小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)8月20日(月)より転載】
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厚田56(8/20)
山本伸一は、田原薫に言った。
「『御義口伝』は難解かもしれない。
それでも挑戦し、一節でもいいから、身で拝そうとしていくんです。
すごい力になるよ。
私も、戸田先生にお仕えして以来、深く心に刻んできた『御義口伝』の一節がある。
『一念に億劫の辛労を尽せば本来無作の三身念念に起るなり所謂南無妙法蓮華経は精進行なり』(御書七九〇頁)の御文です」
――ここには、一生成仏の要諦が説き明かされている。
「本来無作の三身」とは、一言すれば、自身に具わった仏の大生命である。
その大生命を、瞬間、瞬間、湧き出していくための要件とは、わが一念に「億劫の辛労」を尽くすことだ。
「億劫」とは、長遠の時間を意味する。
その長い間にわたる無数の辛労を一瞬に凝縮したような、全身全霊を傾けた仏道修行のなかに、仏の智慧と生命力が湧き上がってくるのである。
「この御文は、苦難を恐れぬ、真剣勝負の戦いがあってこそ、自身の一生成仏、人間革命、境涯革命があることを教えられているんです。
私の日々は、ある意味で、大地にわが身を叩きつけるような、苦闘の連続だった。
涙も涸れるような悲痛な時を、何度も経験してきました。
そのなかで、この御文を心の支えに、わが心を燃え上がらせ、唱題に唱題を重ね、すべて乗り越えてきたんです。
私は勝ちました。
君も、広宣流布のため、人びとの幸せのため、自身の未来のために、勇んで辛労を尽くしていくんだよ。
そういえば、田原君は、私が学生部の代表に行った、『御義口伝』講義の受講生じゃないか。
このメンバーは、私が会長就任後、未来のために育成した後継のグループの第一陣だ。
私は全精魂を注いだんだ。
世代的にも皆の使命は大きいよ。
私と共に戦い抜いて二十一世紀の広宣流布の流れを開き、さらに、次の後継の世代を育て守って、未来への確かなる大道をつくるんだ。
君たちは、創価新時代の令法久住の先駆なんだよ」
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【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)8月20日(月)より転載】
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厚田56(8/20)
山本伸一は、田原薫に言った。
「『御義口伝』は難解かもしれない。
それでも挑戦し、一節でもいいから、身で拝そうとしていくんです。
すごい力になるよ。
私も、戸田先生にお仕えして以来、深く心に刻んできた『御義口伝』の一節がある。
『一念に億劫の辛労を尽せば本来無作の三身念念に起るなり所謂南無妙法蓮華経は精進行なり』(御書七九〇頁)の御文です」
――ここには、一生成仏の要諦が説き明かされている。
「本来無作の三身」とは、一言すれば、自身に具わった仏の大生命である。
その大生命を、瞬間、瞬間、湧き出していくための要件とは、わが一念に「億劫の辛労」を尽くすことだ。
「億劫」とは、長遠の時間を意味する。
その長い間にわたる無数の辛労を一瞬に凝縮したような、全身全霊を傾けた仏道修行のなかに、仏の智慧と生命力が湧き上がってくるのである。
「この御文は、苦難を恐れぬ、真剣勝負の戦いがあってこそ、自身の一生成仏、人間革命、境涯革命があることを教えられているんです。
私の日々は、ある意味で、大地にわが身を叩きつけるような、苦闘の連続だった。
涙も涸れるような悲痛な時を、何度も経験してきました。
そのなかで、この御文を心の支えに、わが心を燃え上がらせ、唱題に唱題を重ね、すべて乗り越えてきたんです。
私は勝ちました。
君も、広宣流布のため、人びとの幸せのため、自身の未来のために、勇んで辛労を尽くしていくんだよ。
そういえば、田原君は、私が学生部の代表に行った、『御義口伝』講義の受講生じゃないか。
このメンバーは、私が会長就任後、未来のために育成した後継のグループの第一陣だ。
私は全精魂を注いだんだ。
世代的にも皆の使命は大きいよ。
私と共に戦い抜いて二十一世紀の広宣流布の流れを開き、さらに、次の後継の世代を育て守って、未来への確かなる大道をつくるんだ。
君たちは、創価新時代の令法久住の先駆なんだよ」
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