蒲田耕二の発言

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反戦

2022-03-16 | 国際
これくらい大胆で的確でカッコいい反戦活動が、かつてあっただろうか。すでに世界中で話題の、テレビ生放送中の反戦プラカード掲示。実行した女性は当のテレビ局員で、そのテレビ局はロシア国営だというから、すごい。彼女は職を失うことはもちろん、それ以上の刑罰も覚悟していただろう。文字どおり、命懸けの訴えである。

その続報で、彼女の受ける刑がわずか3万強の罰金と報じられた。ああよかった、と胸をなで下ろして……いいのだろうか。

ロシア軍の空爆は軍事施設のみを狙っている、ザポロジエ原発の火災はウクライナ工作員の放火等々、ロシアの主要メディアがいかに政府寄りのフェイク・ニュースを垂れ流してきたか、いまさら言うまでもないだろう。プーチンのロシア政府が自分の利益のためにどれだけ汚い手を使ってきたか、反体制活動家のナワリヌイ氏の毒殺未遂を挙げるまでもないだろう。

あの勇敢な女性、マリーナ・オフシャンニコワさんの行動が世界中に知られてしまったため、ロシア政府は表向き軽微な罰金刑のみでケリをつける形にしたのだろう。そうして事態の沈静化を図る。しかしそれは、あくまで表向きだ。そもそも罰金刑のみ、という報道自体にどれだけ信憑性があるのか、分かったものではない。

これから彼女にはおそらく、世界の目から遮られたところで怖ろしい弾圧が加えられるのではないか。抵抗する手段も世界に訴える道も与えられずに。独裁国家とは、そういう社会だ。

降り注ぐ爆弾にウクライナの高齢者や子供たちが逃げ惑う一方で、極東の島国では河川敷に捨てられた猫の捜索に警官と機動隊員100人を動員。死体で見つかった猫の供養に、花束の山。

皮肉を言ってるんじゃありません。平和って、民主主義体制って、しみじみ、いい。

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