。この便秘の改善には運動が最も効果的で、1日30 分くらいのウォ-キングを勧めます。腹筋や骨盤底の筋肉を鍛える運 動も効果があります。食事は食物繊維を多く含んだものを規則正しく 食べることが大切です。下剤や浣腸の安易な使用は根本的な解決に ならず、連用すると習慣性もあり、勧められません。