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蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

W杯決勝

2018-07-16 | スポーツ
眠い目をこすりながら観た試合で唯一面白かったのが、観客乱入シーンだったね。NHKの中継アナが泡食って「これはいけません」を連呼したのも笑えたが、キリアン・ンバペが戸惑いながら闖入の女性とハイタッチしているのがもっとおかしかった。ていうか、微笑ましかった。といっても、こっちはリアルタイムじゃなく今朝の朝日で見たんだけど。

あの乱入は、間違いなくW杯の虚構性を暴く効果があったね。

あの女性、いつだったかプーチン批判のパフォーマンスを教会でやって牢にブチ込まれたパンクバンドのメンバーなんだと。てことは、ロシアではまだ、ロックが反骨・反体制の原点を保ってるってことか。

それに引き替え、HINOMARUとかいう日本のロックナンバーの、なんとさもしい根性よ。体制すり寄りが見え見え。間違いだらけの文語はご愛敬だったけど。

W杯関係じゃ、この文章を読んで久しぶりに胸がスーッとしたね。ネットで叩かれまくってるが、こういう主張を目にすると、まだまだ同調圧力に屈しない気骨の人が言論界にいると分かってホッとする。

遠い昔、ミュンヘン・オリンピックでバレーボールの日本代表が優勝して日本中が感動の確認し合いをやっていたときに、独り野坂昭如がクソミソに扱き下ろしたのを思い出しました。

一次リーグ突破

2018-06-29 | スポーツ
めでたいんだけどさあ。嬉しいんだけどさあ。嫌でも2007年の日本シリーズを思い出さずにはいられなかったねえ。

当時オレは、中日ファンだった。"オレ流" 落合のファンでもあった。その落合が同年の日本シリーズ第5戦の9回目で、完全試合目前のピッチャー山井を岩瀬にスイッチした。

岩瀬は絶対的抑えと言われていた名投手だから、中日は1対0の接戦に勝って53年ぶりに日本一になった。

だから中日ファンとしては嬉しいし、めでたいし、落合の石橋を叩いて渡る采配を称賛すべきだったんだけどさあ。ひょっとしたら山井がシリーズ初の完全試合達成かもという、最高にスリリングな、生涯に何度も観れないようなドラマは水の泡と消えたんだよね。

あれ以来オレは中日に興味を失い、パリーグに関心を移した。

西野監督の采配も、長谷部の行動もオレは非難しようとは思いません。それぞれの立場でベストを尽くしたんだと思う。

ただ、緩慢なパス回しが始まった瞬間、オレはリモコンの電源ボタンを押した。

超新星

2017-09-22 | スポーツ
今年のロッテは悪夢のペナントだったが、残り数試合の大詰めに来て突如、ワクワクする事態が持ち上がった。目が覚めるような超新星の登場であります。佐々木千隼投手。大谷世代だが、大卒だからルーキーである。

1週間前のプロ初完投に続き、昨夜は西武の菊池と投げ合って勝利。菊池といや現在、防御率1位。大谷を見に来たメジャーのスカウトが大谷以上に魅せられたとか言われてるピッチャーだよ。

佐々木は夏場、ファームに落とされていたそうで、顔も首筋も真っ黒に日焼けしている。その真っ黒な顔に異様に大きな眼をギョロつかせて、まるで若い黒ヒョウみたいな風貌だ。野生の尖ったオーラがギラギラ。

ぴんと張ったユニフォームの下で皮下脂肪のほとんどない筋肉がしなやかに蠢く投球フォームも、ネコ科猛獣を連想させるんだよね。

好きだねえ、こういう子。

数年前デビューした当時の角中がこんな感じだったが、彼は結婚したらなんか恰幅がよくなって、落ち着いてしまった。成績はきちんと残してるけど。

名監督・伊東勤去り、井口引退し、福浦も衰えを否めず、来年のロッテにはロクな展望も開けないが、期待できるとすれば佐々木の成長だろうなあ。ロッテには、広島のように若手がすくすく育つ環境が整ってないらしいので少々不安だが。

日本シリーズ2016

2016-10-30 | スポーツ
常連のソフトバンクが脱けて地味めのシリーズだったけど、あー面白かった。去年の数倍。逆転逆転、時にサヨナラ。

オレはパリーグ・ファンだから日ハムが勝ってうれしかったが、でも、ここまで面白くしてくれたのは公平に見て広島だったと思うよ。選手層が若いチームは輝きがある。

栗山監督の言うとおり、どっちに転んでもおかしくない試合ばかりだった。日ハムが勝てたのは、ほとんどまぐれみたいなものだ。初めの二つを広島が獲ったときには、ペナント中の勢いのまま広島がぶっちぎりで行ってしまうのかと思った。

勝敗を分けたのは、だれもが見るとおり、継投の違いだろうな。栗山監督が4回で増井を替えるという、ア然とするような「非情采配」に出たのに対して緒方監督は8回表、ジャクソンが押し出しで1点与えてもなお動かなかった。シーズン中の実績が交代をためらわせたんじゃないかな。

その昔、星野監督時代の阪神がダイエーとのシリーズで、3勝2敗で福岡に乗り込み、6戦目で負けたのを思い出しましたよ。あのとき星野監督は、初戦で負けた伊良部を先発に立て、そして負けた。多分、シーズン中の実績がそうさせた。

緒方さん、試合終了後、眼を赤くしていたが、あれ後悔の涙だろうな。おそらく彼自身がいちばん自分の采配にハラを立てている。でもあの人、やっぱり優れたリーダーだと思うよ。ふたたびセリーグのお荷物化していた広島を優勝チームに引き戻したんだもの。ロッテの伊藤監督と双璧。

それにしても、テレビ局も露骨な。出番がなくてユニフォームすら着ていない大谷を撮りまくりだもんね。

執念

2016-08-20 | スポーツ
かなり以前のことだが、テレビの中で、幼い少女が顔面を涙と鼻水だらけにして「勝った〜、勝った〜」と叫んでいた。少女は卓球の試合に負けたが、事実を受け入れることが出来ずにいた。母親とおぼしい女性がなだめると、ますます興奮して泣きわめいた。

確か、小学生時代の石川佳純選手の映像だったと思う。見ていてオレは、はあ〜、と感じ入ったね。ここまで負けず嫌いじゃないと、世界的レベルのアスリートにはなれないんだ。

五輪決勝の吉田沙保里選手にも、鬼の執念を見た。

時間切れで負けが決まった瞬間、吉田はマットにうずくまって泣いた。そうしてなお、彼女は高貴だった。孤高の勝負師の冒しがたいオーラに包まれていた。

だが、欲をいわせてもらうなら、表彰台に上がるときには、気持ちを切り替えていてほしかったね。吹っ切れた笑顔で観客に手を振り、勝者を称えていれば、吉田は日本中の敬愛をさらに高めていただろう。

2日前、エッジボールという不運で負けながら「すべては私の責任です」と言い切った福原愛さんのように。

一つ負けたところで、吉田の14年連覇の偉業にキズがつくわけではない。銀だって、獲れるのは世界で何百万人いるか分からない女子レスラーの中で、たった一人だけだ。彼女には、堂々と胸を張る資格が十二分以上にある。

負けて悔しがるのは、執念。負けを引きずるのは、未練。未練は、アスリートのすることではない。表彰台で鼻の頭を赤くし、目を泣きはらす吉田選手は、彼女らしからぬ未練にとらわれてはいなかっただろうか。