一月九日
雨 1
朝の六時過ぎに地震で揺れた。
最近は伊達と玉置のもめごとも静かになった。
玉置の子は宝祥院へ預けられることになってメツホウ谷に居るとのこと。
伊達の男子らから指し料(自分が差す刀)にと大小か脇差しなど12本の鐺(こじり=刀の鞘の末端の部分)を金にして12本で五貫五百目で請け負った鞘師が毎日毎日催促されてようやくできあがったので持参しようとした。ところが巷の風聞で虎の川へやられたなど聞き届けるのを見合わせていたが、金具やも同じような事情らしい。
鞘塗りは明日までと言われて早々に仕上げて持参したらしい。
鞘師が言うにはおかしな噂を聞いたがご存知かと聞くとイヤ何も知らないというので、虎の川のことを話した。と、大いに驚き俄かにあちこち聞き回って受け取ったものの支払う金の出所が無くて伊達の男子たちは非常に困った。この件は三人の申し合わせだったので相談した模様。
宇佐見某は伊達の親類ゆえこれらを持参して金子を下されと申したが、そちらも用意が出来ず是を入質して金を整えなければならないと質物として入れたら十二貫目貸してくれたそうだ。さすればそれほどの損はない。むしろ儲かった。
誠にそれだけでも不埒なことなのだが、大和やという呉服屋にも12貫目、駿河屋も同じく。松やという酒屋からも年中酒を買い25両ほどの借金。
追われているときも一樽持って行きうろついていたらしい。

朝の六時過ぎに地震で揺れた。
最近は伊達と玉置のもめごとも静かになった。
玉置の子は宝祥院へ預けられることになってメツホウ谷に居るとのこと。
伊達の男子らから指し料(自分が差す刀)にと大小か脇差しなど12本の鐺(こじり=刀の鞘の末端の部分)を金にして12本で五貫五百目で請け負った鞘師が毎日毎日催促されてようやくできあがったので持参しようとした。ところが巷の風聞で虎の川へやられたなど聞き届けるのを見合わせていたが、金具やも同じような事情らしい。
鞘塗りは明日までと言われて早々に仕上げて持参したらしい。
鞘師が言うにはおかしな噂を聞いたがご存知かと聞くとイヤ何も知らないというので、虎の川のことを話した。と、大いに驚き俄かにあちこち聞き回って受け取ったものの支払う金の出所が無くて伊達の男子たちは非常に困った。この件は三人の申し合わせだったので相談した模様。
宇佐見某は伊達の親類ゆえこれらを持参して金子を下されと申したが、そちらも用意が出来ず是を入質して金を整えなければならないと質物として入れたら十二貫目貸してくれたそうだ。さすればそれほどの損はない。むしろ儲かった。
誠にそれだけでも不埒なことなのだが、大和やという呉服屋にも12貫目、駿河屋も同じく。松やという酒屋からも年中酒を買い25両ほどの借金。
追われているときも一樽持って行きうろついていたらしい。