蒲田耕二の発言

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2016-10-06 | 文化
「強迫神経症で鬱(うつ)でアル中だよ?」

朝日に載っている金原ひとみの小説の一節である。疑問文じゃないのに疑問符がついている。こうした疑問符の使い方、4〜5年前からネットでちょくちょく見かけるようになった。

初めは文字どおり「?」だった。ミスタイプか、Macで円ロゴをブラウザに入力すると逆スラッシュになったりするから、その類の誤変換かも、と思った。

しかし、それにしては数が多すぎる。どうやら誤用でも誤変換でもなく、これまでとは別の意味で使っているらしい、とようやく気がついた。若い人たちは、はてなマークを発音記号として使っているようだ。

オレの世代がこういう使い方をすることは、まずあるまい。大体、外来の疑問符や感嘆符を日本語の文章に使用すること自体、少ない。丸谷才一は絶対に使わなかった。筒井康隆も。

発音記号としての疑問符を、しかしオレは否定しようと思わない。日本語が乱れると、目くじら立てて非難するつもりはない。

言葉は時代とともに変わっていくものだ。大体、言葉の新しい意味を発見していくのは、作家の使命の一つだもんね。

上記の一節を「アル中だよ」とフラットに表記または発音すると、断定的で上から目線口調になる。?をつけると語尾が上がり、「アル中だけど、どう思う?」というような、話し相手を気遣うニュアンスが生まれる。

断定口調だと相手は二の句が継げないが、質問なら答える余地があるからストレスが生じない。こういう、ちょっとした気遣いに若い人たちは敏感だ。それのあるなしで友情が続いたり壊れたりする。

だが、オヤジ世代は鈍感なんだよなあ。感受性が磨り減ってる上に、なまじ人生経験をそこそこ積んで自信がついてたりするもんだから、無神経に上から目線発言を連発する。

上から目線は気持ちがいい。自分が人よりエラくなったような気がする。だもんで、オヤジますますエスカレート。

あげくに会社でも家庭でも友人関係でも嫌われまくって孤立に陥る。かつてオレの身辺にも、絵に描いたような転落プロセスをたどったバカがいたなあ、そういえば。

ところで、今朝の朝日に載っていた緒方貞子さんのインタビュー記事。記者が質問していわく「天津には、今でもおじいさんゆかりの家が残っていらっしゃるとか」だとさ。

こりゃ、いくらなんでも弁護の余地ないよ。

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