「ウ~ン、カッコいい!どちらかお出掛け?」
「ありがとう。ええ、軽~く10年は着ている服よ。洋服って買わない女よ」
コタクン(シーズー)のママ(飼主)のお宅の前で。
その日に最初に出会った人から褒められるなんて、とってもとっても嬉しいもの
です、いくつになってもね。しかも、絶対に流行を追わない女として。
「やっと終ったわね。きれいになったわね」
「ええ、やっとね」
お家の外壁の塗装が終ったお話よ。
「ねえ、ねえ見て!」
「ワ~~、きれい!な~んていい色なの!」
「でしょう?」
工事の関係で、外から見えなかったお庭。何かの大きな木に、大輪の水色と白の
朝顔が無数に撒きついているのが見える。その色・大きさ・数の見事さ。
「咲かない咲かないって、思ってたら、9月に入ったら、ドドーッってね」
「お待たせ~~~!って?」
「そうなのよ。ところでどちらへ?」
「我が古巣、吉祥寺へね」
「ワー、私は軽~くウン十年は行ってないわ」
「学校は東京?」
「ええ」
「半年も行かないと、都会は変わるから、もう、昔の面影なんてないわよ。
ついでに、阿佐ヶ谷界隈をブラブラして、ジャズ祭の下調べなんかしてこよう
かな?よ。なんせ、山下洋輔も出るって言うし。その前は、日本一の横浜ジャ
ズ祭もあるしね。行かれるかどうかわからないけど、ちょっと歩いてくるかな」
「いい、いい!教えて。そして、ゆっくり朝顔見に来て」
豚骨・鶏ガラ・玉葱・人参・生姜・ニンニク・ねぎを煮る事5時間。夕べの作業。
まあ、言ってみれば、お肉の中落ち。それを軟骨共々こそげとり、そこに、お醤油
・お砂糖・お酢・ごま油・お酒そして、たっぷり中挽き唐辛子を加えて、これは煮
詰めて出来上がり。どうするかって?何かに乗せて、混ぜて、挟んで、何でもオー
ケーよ。私はトーストに載せて食べて見たわ。ベリーグッドよ。
上出来スープ。1晩置いたそれを、ろ紙を敷いた漏斗でボトルに移していたけど、
「オイ、待ち合わせの時間に遅れるぞ」
「やっててくれる?」
「いいよ。オイ、こんなことじゃ、1週間かかるよ」
「わかった。もうろ紙は要らない。ボトル詰めして、冷凍庫に入れてて!」
「わかった」
吉祥寺は、高校時代からの友人と待ち合わせ。私がグアテマラに行ってた同時期、
イタリアへ観光に行ってた彼女のお話を聞くのと、写真を見せてもらう、ETC.
ついでに、毎回案内状を下さる、ある画家の個展に行くという理由の吉祥寺。
初日の初来場者が私と友人。
フランスの美術誌にも取りあげられている、彼の作品。
毎年パリへ出向いての制作。ほかに南国方面と。南方風景、植物群の鮮やかな色
使いは魅力的。
「ごめんなさいね、買えなくて。自分でも描いちゃう人間だからねえ」
「いいんだよ。僕だってそうだから」
とある日本の出版社が、フランスのその出版社と提携して、彼の作品の紹介も、
日本でなされるそう。その時は、お知らせ下さいね、で失礼。友人は買いたそう
だったけど、お食事して、オシャベリに現を抜かすうちに、彼女の義妹の病気見
舞いの時間になって、絵どころの騒ぎじゃないお話。
「余命半年って、とうとう告知されちゃって。今日、行く日になっちゃったのよ」
「可哀想に。どんな言葉も、むなしいわねえ。あっ、そうだ!死の淵から生還して
どん底から這い上がった私から、彼女に。『生きたかったら、先生でも薬でもない、
自分自身を、徹底的に信じて!って言って。そんなあ、何て思ったら効果はないわ。
100%の信頼と可能性、力を出し切って。そうしたら何もかもが新しい人生が
始まる』って、これが私からのメッセージ。言ってね、必ず」
術後の、私のあがきも知っている彼女は、
「そうよねえ。ウンわかった、言うわ」
イタリアの写真もお話も楽しかったわ。
緑色がことのほか美しい、植物群の絵。
ユトリロの話もでて、そのパリの建物描写もなかなかいい!
取り寄せてもらっていた村上春樹訳の、グレイス・ベイリーの短編を読みながらの
小田急線、井ノ頭線。
ざんね~~ん、阿佐ヶ谷詣では出来なかったわ。
ラッシュアワーに揉まれるのは勘弁だったので、まだ西の空が明るい時間に、さっ
さと横浜へ向けて、電車を乗り継いでね。けれども、私が電車を降りた頃は、我が
家のある町は、とっぷりと暮れた秋の夕闇の中でした。
「ありがとう。ええ、軽~く10年は着ている服よ。洋服って買わない女よ」
コタクン(シーズー)のママ(飼主)のお宅の前で。
その日に最初に出会った人から褒められるなんて、とってもとっても嬉しいもの
です、いくつになってもね。しかも、絶対に流行を追わない女として。
「やっと終ったわね。きれいになったわね」
「ええ、やっとね」
お家の外壁の塗装が終ったお話よ。
「ねえ、ねえ見て!」
「ワ~~、きれい!な~んていい色なの!」
「でしょう?」
工事の関係で、外から見えなかったお庭。何かの大きな木に、大輪の水色と白の
朝顔が無数に撒きついているのが見える。その色・大きさ・数の見事さ。
「咲かない咲かないって、思ってたら、9月に入ったら、ドドーッってね」
「お待たせ~~~!って?」
「そうなのよ。ところでどちらへ?」
「我が古巣、吉祥寺へね」
「ワー、私は軽~くウン十年は行ってないわ」
「学校は東京?」
「ええ」
「半年も行かないと、都会は変わるから、もう、昔の面影なんてないわよ。
ついでに、阿佐ヶ谷界隈をブラブラして、ジャズ祭の下調べなんかしてこよう
かな?よ。なんせ、山下洋輔も出るって言うし。その前は、日本一の横浜ジャ
ズ祭もあるしね。行かれるかどうかわからないけど、ちょっと歩いてくるかな」
「いい、いい!教えて。そして、ゆっくり朝顔見に来て」
豚骨・鶏ガラ・玉葱・人参・生姜・ニンニク・ねぎを煮る事5時間。夕べの作業。
まあ、言ってみれば、お肉の中落ち。それを軟骨共々こそげとり、そこに、お醤油
・お砂糖・お酢・ごま油・お酒そして、たっぷり中挽き唐辛子を加えて、これは煮
詰めて出来上がり。どうするかって?何かに乗せて、混ぜて、挟んで、何でもオー
ケーよ。私はトーストに載せて食べて見たわ。ベリーグッドよ。
上出来スープ。1晩置いたそれを、ろ紙を敷いた漏斗でボトルに移していたけど、
「オイ、待ち合わせの時間に遅れるぞ」
「やっててくれる?」
「いいよ。オイ、こんなことじゃ、1週間かかるよ」
「わかった。もうろ紙は要らない。ボトル詰めして、冷凍庫に入れてて!」
「わかった」
吉祥寺は、高校時代からの友人と待ち合わせ。私がグアテマラに行ってた同時期、
イタリアへ観光に行ってた彼女のお話を聞くのと、写真を見せてもらう、ETC.
ついでに、毎回案内状を下さる、ある画家の個展に行くという理由の吉祥寺。
初日の初来場者が私と友人。
フランスの美術誌にも取りあげられている、彼の作品。
毎年パリへ出向いての制作。ほかに南国方面と。南方風景、植物群の鮮やかな色
使いは魅力的。
「ごめんなさいね、買えなくて。自分でも描いちゃう人間だからねえ」
「いいんだよ。僕だってそうだから」
とある日本の出版社が、フランスのその出版社と提携して、彼の作品の紹介も、
日本でなされるそう。その時は、お知らせ下さいね、で失礼。友人は買いたそう
だったけど、お食事して、オシャベリに現を抜かすうちに、彼女の義妹の病気見
舞いの時間になって、絵どころの騒ぎじゃないお話。
「余命半年って、とうとう告知されちゃって。今日、行く日になっちゃったのよ」
「可哀想に。どんな言葉も、むなしいわねえ。あっ、そうだ!死の淵から生還して
どん底から這い上がった私から、彼女に。『生きたかったら、先生でも薬でもない、
自分自身を、徹底的に信じて!って言って。そんなあ、何て思ったら効果はないわ。
100%の信頼と可能性、力を出し切って。そうしたら何もかもが新しい人生が
始まる』って、これが私からのメッセージ。言ってね、必ず」
術後の、私のあがきも知っている彼女は、
「そうよねえ。ウンわかった、言うわ」
イタリアの写真もお話も楽しかったわ。
緑色がことのほか美しい、植物群の絵。
ユトリロの話もでて、そのパリの建物描写もなかなかいい!
取り寄せてもらっていた村上春樹訳の、グレイス・ベイリーの短編を読みながらの
小田急線、井ノ頭線。
ざんね~~ん、阿佐ヶ谷詣では出来なかったわ。
ラッシュアワーに揉まれるのは勘弁だったので、まだ西の空が明るい時間に、さっ
さと横浜へ向けて、電車を乗り継いでね。けれども、私が電車を降りた頃は、我が
家のある町は、とっぷりと暮れた秋の夕闇の中でした。