蒲田耕二の発言

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ケレンの楽しさ

2012-01-09 | ステージ

吉祥寺の前進座で『髪飾不思議仕掛(かみかざり・はてなのからくり)』観劇。髪が宙に浮き上がる奇病に姫君が罹り、婚礼もままならぬが、原因はお家乗っ取りを謀る悪家老の陰謀だったというドラマ。

19世紀初めの古典『毛抜』の改作スピードアップ版である。勧善懲悪のストレート・プレイなんだろうけど、観てるとヒーヒー言うほどおかしいんだよね。

和式ティアラつーの? キンキラの髪飾りをつけた姫君の長い髪がネコの尻尾みたいに逆立ちして、お姫様がアレーとか言いながら身悶えすると、笑いをかみ殺すのでオレも身悶えしてしまった。だって、周りはみんな真面目くさって観てんだもん。

そのからくりは、実は天井裏に潜んだ忍者の巨大な磁石なのだが、これって、原典の40年ほど前にウィーンで初演された『コシ・ファン・トゥッテ』でニセ医者が使う磁石を思い出させるよね。当時は洋の東西で、磁力の働きが大衆の好奇心を引いていたのかも。

歌舞伎もオペラも、客席を覆うスノビズムにゲンナリさせられるが、当初は肩の凝らないエンタメだったことを改めて認識した。モーツァルトの時代、オペラはまだ完全には大衆芸能化してなかったにせよ。

前進座のステージは、時に木に竹を接ぐような現代化で白けさせもするが(たとえば去年の『明治おばけ暦』)、やはり松竹系の型偏重の思考停止型上演よりは生気がある。レパートリー劇団の強みで、端役に至るまで役者の演技力に凸凹の少ないのもいい。

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